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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

おいしいほうが、まだいいよ。

2015年03月03日(Tue) 08:08:30

意識が戻ったのは、娘が血を吸われた直後だった。
娘はソファに横たわり、目を見開いて。
自分の血を吸った男が真っ赤に濡れた頬を手拭いで無造作に拭うのを、ぼんやりと眺めていた。
真っ赤に濡れた制服の白のブラウスが、痛々しい。
けれども本人はさほど苦にしていないらしく、男に促されるとソファに座り直して、足許ににじり寄ってくる男のまえに、白のハイソックスを履いた脚を、自分から差し伸べてゆく。
妻はもう、意識を取り戻していたが、身動きできないほど血を吸い取られてしまったらしく、わたしの傍らにへたり込んだままだった。
「いけない・・・」と声をあげて娘を制しようとしたけれど。
それ以上手出しすることもできないで。
真っ白なハイソックスが赤黒いシミで染まるのを、ただぼんやりと見守っているだけだった。
夫婦で。娘を守ることができないままに・・・白のハイソックスに赤黒いシミが拡がってゆくのを、ただ薄ぼんやりと眺めていた。

娘が男に訊いた。
「あたしの血、おいしいの?」
男は黙って、頷いた。
「処女の生き血だもんな」
ははは・・・娘は棒読み口調で笑うと。
「でも、おいしいほうが、まだいいよ」といった。
男は顔をあげ、娘と見つめ合って。
それから始めて、神妙なことを口にした。
「血をくれて、ありがとな」
娘はかぶりを振って、「もっと吸う?」といいながら、もう片方の脚も差し伸べていった。
妻のワンピースのすそから覗く太ももに、ストッキングの伝線がいくすじも走っている。
娘はきっと、母親の応接ぶりを見習ったのだろう。
ずり落ちかけたハイソックスをわざわざきちんと引き伸ばして、脚を差し伸べていった。

「おいしいほうが、まだいいか」
ぼう然と呟くわたし。
「それはそうかも、しれないわね」
咬まれた首すじを抑える妻とふたりで、顔を見つめ合った。
「父さんの血だけじゃ、足りなかったんだね。残念」
「あたしの血だけでも、足りなかったみたい」
「命を助けてくれるだけ、まだいいじゃん」
娘がソファから、声を投げてきた。
「あい済まんことです」
わたしたちの血で頬を染めながら、男が言った。
四人は初めて、顔を和らげて―――状況を受け容れてゆく。

娘がくたりと姿勢を崩し、へばってしまうと。
「だんなさん、済まないねえ」
男は妻の手を引っ張って、別室にいざなおうとする。
「武士の情けで、向こうの部屋で」
隣室で妻の貞操が喪われる・・・せめて潔く散らしたいな・・・
ふと口を突いて出てきたのは。
「夫として、見届けます」
「羞ずかしいわ」
「かまわないから」
「それじゃあ・・・」

わたしに背中を向ける妻。
ワンピースのジッパーを、思い切りよく下ろしたわたし。
気絶した娘と視界を隔てるため、テーブルのこちら側に、自ら身を横たえる妻。
白い膚に食い込んだ紫色のブラジャーのストラップが、ひどく目に沁みる。
華麗な第二幕が、おもむろに幕を開いていった・・・
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汚されて、染められる。
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お礼なのかな・・・?

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