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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

近しくなったのか。奴隷にされたのか・・・

2015年03月15日(Sun) 08:46:14

由紀子さんに血を吸われるようになってから、十日間が経過した。
あれから毎日、由紀子さんはボクのことを呼び出して、
ボクは家族にも黙って、由紀子さんに逢いに行った。

授業や部活もだいじでしょ?だから呼び出すのは夜か夕方にしてあげる。
塾帰りにはゼッタイ、公園に来るんだよ。

吸われる血の量はさいしょのときがマックスで、あとはしょうしょうの貧血程度だったから。
毎日逢うことができるのかもしれない。
由紀子さんとの間にできた秘密の関係は、ボクにとって好ましいものだったから。
どちらかというとワクワクしながら、由紀子さんの呼び出しに応じていった。

ほんとなら、十日も逢ったらあなた、死んじゃっているわよ。
あたしのときだって、そうだったんだから。
どうして寸止めにしてあげているのか・・・すこしはありがたがってもいいんじゃない?

吸い取った血で濡らした唇で、由紀子さんは顔をしかめてそういった。
そうなんだ。
ボクには塾も学校も部活もあるけれど、由紀子さんはあれ以来、絶えて学校に姿をみせることはないのだから。

さいしょのときには、どうやってかえったのか、よく憶えていない。
ただふわふわと身体が浮いたみたいになって家路をたどったのを、なんとなく記憶しているだけだった。

お母さん呼んだんだよ。
シンジが具合悪くなっちゃったって言って。
救急車呼ぶほどじゃないから、いっしょに家に運ぼうって言って・・・シンジのお家まで運んで・・・

ニッと笑った由紀子さんは、それ以上は語らなかったけれど。

気をつけてね。

そういってボクのことを送り出してくれる母さんの首すじにほんのりと浮いた赤い斑点に、気づかないわけにはいかなかった。

いちどおうちにお邪魔しちゃうとね、あとはいつでも入れるの。

突然勉強部屋に現れた由紀子さんに、血をねだられたことだってある。
よく眠れないの・・・
あの晩の由紀子さんは、白地に緑の鮮やかなチェック柄のスカートに、真っ赤なハイソックスを履いていたっけ。

仲良し三人組だった友原智恵子と水崎ユリは、由紀子さんが襲って血を吸ったという。
そのあと姿を消した鈴原芳香は友原智恵子が、田上良一は水崎ユリが襲ったのだという。
鈴原芳香と友原智恵子は同じ運動部に所属していた。
夜中の校庭でボールの撥ねる音が聞こえる・・・というのは、たぶん空耳ではないのだろう。
一方的に水崎の片思いだった恋も、いい展開をしているらしい。
夜中にデートしているふたりを見かけたという声を、ちらほら耳にしていた。
由紀子さんとボクの関係は・・・果たしてどこまでみんなに知られているのだろう?


獲物は分け合うこともあるらしいけど、水崎は田上のことを決してほかの仲間には譲らないのだという。

そういえばあたしも、シンジのことほかのやつに吸わせていないよね。

由紀子さんはそういって思わせぶりに笑いながら、ボクの反応を面白そうに窺っている。

でもね、自分の血を吸った相手には、自分の獲物を譲らなければいけないの。
だからあたしは田上君の血を吸うことができるんだけど・・・まだそんな要求はしていないなあ・・・

両親はすすんで、由紀子さんの牙にかかったのだという。

それにシンジと、シンジのお父さんとお母さん。あたしの配下はけっこういるの。
だからひとの獲物を欲しがらないでもやっていける――

ボクばかりか父や母まで、配下というひとくくりにされてしまうのか。
彼女の配下と認められることが嬉しいような・・・
両親まで同じようにされてしまっていることが悔しいような・・・
ゾクゾクとするような昂奮と屈辱とが、ボクのなかで入り混じった。
そういえば。
このごろは由紀子さんはボクのことを、「鳥居くん」とは呼ばずに「シンジ」と名前で呼び捨てにしている。
距離が縮まったということなのか。それともたんに、奴隷になってしまったことを意味するだけなのだろうか。

それからね。
こいつ。
こいつに望まれたら、血を分けてやってね。しかたがないの。

由紀子さんは一片の古びた写真を、ボクに突きつけた。
写真のなかで、表情を消した白髪の老紳士が、冷やかにこちらを見つめている。
この男には無条件で血を吸われなければならない・・・ということは・・・
由紀子さんの血を吸い取ったのは、この男・・・?
写真の男に、激しい嫉妬をおぼえた。
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