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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

いびつな食物連鎖

2015年03月15日(Sun) 09:07:51

加瀬由紀子?知らん名だね。

男は写真のままの冷ややかな無表情のまま、ボクを見おろしながらそうこたえた。

え?だって加瀬由紀子がボクの血を吸ったから、あなたはボクのことを知っているんでしょう?

思わず訊きかえしたボクに、男はやはり冷淡だった。

わしにわかるのは、あんたの顔つきだけじゃよ。
あんたが血を吸われたがっているようだったから、望み通りにしてやったまで。

男はボクの身体から吸い取った紅いしずくを滴らせた口許を、むぞうさに手の甲で拭った。
眩暈がする。かなりくらくらと。それくらい男は、容赦なくボクの血をむしり取った――

ボクの血は、美味しかったですか?そうでもないんですか?

けんめいに聞き出そうとするボクに、

味なんか関係ないね。

男はそっけなく、そういった。
ショックを受けたようすのボクに、さすがに悪いと思ったのか。ひと言つけ加えてくれたけど・・・

でもまあ、悪い味ではない。


定期入れに忍ばせていた由紀子さんの写真を突きつけて、なおもボクは言い募っていた。

彼女です、加瀬由紀子さん。
この人の血、小父さんが吸ったんでしょ?

男は目を細めて由紀子さんの写真を見、そしていった。「憶えている」と。

彼女の血は、美味しかったの?

男ははっきりと、うなずいていた。「ああ、旨かった」。
ずきり!とした嫉妬が、どす黒く胸を衝(つ)く。
やっぱり・・・やっぱりこの男が、由紀子さんを・・・!
怯えた顔をした由紀子さんが、風体もみすぼらしいこの男の腕に抑えつけられて・・・
首すじを咬まれたまま悔しそうに顔を歪めながら、生き血を吸い取られてゆく・・・
そんな想像上の光景に、ボクは胸をわななかせた。

この娘なら、よく憶えている。学校か塾の帰りに襲ったのだ。
怯えた顔が、かわいかったぞ。
やっぱり生き血は、若い子に限る。
不覚にも、とまらなくなってしまってな・・・
なん度かに分けて吸い取ってやろう。そう思ったときにはもう、吸い尽しちまっていた・・・

もっと早くに、理性を取り戻してよ・・・
彼女だってボクの血を、なん度にも分けて愉しんでいるじゃないか・・・

仲間が増えることは、好ましいことではない。
競争相手が増えるからな。
じゃが、あの子のやり口は、悧巧だった。
ご両親がすすんで、あの子に血を分けたのだ。
わしに咬まれたおなごは・・・まあ、そんなことはお前にはどうだっていい。
あの子がお前を吸い尽さん以上は、わしもお前を吸い尽すことはない。
言うべきことは、それだけだ・・・


どうなるっていうんだろう?「わしに咬まれたおなごは・・・」

あいつに咬まれた女のひとは、あいつとセックスさせられる。

由紀子さんの言いぶりは短兵急で、思い詰めた顔をしていた。
あたしは処女だから、例外。
処女の生き血は、あいつらにとっては貴重品だから
でも、母さんは免れなかった。
それをわかっていたから、さいしょに血をくれようとした母さんを、父さんは止めようとした。
でも、父さんの血だけでは、足りなかった・・・
父さんはすべてを見通しながら、あたしが母さんのことを咬むのを、許してくれた。
ああ、そうだわ。
シンジにとっても、ひとごとじゃないのよ。
初めて咬んだあと、シンジのお母さんに手伝ってもらって家まで送ったでしょ?
そのあとあたし、シンジの母さんのことを咬んだから。
だから、ほら・・・あんなふうに・・・ね・・・

彼女の視線の先は、公園の片隅に向かってゆく。
背の高い草むらが、穂先をがさがさと揺らしていて。
揺れる穂先のすき間から、横たわる一対の男女が見え隠れした。
女のほうは、母さんで。男のほうは、あいつだった。
見慣れた幾何学模様の、モノトーンのワンピース。
すそが太ももまでまくれあがって・・・肌色のパンストがひざ小僧のあたりまで、ずり降ろされていた。
見てはいけないモノを、視てしまった。
そして、視てしまった目を、放すことはできなくなっていた。
傍らで由紀子さんが、くすくすと笑っている。
父さんのときも、そうだったっけな。
どうして視てはいけないはずなのに、そうやってじいっと眺めちゃうのかしら。
そういえば――シンジのお母さんも、お父さんのまえで、きまり悪そうにしていたよ。

知らないのはどうやら、ボクだけだったらしい・・・
由紀子さんはクスクス笑いを泛べた唇をそう・・・っとこちらへと近寄せてきて、ボクの首すじを咬んだ。
つねるような微かな痛みが、首のつけ根に走る。
尖った異物が容赦なく刺し込まれ、彼女はゴクゴクと喉を鳴らしながら、ボクの血を飲みふけりはじめていた。
致死量近い血を喪っても・・・ボクはそのまま、彼女のやりたいようにさせていた。
止めることはできなくなっていたし、止めさせなければならないとも思っていなかった・・・

【追記:2015.4.18】
本作をイメージしたイラストを、↓に掲載しました。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49893523
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