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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

恋と不倫と

2015年03月15日(Sun) 09:34:38

1.
草むらの端から、白のハイソックスをきちんと履いた一対の脚が、伸びている。
もうひとりの身体は、横たわる少女の身体にのしかかって、彼女の薄茶のスカートから上を押し隠していた。

ゴクゴク・・・
ゴクゴク・・・

男は喉を鳴らして、少女の生き血を飲みふける。
息荒く背中をもたげてこちらをふり返ると、男はにんまりと笑った。
ボクも虚ろな目をしながら、笑い返していた。
遅れて、少女が身を起こした。
由紀子さんのブラウスの肩先は、バラ色のシミに濡れていた。
肩を上下させて、息を弾ませていた。
彼女の奪われた血の量がハンパじゃないことが、蒼ざめた顔色でそうとわかった。
彼女の顔色をみるまえから、いちぶしじゅうを見届けていたボクは。
彼女を愉しまれた刻の長さから、容易にそれを察することができたのだけど。

旨かった。

男はボクの望む感想を、はっきりと口にした。

せめて美味しいと言ってほしい。
せめてボクたちのしていることに、感謝の気持ちを持ってほしい。
ボク、ヘンなこと言っていますよね・・・?

最後のひと言は自己反省になってしまったけれど、
男はこちらの意図するところを、察してくれたらしい。
加瀬由紀子なんて名前は知らないといったとき、あんたはとても残念そうな顔をしていたからな、と言ってくれた。


2.
ボクの血を吸い尽した由紀子さんは、血液を宿したま人間に戻っていた。
逆にボクは、嗜血癖を植えつけられて、学校にも出たりでなかったりしていた。
嗜血癖を残したのは、ボクだけではない。
由紀子さんも、ほかの生徒たちも、皆そうだった。
かれらが一斉に復学を果たした時、教室には沈黙の戦慄がよぎったけれど。
出席をとるときの担任の大原先生は無表情に加瀬由紀子や田上良一の名前を読み上げて、
生徒たちは生気のない返事を返してゆく。

休み時間は、鬼ごっこの場と化した。
友原智恵子と水崎ユリは、笑いながらクラスメイトのことを教室のすみに追い詰めていって、ふたり仲良く両側から、その子の首すじを咬んでいたし、
田上良一は彼女の目を盗んで、クラス一の美人といわれた麻生真知子に迫っていって、紺のハイソックスのふくらはぎに咬みついていた。
由紀子さんはボクのところに、友達を引っ張って来て。
「ほら、あんたも吸いなさいよ。無理しちゃだめ」
そういって、ボクの唇に彼女の首すじを強制的にあてがってきた。
温もりを含んだうなじは、喉の渇いたボクには、うってつけの誘惑だった。
あぁ~・・・
悲しげな声をあげた尾藤ユカリは、あとでひじ鉄でボクをつついた。
「ブラウス汚したじゃないの」って。


3.
由紀子さんと男の関係は、まだ続いていた。
血を取り戻した彼女は、自分の血のおいしさを男に愉しませる義務を負っていたから。
なぜって、由紀子さんは男の元配下で、ボクは由紀子さんの配下だったから。
処女の血は、貴重品なのよね。
そういう由紀子さんの言葉通り、男が由紀子さんに性的な行為を強いることはなかったけれど。
血を吸わせることだけでも、じゅうぶん性行為に近いのではないか?
ボクはそんな疑いを、持ち始めていた。


4.
ほら、きょうの獲物。
その日、由紀子さんがむぞうさに腕をつかまえて引きずってきたのは・・・妹の香奈だった。
香奈の首すじには、だれがつけたものか、早くも赤い斑点がつけられている。
「お兄ちゃんも、女の子の血が欲しいの?」
大きな瞳で見つめる少女は、いつも見慣れた妹とは別人のような気がした。
「しょうがないなあ・・・」
むぞうさに引っぱり上げた、空色のハイソックスのふくらはぎに・・・
ボクはおずおずとかがみ込んで・・・しかし咬みつくときにはもう、いつもほかの女子にしているときみたいに、
生えかけた牙を根元まで、柔らかい皮膚にずぶずぶと埋め込んでいた。
空色のハイソックスに真っ赤な血が撥ねるのが、ひどく刺激的だった。

あなたたち。兄妹で近親相姦しているみたいだね。

由紀子さんは愉しげに、ボク達をからかった。


5.
あたしと結ばれる・・・ってことはさ。

由紀子さんは唐突に、大胆な発言をしてくる。
妹の香奈はもうとっくに伸びてしまって、傍らの芝生のうえに大の字になっていた。
まだか細い身体から採れる血は、他愛ないほど少量だった。

あいつとも結ばれる・・・ってことなんだよね?

そういうことに、なるよね・・・

処女は例外、といいながら。
セックス経験のある女性は、吸血鬼と性的関係を結ばなければならない。
由紀子さんのお母さんも、ボクの母までも、あの男の情婦になっている。
あの男の配下になってしまったボクが、だれかと結婚すれば。
花嫁はただちに、あいつのセックスフレンドにされてしまうことになっていた。

どうする?シンジは嫉妬する?

由紀子さんはボクの顔を、面白そうに覗き込んでくる。
恋が成就した時に、不倫を受け入れなければならない――
それはかなりの、ジレンマだった。

いいじゃない。周りの女子たちを牙にかけて愉しんでいるんだし。

どこまで本気なのか、由紀子さんは白い歯をみせて、ニッと笑った。
どこまでも、無邪気な笑いだった・・・
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