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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

結婚式場の控えの間

2015年07月16日(Thu) 07:30:29

ここは、某結婚式場の控えの間。
クリーム色の壁や淡いピンクのじゅうたんは、ほかのフロアと共通のもので、結婚式場らしい華やぎを醸し出してはいるものの、
およそ十畳ばかりの狭い部屋のなかは、テーブルひとつにいすがふたつしつらえてあるだけの、簡素というよりはむしろ殺風景なたたずまい。
そこには一対の男女が、にらみ合うような面相で向き合っていた。
ふたりが夫婦でないのは、間に流れる他人行儀な雰囲気でそれと知れる。
女は真っ赤なスーツに黒のブラウス、足許を染める薄手の黒のストッキングが、肉づきのよいふくらはぎを蒼白く透き通らせていた。
男は漆黒の――時代がかった黒マントまで羽織っている。マントの裏地は、真紅――男が欲する生き血の色だった。

女は妍のある上目づかいで、男を睨み、そして言った。
咬むなら早くしてくださる?主人、私があなたに咬まれていること、まだ知らないんですのよ。
男はククク・・・と、獣じみた嗤いを洩らしただけだった。
けれどもこの化け物にも人間の言葉が通じるのは確かなようで、くぐもるような低くスローモーな声色で、こう言った。
いつも、すまんねぇ。あんたには、迷惑をかける。これでもうひと晩、長生きができるというものだ。
女は毒づいた。
いけすかない。長生きなんかしてもらいたくもない。あんたが長生きしたって、そのぶんこううして迷惑をこうむる女が増えるだけなのよ。
そう言いながらも女は、テーブルの上にお尻を乗せ、片方のいすをハイヒールの脚で自堕落に踏まえていった。
咬むんだったら、早くなさい。あの子のカクテルドレス見たいんだから。
まったくだ――男はほくそ笑んで、女のひざ小僧を抑えると、差しのべられたふくらはぎにかがみ込んでゆく。
ちゅっ。
唾液のはぜるなまなましい音が、狭い空間のなか卑猥に洩れた。
圧しつけられた唇の下。
墨色のストッキングにひとすじ、細い裂け目が白く、ツツーッと伸びた。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
女の脚に咬みついた男は、喉を鳴らして血を吸い取ってゆく。
ストッキングの裂け目はじわじわと拡がって、女の脛の白さを露呈させた。
ったく・・・っ。もう・・・っ。
女は忌々しそうに歯噛みをしながら、自分の足許に加えられる恥辱に憤ってみせた。
ひとしきり血を吸うと、男は女の血潮に濡れた唇をもういちど甘えるように、女の脚に擦りつけた。
緊張の緩んだ薄手のナイロン生地が、男の唇の動きに合わせて、ふしだらなしわを寄せた。
破いただけじゃ、気が済まないのね?お行儀悪い。
男が濡れた唇をぬぐったのを見抜いて、すかさず女が悪態をつく。
男は澄ました顔をして、もう片方の脚も頂戴しようか?と、ニヤニヤしながら応じた。

じゅうたんの上は、凌辱の場になった。
新調のスーツを汚すまいと、女は四つん這いになって丈の短いタイトスカートをたくし上げられていった。
ストッキングをひざの下までずり降ろされて、むき出しになった太ももが眩しい。
女のうら若い生気をめでるように、男は女の首すじを吸い、ブラウスに血潮をしたたらせながら、血を啜った。
マントの合間から覗く青白い腰は意外に逞しい筋肉を持っていて、怒張した一物をスカートの奥に忍び込ませると、何度も何度も吶喊をくり返し、礼装の裏地に汚液を吐き散らしてゆく。
そのいくばくかが点々と、ピンクのじゅうたんにシミをつくった。

出てってちょうだい。着替えるんだから。
女はぷんぷん怒って、男を追い出した。
満足しきった男は口許を拭いながら、出がけに鄭重なお辞儀を忘れなかった。
女はそれをわざと無視して、身づくろいにかかった。
破れたストッキングを脱ぐと、しつように咬まれた脚をハンカチで拭い、首周りもおなじようにたんねんに拭った。
拭ったハンカチは丁寧に折りたたんで胸ポケットに差し、傍らの姿見に向かい合って、セットした髪が乱れていないかたんねんに点検した。
ひととおり満足するのに、かなりの時間を費やした。
新郎新婦の入場は、とうに終わったことだろう。
女がバッグを手に部屋をあとにすると、ひと呼吸おいて男がもう一度、部屋を覗き込んだ。
そして、部屋の灯りを消すと、小声で囁いた。

ご主人、もう出てきてもいいよ。
女房が襲われているところを覗きたいなんて、あんたいい趣味しているね。
その趣味に、わしはおおいに敬服するよ。
今夜は、ご夫婦で睦みあうがいい。
人妻を独りにしておくには、危ない夜だ。
披露宴の広間は夜中じゅう貸切で、招び出された女どもがわしの仲間の相手をする場になるでの。
もっともわしは、そちらのほうは遠慮するつもりだが。
代わりにあんたのお嬢さんを、いただくことになっているのでね。
きょうのカクテルドレスを取り寄せて、わしのためにわざわざお召くださるそうぢゃ。
お婿さんには、とうに話をつけてある。
お嬢さんは、正真正銘の処女だ。
前もって、生き血の味で確かめておる。
花嫁の処女喪失を覗きたければ、新床の部屋まで来るがいい。
留守ちゅう、新婦の母親が広間に出向いて、招待客の接待をするのを承知の上ならね。
それともご夫婦で、花嫁が一人前になるのを見届けるかね?
わしとしては、気の強い奥方が参戦されないことを希望するがね・・・
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