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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

街の婚礼

2015年09月07日(Mon) 06:52:23

この街の婚礼は、いっぷう変わった風習を持っている。
宴たけなわになると、招待客のうち男性だけが、帰ってゆくのだ。
それと入れ替わりに、どこからともなく、蒼白い顔つきの男たちがふら~っと現れ、宴席にさ迷い込んでゆく。
閉ざされたドアの向こうには、黄色い悲鳴が華やかに満ち溢れる。

薄いピンクに、濃い紫。淡い茶色に、深い濃紺。
色とりどりの光り物のスカートの下。
追い詰められた女たちは、新婦の友人、新郎の妹。それに新婦の兄嫁。
だれもがスカートの裾からにょっきり覗くふくらはぎを、真珠色に輝くストッキングに彩っていて。
それを目当てに、飢えた男の指が、唇が、迫ってゆく。

立ちすくんでいるのは、拒んでいない証拠。
はち切れんばかりのおっぱいの隆起は、揉んでほしい証拠。
拒絶の哀願は、姦ってほしいという意思表示。

なにもかもを、おのれの都合よいように受け取って。
顔の蒼い男たちは、うら若い女たちへと迫ってゆく。
衣装の下に隠された、うら若い柔肌を求めて。

ねじ伏せられた赤いじゅうたんの上。
女たちは競うように、肌色のストッキングに包まれたふくらはぎをさらして、
薄いナイロンの舌触りを愉しまれ、辱められながら咬み破かれてゆく――
引き裂かれたパンストをまだ脚に通したまま、その両脚をゆっくりと開いていって、
堕ちる瞬間の昂ぶりを、諦めのため息に織り交ぜてゆく。

主賓席では、新郎新婦の母親たちが。
黒留袖の帯をほどかれていって。
いずれ劣らぬ珠の肌をさらけ出しあって、
肩を並べて淑徳を散らしていって。
永年連れ添った夫たちを、その目の前で裏切ってゆく。

純白のウェディングドレスをまくり上げられた新婦は、
ツヤツヤとした光沢に包まれた城のストッキングの脚をばたつかせながら、
抑えつけられた円卓のうえ、テーブルクロスをくしゃくしゃにしながら、はやくもなん人めかの男を迎え入れて、
うろたえる新郎のまえ、花嫁修業に耽ってゆく。

そう。一部の男性は、退席を許されない。
この佳き日の主役を勤める男性と。
その種の歓びを自覚できるものたちは。
招待客の男性の多くが席を立ったあとも、宴席にとどまるという忌まわしい特権を与えられる。
妻が、娘が、妹が組み敷かれ、
よそ行きのスーツのすそを乱し、
ブラウスをはだけられ、
ブラジャーの吊り紐を切られながら、
家族の前であることも忘れて、吸血鬼どもの支配を受け容れよがり狂ってしまうまで、
しっかりと見届けさせられ、たんのうさせられる。

宴は、真夜中まで尽きることがない。
この式場では、披露宴の部屋の借り切りは、真夜中までとなっているから。
昂ぶり切った夫たちは、さいごには相手を取り換えあって、交わってゆく。
新郎は、新婦の友人代表と。
新婦の父は、新郎の母と。
新郎の父は、自分のまな娘と。
見境なく襲いかかって、身体を交え息を弾ませあってゆく。
それが、夫たちの払った代償に対する対価――
吸い取った血潮を口許に光らせたまま。
”彼ら”は、吸い取った血潮の持ち主である親族たちが、淫らに堕ちてゆくのを、愉しげに見届ける・・・
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