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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妹の彼氏。

2015年09月11日(Fri) 03:59:20

親友のカツヒロは、妹の彼氏。
妹の彼氏という存在は、どこかまぶしくて、目を背けたい気持ちにかられるもの。
だって、妹と親友を結びつけた・・・ということは。
そのまま、妹を犯す権利を与えた・・・という意味でもあるのだから。
けれども、あいつなら許せるな。だからこそ、妹の彼氏に、なってもらった。

同じクラブに属するカツヒロとは、帰りがいっしょになることが多い。
そのカツヒロのまえ、思わず口を、すべらせてしまった。
――若菜の彼氏になってもらったってことは、若菜を犯してもいいっていうのと同じことだよな?

しまった・・・と焦る俺に、カツヒロはちょっと目を細めただけだった。
わかるよ、その気持ち。
俺も自分の妹を、吸血鬼の小父さんに紹介するときには、そんな気がしたもんな。

この街の住民は、吸血鬼と共存している。
そんなうわさは、聞いていたけれど。
親友の口からそれが漏れると、どこか生々しい気分になる。
それ・・・うわさだけのことじゃあ、なかったの?
ああもちろんさ――カツヒロはこともなげに、そういった。

きみもそのうち、だれかに血を吸われるんだ。
俺はもう、吸われちゃったけど。まだ特別の相手はいないんだ。
妹も、お袋もそう。うちはそういう家みたいなんだ。
でも、俺はきみの血を吸うのとおなじやつに、咬まれたいな。
だって、きみの血を吸うということは、若菜の血も吸うっていうことだろう?

いくら彼女だからと言って、その彼女の兄貴のまえで、”若菜”なんて呼び捨てにすることはないだろう?
カツヒロの言い草よりもまずそちらのほうに、ビクンときたのは。
ボクも若菜に、気があるのだろうか?
実の兄妹だからといって、エッチな関係になってはいけない――そんな倫理観は、この街では素通りされてしまっている、という。

ああ、ごめんごめん。
カツヒロは目を細めて謝った。すぐにこちらの胸中に、察しをつけたらしい。
きみはまだ、この街の雰囲気に慣れていないからね。
自分の彼女やお袋までも呼び捨てにされてみたら、考え変わるとおもうよ。
そんなものだろうか?でも、ボクはまだ、この街に慣れていないのだろうか?
父さんだって、この街のだれかに血を吸われて――いまはもう、この世にいない。

もっとも、父さんの相手の名誉のためにひと言いえば、父さんがいなくなったことは血を吸われたことが原因ではない。出張中の事故が原因だった。
ほんとうは・・・相手に血を吸い尽くされて吸血鬼になりたかったのだと、ボクはあとから母さんから聞いた。
念のため土に埋めた父さんは、もうなんヶ月にもなるというのに、まだボクたちの家に戻ってこない。
母さんも、とっくにあきらめちゃっているようだった。

カツヒロと別れて、夕暮れの街を歩いていると。
ふと、呼び止められたような気がした。
振り向くとそこにあるのは、街の柔らかな闇――
声は、その闇の向こうから聞こえてきた。
きみ、木戸原さんの息子さんだね・・・?

そうだけど?
訝しげに応えたボクのまえ、影は意外にいさぎよく、その身をさらした。
気の抜けたような顔つきの、初老の男。
まとっている黒いマントが、彼の正体を告げていた。

わしは、きみの父さんの血を吸っていた者。あれからもう、100日近くになるね。
なにをしに来たの?
男に相槌さえ打たないで、ボクは訊いた。
きみの血を、吸いに来たんだ――
父親が吸われたら、息子があとを引き継ぐのが役目なのか・・・
ボクは無表情のまま、男が近寄ってくるのを迎え入れて、首のつけ根に鈍い痛みを感じていた。
咬み入れられた牙は、皮膚の裏側で重く疼いて――気が付いたときにはもう、夢中になっていた・・・


その次の日から、ボクは部活のあとの帰りを独りでたどるようになった。
独りで帰る・・・というボクに、カツヒロはちょっとだけ目を細めたけれど。
それ以上なにも訊こうとはせずに、にこりと微笑んだ。
じゃあ俺は、若菜といっしょに帰るから。

帰り道には、自宅近くの公園に、必ず寄り道をした。
黒マントの男はそこでボクを待ち受けていて、
ボクは部活のユニフォームのまま、短パンの下から太ももをさらして、男の牙を埋め込まれていった。
帰り道を制服に着替えなかったのは。
ひざ下までぴっちりと引き延ばしたユニフォームのストッキングが、男のお気に入りだったから。
ボクは練習のあとは必ずシャワーを浴びて、ストッキングを穿き替えて、家路についた。


あああ。やっぱりね。
聞きなれた淡々とした声色が、ストッキングの足許を男に愉しまれながらうつむいていたボクの頭上に、降ってきた。
だいぶ顔色よくないぜ?三日も連チャンだもんな。
カツヒロは柔らかく微笑むと、言った。
選手交代だ。きょうは俺が相手するよ。
カツヒロもまたユニフォーム姿で、短パンの下から逞しい筋肉によろわれたふくらはぎをさらしている。
おそろいのストッキングに縦に流れる太めのリブが、鮮やかなカーブを描いていた。
俺、木戸原とちがって脚太いからな。おっさん、こんなみっともない脚でも、咬んでくれるかな?
男はもちろんだ、ありがたくいただく・・・といって、カツヒロの足許に唇を吸いつけてゆく。
恋人がべつの男とキスをかわそうとするときのような嫉妬・・・を感じたのは、なぜだろう?

ちゅーっ・・・
ボクのときとおなじ、妖しく微かな音を洩らしながら、男はカツヒロの血を喫った。
そうして、若者二人の身体から吸い取った血を口許に光らせたまま、こういった。
どっちが若菜さんを、紹介してくれるんだい?

兄と恋人に紹介された吸血鬼に、若菜はさすがに目を丸くしながらも、意外なくらい従順に応じていった。
自分の部屋に、男3人を引き入れて。
こげ茶色の胸リボンに赤のチェック柄のプリーツスカートの制服を着たまま、
若菜は羞じらいながら、じゅうたんの上に組み敷かれていった。
初々しい、若々しい、柔らかな身体のうえに、ツタのように絡みついた男が。
若菜の健康な素肌に唇を這わせ、うら若い血潮を吸い取ってゆく――
貧血に顔を蒼ざめさせた男ふたりは、ウットリとなって血を吸い取られてゆく妹を、恋人を見守りながら。
説明のしようのない、羞ずかしい昂ぶりに、気分を妖しく惑わせていた。

つぎは、あんたの彼女の番だな。
男は淡々と、ボクにそういう宣告をする。
ちょうど同じころこの街に越してきた、父さんの同僚の人の娘――優衣もこの男に、喰われてしまうのか。

あの男、きみのことを本当に、好きなんだな。
カツヒロはいつもの淡々とした口調で、ボクに言った。
俺もきみが好きだから、きみの妹を欲しくなった。
きみ、俺に”若菜”って呼び捨てにされて怒っていたけど、内心ちょっと、ズキズキしてただろ?
同じことを、優衣さんのときにも感じるんじゃないかな。
彼女があいつに、髪の毛をつかまれてねじ伏せられて、首すじをガブリとやられちゃったときとかに・・・


いまでも、トラウマになっている。
そう。ボクはそのつぎの日には、男に優衣を紹介していて。
なにも知らずに訪れたボクの部屋。
髪の毛をつかまれてねじ伏せられて、首すじをガブリ!とやられちゃって。
ブラウスに撥ね飛ぶ血潮。
アーッ!という、たまぎる悲鳴。
濃紺のハイソックスのふくらはぎに吸いつけられた、赤黒く膨れあがった唇。
そんなもののすべてに、ボクは嫉妬し、昂っていた。
処女の生き血が好物だから、優衣はまだ犯されてはいないけれど。
彼女の純潔を喰われてしまう・・・という妄想が。
ボクの理性を崩れさせ、いびつに歪めてしまっている。

お袋も妹も、吸血鬼の小父さんに犯してもらったんだ。
若菜のことも、あのひとに先にヤッてもらっちゃうつもりだけどね。
目を細めて淡々と呟くカツヒロに。
知らず知らず、頷き返してしまっていた。
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