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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

親友の婚約者

2015年10月05日(Mon) 07:59:44

広永は、ふたりの様子を面白そうに見比べていた。
ひとりは、長い腐れ縁の吸血鬼。
もうひとりは、自分の婚約者。
「吸血鬼って、ほんとにいるんですねえ」なんて。
婚約者の美樹は、相手をまともに見つめてただ感心している。
知的な輝きを帯びた大きな瞳でまっすぐ見つめられながら、吸血鬼はその視線をまともに見返していた。

これが、お見合いというやつだったのかーー
広永は知っていた。
慣れない都会に出てきて、生き血を獲るあてもなく、もうすでに数日経っていることを。
それでも親友の婚約者をまえに、吸血行為をがまんしていることを。
飢えた目線の目の前に突き付けられた獲物は、24歳の才媛のうら若さを、あざやかすぎるほどに見せつけていた。
あとはただ、ちょっと座をはずすだけでよかった。

どたん!ばたん!
ドアの向こうから漏れる音に耳をふさぐようにして、広永はホテルの廊下を一歩でも遠くとばかり遠ざかっていった。

だいじょうぶ。それ以上のことはしないから。
あんたは大事な親友の婚約者なんだから。
男の言いぐさは、どうやらほんとうのようだった。
美樹はじたばたともがきながら、首すじに突き立てられた牙をどうする牙をどうすることもできなかった。
ズブッ!とめり込んできた尖った異物が、柔肌の奥深くに埋め込まれてーーその刹那感じためくるめく快感はなんだったのか。
親友の婚約者が相手でも、錯覚に理性をしびれさせるようなまねだけはするというの?
男は美樹をソファのうえに押し倒し、むさぼり、またむさぼった。

ひとしきり、嵐が過ぎ去るとーー
男は美樹を助け起こして・・・それでも一度さらけ出してしまった本性は押し隠せなかったらしく、
「これだけは目をつぶってくれ」といって、
美樹の足許にかがみこんだ。
薄手のストッキングに透きとおるふくらはぎに唇を吸いつけられ、ふたたび牙が刺し込まれた。

ちゅう~っ。
脳天がしびれてゆく快感が、ふたたび美樹を支配した。
ストッキングが鮮やかなカーブを描いて裂け目を広げてゆくのを、ただ面白そうに見下ろしている自分がいた。

わしが都会にいるあいだ、また逢ってもらえますか・・・?
男の問いに対する返答がわりに、美樹はストッキングの破けていないほうの脚を、そっと差し伸べていた。
彼に黙って逢ってあげてもいいわよ、と、囁きながら。



いつもは無難な色を選んで穿いているストッキングを、きょうは妖しい墨色に穿き替えていた。
付き添ってくれるのは、未来の夫の広永。
あのあといっぱい、毒づいたものだった。
「いくらなんでも、そういう事情があるのなら、前もって話してほしい」
彼はなんでも、話してくれた。
その結果ーー
披露宴前夜の、今夜になった。
彼女の純潔を勝ち得るのは、花婿の悪友になったのだと。
きみとの初夜は、3人で愉しみたいーーそれが広永の願望なのだと・・・美樹はうっとりとしながら、受け入れていた。

初めて咬まれた日。
彼が毒液を注ぎ込んでくれたのは、いまにしておもえば、とても賢明な行為だった。


あとがき
未来の夫への配慮から、初めて襲ったその時に凌辱までしなかったことが、彼女の気持ちを射止めてしまった。
そんなお話のようです。^^
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帽子。

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