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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

供血ノルマ

2015年10月18日(Sun) 06:34:05

なんとかしてあいつに、血を吸わせなければ。
それはいまの俺にとっては、必須の課題になっていた。

さいしょの出会いは、仕事帰りの夜だった。
後ろからいきなり襲われてーー気がついたときにはもう、道路のうえに寝そべっていた。
しばらくのあいだは、気絶してさえいたらしい。
そのあいだにヤツは、俺の血をあらかた、吸い尽してしまっていた。
顔面が冷えているのが、自分でわかる。そして、寄り目になっているのも。
ヤツは俺のようすをひと目みて、そして言った。
ここで待ってろ。
しばらく経ってからあいつが捕まえてきたのは、スーツを着た若い女だった。
勤め帰りのOLらしい。女は怯えきっていたが、抵抗する意思は失っていた。
首すじからは、紅い糸のような血のりのあとがひとすじーー俺は夢中になって女にむしゃぶりついて、
さっき俺自身がそうされたように、うなじの咬み傷に唇をあて、血を吸い取っていった。
路上に大の字に寝そべった女のうえ。
俺は首すじを吸いつづけ、奴は足許にかがみ込んで、ストッキングをぶちぶちと破りながらふくらはぎに食いついていた。

足りないな?もう少し待ってろ。
なかなか戻ってこないヤツのことを待ちかねて、
俺は仰向けになって気絶したままの女に覆いかぶさって、ひたすら喉の渇きを紛らわせていた。

ばか野郎。死んじまうだろうが。
鋭い囁きが、頭上から降ってきた。
やつが引きずってきたのは、半死半生のサラリーマン。
男だろうがなんだろうが、かまわない。
いまの俺は、ひたすら喉が渇いていた。

3人めは、なんなく捕まえてしまったらしい。
今度は、制服姿の女子高生。
こんな夜遅くまで、ほっつき歩っているのがよくないのだ。
自業自得なんだよ。と、呟いたのは、俺だったのか。ヤツだったのか。
やつは、女の首すじに咬みついて。
俺は、立ちすくむ女の足許まで這いずっていって。
紺のハイソックスを脱がせる手間も惜しんで、ふくらはぎを咬んでいた。

3人もの人間の血が、俺の身体のなかで織り交ざり合いながら、喪われた体温を取り戻していった。
傍らには、呆けたように尻もちをついた三人の男女。
やつはそのひとりひとりのうえにかがみ込んでーー
とどめを刺すのか?と思ったが。どうやらそうではないらしい。
額に手を当てて、なにやら呪文めいたものを唱えている。
一人、またひとりと・・・意識が定かではないながら、かすかにうなずいているのが見えた。
このまま置き捨てにしておけばいい。
気がついたときには、記憶をなくしたまま起き上がって、勝手に来た道をもどるだろう。
お前は・・・
不覚にも喉が渇いていたので、吸い過ぎた。
血を吸う癖がついちまったようだから、俺から離れることはできないぞ。

それからは、毎晩のようだった。
俺は仕事帰りに同じ場所でヤツに待ち伏せされて・・・
それでも帰り道を変えようとは、しなかった。
なにしろ俺だって、喉が渇いていたから。
そしてなによりも・・・まだ独力では狩りはできないのだから。

そんな俺のために、ヤツは獲物を引きずってくれてきた。
獲物を捕まえる能力を高めるために、まず俺の首すじをガブリとやるのは欠かさなかったが。
たまにはお前も、だれか連れてこい。
それが難しいと思うなら、お前の家にだれかを連れてこい。
あとはおれが、勝手にする。

そういうヤツの囁きにほだされたようになって。
俺は仕事仲間を家に飲みに誘った。田舎から珍しい地酒が届いたと偽って。
さいしょは同年輩の男ふたり。
それから、酒好きの若い女が三人で。
どちらの獲物も、ヤツは旨そうに味わった。
女のときは、俺まで昂奮した。
次々に首すじを咬まれ昏倒した女を襲うのは、かんたんだった。
セックス経験のある女は、もっと愉しんでいいんだぞ。
やつは陰湿な嗤いを泛べると、俺は強くうなずいていて・・・
大股をおっ拡げて仰向けになった女たちの太ももの奥に、そそり立ったモノを挿し込んでいった。

男でもいいのか?俺が訊くと。
そのうちわかる。ヤツはうそぶいた。
三日経って、ヤツのねらいがわかった。
さいしょに獲物にしたふたりの男のうち所帯持ちのやつのほうが。
自分の妻を連れて、おずおずと俺の家にやってきたのだから。
セックス経験のある女が相手のときは。
俺にも愉しむ権利が認められた。
せめて武士の情けで見せつけるのはよしにしようと・・・俺はだんなのほうの血を、めいっぱい口に含んでいった。

吸い尽してしまうのでなければ。
ひと晩に2,3人は必要らしい。
もちろんほとんどは、自分で狩ってくるのだけれど。
俺の助力は不可欠だといわれた。
特に仕事のある日は、もっと仲間を誘って来いと言われた。
俺の家で気を失った連中は。
その晩のことはなにもかも忘れているようだったけれど。
ーーあいつの家に招ばれたやつは、つぎの日目が死んでいる。
そんなうわさがどこからともなく立って・・・
どのみち出稼ぎの季節が終わろうという時期だったのをしおに、俺は都会を引き払った。
やつがついて来るといったとき。
くすぐったい戦慄のようなものが脳裏を奔った。
ひと晩に三人も喰えるほど、人はおらんぞ。
にらみ返した俺を、やつはたったひと言で黙らせた。
ーーお前の女房に興味があるんだ。
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