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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

供血ノルマ 2

2015年10月18日(Sun) 07:00:08

なんとかしてあいつに、血を吸わせなければ。
それがいまや、俺の日常になっていた。
生まれ育った街並みは、都会に出稼ぎに出た日と変わりなく、寂れたたたずまいに沈んでいたが。
いまの俺にはもう、狩り場という別の場所に思えるのだった。

駅に着いたとたん、やつの姿はフッと掻き消えていた。
入れ代わりに、出迎えに来た女房が、いつも通りのむっつりとした表情で俺を車停めに促した。
久しぶり、という笑みも、元気だった?という気遣いも、とっくになくなった夫婦だった。
代わりにハンドルを握った俺は、いつもの道を帰りながら、ヤツとの最後のやり取りを反芻していた。
女房は認めてやる。でも娘は、かんべんしてくれ。
ヤツはほくそ笑みながら、呟きかえした。
いいだろう。娘はお前の分だ。
なに言うんだよ・・・と、さらに蒼ざめる俺に。
まあ、どのみちお前の好きになるさ。
ヤツは不吉な予言をくり返しただけだった。

家にあがったのは、まだ真っ昼間だった。
俺は女房を掻き抱こうとし、女房は不快げに、俺を払いのけようとした。
留守宅に男が上がり込んだ形跡を、女房の態度でかぎつけていた。
お愉しみのようだな。
ふとわき起こる声色に、夫婦ながらぎょっとして振り向くと。
いつの間にか背後に、ヤツがいた。カギはちゃんと締めたはずなのに。
それからは、お定まりの光景だった。
あァ~・・・
女房は声をあげて男を振り放そうとしたけれど。
すぐに首すじを、咬まれてしまっていた。

昏倒した女を、男ふたりで見下ろして。
ヤツは俺に、物騒な診断結果を告げていた。
さっきまで男と逢っていたな。
めったにスカートを穿かない女房が、珍しく薄茶のスーツ姿だった理由が、ようやくわかった。
わかっているよな?
好きにしろよ。
禅問答のあと、俺はリビングから出ていき、ヤツは女房のうえに覆いかぶさる。
セックス経験のある女には、べつの愉しみかたがあった。

きょうじゅうに最低、二人分の血液が要る。俺も長旅のあとで、喉をカラカラにしていたから、もっとかもしれなかった。
答えに行き着くのに、さほど時間はかからなかった。
ちょうど娘の、下校時間だった。
ただいまぁ・・・
ガタガタと玄関を開けるもの音が、ひどく呪わしく俺の耳に響いたーー

あっ!う、うーんっ!
首すじを咬まれた娘は、黄色のカーディガンの肩をほとび散らされた血に濡らしながら、
顔をしかめて歯を食いしばった。
立ちすくんだ足許にも、ヤツはかがみ込んでいって。
白のハイソックスのふくらはぎに唇を吸いつけると、
チュウチュウ音をたてて、娘の血を吸い取ってゆく。
大の字に倒れたときには、真っ白だったハイソックスは、赤黒い血のりにべっとりと濡れていた。
室内に立ち込める錆びたような芳香が、俺を狂わせた。
ヤツの約束破りを認めてしまうだけ・・・そうと知りながら。
昏倒した娘のうなじを吸おうとして、俺はおさげに結った髪の毛を、せわしげに掻きのけていた。

夕餉はいつもどおりだった。
酔いから覚めた女房はなにかに引きずられるようにして、ふらふらと台所に起って行って。
蒼ざめた顔色に感情の消えた表情のまま、トントンと包丁の音をたてていたし。
娘はむすっとして勉強部屋に引きこもり、いつもより少しだけ熱心に、予習復習に取り組んでいた。

夕餉が終わると。
女房は娘を連れて、ヤツの待つ夫婦の寝間にむかった。
無表情のまま娘の両肩に手を置いて。
それから片手で、娘のおとがいを引き上げた。
ヤツは当然のように、娘の喉笛に、食いついていった・・・
風呂上がりに着替えた空色のブラウスと、赤と白のチェック柄のスカートに、
赤黒い血潮がぼとぼとと、重たい音をたてて撥ねかった。

娘がたたみのうえに膝を折ってしまうと。
女房は娘を抱きかかえて、勉強部屋に敷いてあった布団に寝かしつけて。
ヤツを横目でにらむと、自分からブラウスの襟首をくつろげていく。
俺のことはもう、見えていないかのようだった。
そのまま首すじを咬まれて。
ひざを着いたところを、後ろに回られて、スカートの上からお尻を咬まれて。
さらにうつ伏せになったところを、肌色のストッキングを咬み破られながら、ふくらはぎを吸われていって。
片方脱がされたパンストをぶらぶら揺らしながら、大股に開いた脚をばたつかせながら、ひーひー呻いていた。
その晩ひと晩で、女房は生き血を吸い尽された。
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