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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血ノルマ 3

2015年10月18日(Sun) 07:08:27

坊主を呼べ。いや、こちらから出向こう。
ヤツはそう言い捨てると、
顔色を鉛色にした女房と寝息を立てる娘とをそのままにして、
俺を寺まで案内させた。
寺のお内儀は50近かったが、美人だった・・・と、妙なことを思い浮かべながら、
真っ暗ななかのわずかな街灯を頼りに、俺は寺の門をほとほとと叩いていた。

寺のなかにある住職の家は、だだっ広く、寺と同じくらい古びていた。
首すじに血をしたたらせながら、目つきをとろんとさせた住職
急な弔いをするといわれても、さして表情を変えることなく。
ご愁傷さまでしたな、と、俺に言っただけだった。
奥さんと子供がいないようだが・・・と、ヤツは言った。
息子と娘がいるはずだな。
娘は熱を出して寝ている、とだけ、住職はいった。
息子と奥さんは?重ねて問われてーー
おなじ部屋で寝ている、と、住職はいった。
どういうことなのだ?訊きつのる俺に。
そういうことなのさ。と、やつはいった。あまりひとに恥をかかせるもんじゃない。とも。
若いの、この土地では見かけんお人ぢゃが。事情に詳しいのかの?
住職の問いに、血を吸い取ると、いろんなことに詳しくなるのさ、と、ヤツは応えた。

家族に手を出すのは、あとの愉しみに取っておく。
あしたは弔いを、よろしく頼むよ。
ヤツは楽し気にそういって、住職も面白そうに、頷いていた。

きょうは達成率100%。まずまずだな。
ヤツのうそぶきに、俺は本能的に安堵を覚えていた。
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