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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

お世話さま。

2015年10月26日(Mon) 07:44:37

お疲れさん。
別れぎわ、吸血鬼はいつもそんなふうに、声をかけてくる。
お世話さま。
わたしのほうも、いつもそんなふうに、礼儀正しくお辞儀を返す。
ばかじゃないの。
妻はそんなわたしを肘でつついて、けんつくを食らわせる。
だって、あたしたちのほうが、お世話してるのよ。もっといばってかまわないんだから。

妻の言い分も、もっともではある。
さっきまでふたりして、わたしのまえで息をはずませ合っていたくせに。
こういうときにはどうにも、吸血鬼につれないそぶりをしてみせる。
傍らで笑っている吸血鬼は、わたしたち夫婦の身体から吸い取った血潮を、まだ口もとからしたたらせているのだが。
そんなことはまったく、おかまいないらしかった。
血を吸い取られても、生命までは奪られない。
そういう確証があるからなのだろうし、吸血鬼のIを得ているという確信も、妻を支えているに違いない。
そう――人妻が吸血鬼に血を吸われると、そのまま犯されてしまうのが、当地でのお約束。。

さいしょに襲われたのは、この村に着いて数日後のこと。
まだ引っ越しのあと始末もつかないようなときにかり出された、法事の手伝いのときだった。
読経の終わった本堂は、乱交の場となり果てていた。
慣れている奥さんたちは、それぞれなじみの吸血鬼のもとに走り、
夫たちは気をきかせて座をはずしたり、自分の妻が引きずり込まれた空き部屋をのぞき見したり・・・
もちろん、あいさつ抜きで挑みかかられたわたしたちに、そんなゆとりがあるわけはない。
わたしは妻を守ろうと必死で闘い、
けっきょくはねじ伏せられて、首を噛まれた。
妻は本能的に貞操の危機を感じ、やはり必死で抗って、
けっきょくはねじ伏せられて、首を咬まれた。
わたしは身体の力が抜け切ったまま、ただ腑抜けのように、
妻がみすみす餌食にされてゆくのを、薄ぼんやりと見つめていた。

ちゅーちゅーと美味しそうに妻の生き血を吸い上げる吸血鬼を、恨めし気ににらむと。
やつは嬉し気にVサインを送り、意味深なウィンクをして・・・妻のスカートを、引き剥いでいった・・・

おおぜいの吸血鬼が、なん人も相手を変えて、都会育ちの人妻と交わるのをしり目にして。
やつは「この人がいればもういい」と言って、仲間からの度重なる交換の要請に応じようとしなかった。
それだけが――妻の身に恥辱を重ねさせたくないというわたしの要望と一致した。

家まで送る・・・というやつの申し出を拒む気力は、わたしたちには残されていない。
真昼間、半裸どうぜんに剥かれた喪服をまだ身にまといながら、
わたしたちは意思をなくしたように、とぼとぼと家路をたどる。
家にあげてはいけなかったのだと、あとで聞かされた。
当家として貴男の訪問を歓迎する――そんな意味にとられてしまうというのだ。
”歓迎”を受けた吸血鬼はふたたびその場で妻を抱き、犯していった。
わたしは、意味不明な昂ぶりを感じながら、もうやつの所業を妨げようとはしなかった。

それ以来。
やつの訪問は、ひきもきらなかった。
わたしは大声をあげ、なぐりつけ、ひざ蹴りを食らわせてやつを撃退しようとし、
やつはわたしのあらゆる攻撃に耐えて、最終的にわたしの首を咬むことに成功した。
咬まれてしまうと、あとはもう――麻酔のようなものだった。
その場でへたり込んだわたしのまえで、やつは観念して立ちすくむばかりの妻に迫って首すじを咬んで、
肌色のストッキングのうえから、ふくらはぎにも咬みついていった。
あとはお定まりの、ベッド・シーン・・・

なん度かそういう訪問をくり返し受けたとき。
やつは落花狼藉の最中に、妻の頭をつかんで囁いた。わたしにも聞こえるように――
どうぢゃ、エエぢゃろ?エエぢゃろ?お前の亭主よりもずっとエエぢゃろ?
いっそ亭主と別れて、わしの嫁にならんか?
それは反則だろう――声をあげたかったが、力がなくなっていた。
「エエぢゃろ?」と言われるたびに、妻は無言でうなずき続けていた。
妻はあえぎながら、応えた――
「あなたのものになります。でも――
 セックスはいいけれど、主人と別れるつもりはありません」

そうか・・・
やつはしんそこ、落胆したようだった。
わかった・・・
妻の胸の谷間に顔を埋めたのは、涙を見せないためだった――と。
皮膚に沁み込んだ潤いを感じた妻が、あとでそっとわたしに告げてくれた。

話はすぐに、まとまった。
出かけるのが恥ずかしかったら、来てもらえばいい。
そういうわたしに、小声でそうしますとだけ呟いた妻は。
やがて大胆にも、「私出かけますから。誘われましたから」と、まえの晩に告げるようになった。
妻はわたしの出勤と前後して家を出、やつのところに入り浸る。
スーツに着替えた妻に、「ゆっくりしていらっしゃい」そんなことまで言える余裕が身に着いた。
きっと、やつとの境界線が、きちんと定まったからなのだろう。

視ないで・・・視ないで・・・そう訴えつづけていた妻は。
「あなたのものになります」と誓ってからは、言葉を変えた。
ねぇあなた、視て・・・視て・・・と。

けれども気強い性格は、やつの奴隷に堕ちてからも、変わることはなかった。
「お世話にしてるの、私――」
そう訴えて、やまないのだった。
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