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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻と結婚していただけませんか?

2015年11月17日(Tue) 08:02:37

妻と結婚していただけませんか?
青葉さんの申し出は唐突だったが、
置かれた状況を考えると、さほど乱暴なものではないともいえた。
ここは病院の個室。
青葉さんはベッドのうえで、死病を相手に、もうじき決着のついてしまう戦いをつづけていた。

申し出を受けたとき。
奥さんの鵜紀乃さんも同席していた。
思い詰めた大きな瞳が、わたしのことをまっすぐに見つめている。
美人というものは、悲嘆さえも魅力にすり替えてしまうらしい。
看病疲れのやつれさえもが、かえってなまめかしかった。

断ってくれてもいいんですよ。
あなたは信用できる方のようだから申し上げるが、
妻には吸血鬼の愛人がいます。
それは夫のわたしにしか見えないが――
妻と結婚してくださるのなら、彼のことも引き受けていただくことになるのだから。

ほんとうに、よろしいのですか?
思い詰めた大きな瞳は、先刻の病室でと同じくらい、ひたむきにわたしに向けて注がれている。
ここは二人きりのホテルの一室。
ひんやりとした畳の感触が、薄暗い室内のなかで、かえって身体のほてりを伝えてくる。
初婚でいらっしゃるんですよね?
女の口調は念を押すような気づかわしさを漂わせていた。
それはわたしのことを値踏みするとか、
婚前から続いているほかの男との不倫関係を認めてほしいというようなあざとさとかとは、遠いものがあった。
はい、だいじょうぶです。
わたしは彼女の懸念を押しのけるように、自分でもびっくりするほどはっきりとした声で、こたえを返していた。

では・・・
鵜紀乃さんは起ちあがると、ブラウスの胸元に手をやって、ボタンをひとつづつ、はずしてゆく。
それからストッキングを片方脱いで、ショーツをつま先まで滑らせると、丁寧に部屋の隅へと脱ぎ捨てていった。
はずませ合う呼気が、部屋の冷ややかな空気を熱く染めた――

すべてを吐き出して、仰向けに横たわるわたしのかたわらで。
鵜紀乃さんのうえに、影が舞い降りた。
影は鵜紀乃さんを包むように覆いかぶさると、ミイラのように痩せこけた猿臂で、彼女を抱きすくめてゆく。
わたしはどうすることもできなかった。金縛りにあって痺れた身体は、わたしのいうことをきかなかった。
どうすることもできないでいるあいだに、鵜紀乃さんは抱擁を受け入れて、
さっきよりもいっそう熱っぽく、息をはずませ始めた。

はぁ・・・はぁ・・・
ぁう・・・うぅん・・・っ

悩ましい声色にわたしの股間は逆立ち、鎌首をもたげ、畳の上におびただしい粘液をまき散らす。
そのあいだじゅう鵜紀乃さんは、わたしの傍らで乱れ、身に着けたままのスカートの裏側を、わたし以外の男の粘液に染めていった。
影が去ったあと。
しなやかな腕がスッと伸びてきて、鵜紀乃さんはわたしの掌を握りしめた。
わたしも彼女の掌を、ぎゅっと握り返していた。

翌日、ふたりで病室を訪れると。
青葉さんはにこりと笑って、「お似合いですね」とだけ、いった。
少し寂しげな、けれども満足そうな笑みだった。
それからしばらくのあいだ、わたしたちはホテルで密会を続け、その足で鵜紀乃さんの夫の看病に通っていた。
青葉さんは満ち足りた静けさのなかで、永遠に目を瞑った。

鵜紀乃さんとの新婚生活は、幸せそのものだった。
新居の壁のシミが浮き上がるようにして、夜中に彼女の肩をひっそりと抱く影を、
わたしはもう、妨げようとはしなかった。
夫にだけ見える吸血鬼。
そいつは鵜紀乃さんをうっとりとさせ、新調したブラウスを惜しげもなく持ち主の血潮で彩らせてゆき、
わたしの目のまえで、わたしを裏切る淫靡な舞いをくり広げさせてゆく。
そのあいだじゅう。
わたしは股間を逆立てて・・・恥ずかしい熱情を、新居のじゅうたんのうえに吐露していった。
青葉さんもかつては、きっとそんなふうに振る舞っていたのだろう。
重病人の研ぎ澄まされた勘がわたしの本性を見抜き、生前に妻の婚外性交を受け入れてまで、自分のあとがまを確保したのだ。
わたしの妻となった鵜紀乃さんは、満足そうに、淫靡な吐息を吐き散らしながら、
わたしだけに見せる淫蕩な振る舞いを、それは愉し気にくり返していった。


あとがき
重病人の夫の承諾付きで、つぎの夫となる男と性交をくり返す妻。
吸血鬼の愛人がいると知りながら、彼との共存を受け入れて、女を受け入れる夫。
そんなところを描きたかったみたいです。 ^^;
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