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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

娘の制服代。

2015年12月07日(Mon) 03:54:34

自宅のリビングで。
妻は着ていたブラウスをはぎ取られて、犯されたままの姿勢で気絶していた。
かけつけたわたしを待ち受けていたその男は、「おかえりなさい」とぶっきら棒に声をかけてきた。
30分前、勤め先に電話をかけてきた妻の声は、切羽詰まっていた。
「あなた!早く帰って来て!家で男に襲われているの!」
男はその直後、躊躇なく妻を犯し、大胆にもわたしの帰宅まで待ち受けていたというわけだ。
「いったい、どういうことなんですか!?」
わたしの抗議を軽く受け流すと、男はいった。
「時々お邪魔するんで」

この村に赴任するときに、上司に言い含められていた。
「栄転ポストだよ。なにしろあそこは、社長の出身地だから。
 でも土地柄が、特殊でね。女とみれば見境なく抱いてしまう風習があるそうだ。
 奥さんは任地に帯同するのが、赴任の条件になっているから――どうなるかは、わかるだろうね?」
社長は生まれ故郷に報いるために、地元の雇用創出をうたって、この事務所をつくったのだが。
実態は、都会育ちの人妻を提供するために社員を赴任させたのだった。 
赴任の対象となる社員は、厳密な性格検査を経て選抜されていた・・・

覚悟してはいたものの。
いざこうなってみると、あきれてものが言えなかった。
妻はおっぱいをまる出しにして、ぶっ倒れていた。
白い乳房もあらわに、窓から射し込む陽の光に曝していた。
この村に赴任して、まだ一週間と経っていなかった。

「時々って・・・どれくらい?」
思わず口走るわたしに、男はいった。
「気が向いたらいつでも」
と。

翌日家に帰ると、妻は気に入りの紫のワンピースを着たまま、わたしの帰りを待っていた。
「私、浮気してしまいました」
妻は言いにくそうに、そういった。
昼間に紫のワンピースを着て外を歩いていたら、またもあの男に襲われたのだという。
(赴任してきた都会妻たちは、外出するときはよそ行きの服で聞かざることを義務づけられていた)
「この服・・・お気に入りなのに、破こうとするんです。
 ”この服だけはやめて!”っていったら、手を引っ込めてくれて・・・
 それで私、浮気することにしたの・・・その場で服を脱いじゃったんです」
わたしのことを恐る恐る見あげる妻の前には、離婚届が置かれていた。
わたしはなにも言わずに、その忌まわしい紙切れをくしゃくしゃに丸めていた。
「あいつといっしょになりたいのか?」
「イイエ、でも追い出されたら俺のところに来いって言われたわ」
――夫婦の選択は、ひとつしか残されていなかった。

あくる日帰宅すると、妻はまたもブラウスを裂かれて、床のうえで気絶していた。
「おかえりなさい」男はこのまえと同じように、ぶっきら棒にそういった。
「服破くの、趣味だもんで」
男は見当違いのことをいって、きまり悪げに頭を掻いた。
この土地の風習のままに動いているだけで、決して悪気はないのだ。
赴任したその日に、上司がわたしに言った言葉を、いまさらのように思い出していた。
「これ、洋服代。悪りぃから」
男は着崩れしたジャケットの内ポケットから、かねて用意していたらしい封筒をわたしに差し出した。
「いや・・・受け取れない」
受け取ってしまったら、妻に対する強姦同然のセックスを認めたことになってしまうような気がした。
「あー・・・そうだよな。かえって悪いことをした」
男はあっさりと、封筒を引っ込めた。
「こんど奥さん連れて、気に入った服を買うから」
男の言いぐさに、もはやわたしはなにも応えなかった。
妻が身じろぎをした。話し声に気づいて、われに返ったようだった。
「おかえりなさい」
目つきがとろんとしていた。
乱れた髪をけだるげに繕うと、「お茶淹れますね」といって、転がされていたじゅうたんのうえから起き上がった。
「すまない。もう少し、別れを惜しませてくれないか」
男のぶしつけな要求には応えずに、わたしは妻に声をかけた。
「お茶はふたつでいいから。お前と――この人の分」
勤め帰りの夫は、妻の浮気相手のために、そのまま外へと引き返したのだった。

外には出たものの、家から離れることはどういうわけか、できなかった。
庭先にまわり、縁側に腰をおろしたわたしは、隣家の人に気づかれないかと気にかけながらも、
家のなかの物音に耳を澄ませていた。
テーブルの上の茶わんが、ひっくり返る音。
蹴とばされたソファが壁にぶつかる音。
そして、妻の切なげなうめき声――
不覚にも、股間が逆立ち鎌首をもたげるのを、どうすることもできなかった。

それ以来。
妻はあの男と、ブティック通いを始めていた。
わたしが出勤してしまうと、もう自由の身だった。
三十代の人妻はショルダーバッグひとつを提げて、男と腕を組み、堂々と街なかを闊歩する。
裂かれた衣装の代わりを買ってもらうと、そのままラブホテルに直行して、夕方までをいっしょに過ごす。
男は律儀者らしく、わたしの帰宅時間に姿をみせることは、なくなった。

「由佳の制服代出してくれるっていうの」
妻が唐突にそう切り出したのは、日曜の朝のことだった。
だれが、という主語さえ省略しても、夫婦のあいだでそれがあの男のことだという黙契ができあがっている。
春から中学校に進学する娘の由佳は、友達のところに遊びに行っていた。
都会からいっしょに赴任してきた家の、同学年の少女のところだという。
「どうして?そんな筋合いないじゃないか」
口を尖らせるわたしが妬きもちをやいているのだと察した妻は、わたしをしり目に洗濯物の始末を始めながら、
「制服代助かるわぁ」
とだけ、いった。

真新しいセーラー服を着た由佳は、ハイソックスも新調したらしい。
白の無地の真新しいハイソックスが、発育の良い脛を、眩しくひきたてていた。
「制服のお礼に行ってくるわ。あなたにお願いしてもいいんだけど――」
きみとふたりじゃ、彼が目移りするだろう・・・といいかけたのを呑み込むと、
「いや、ぼくが行くほうがすじかな」
そういって、わたしは読みさしの新聞をおいて、起ちあがる。

娘を連れた父親は、あの夜の夫とおなじく、入った家からすぐに出て行った。
男の家は貧しげで、手入れのされていない庭に面した縁側は朽ちかけていた。
隣家に気取られるのを気にかけながら、
娘がじたばたと抗う物音やら、
「痛い!」「痛っっ!」という叫び声やら、
なん度もされてしまって慣れた身体に戸惑いつつも、べそを掻きながらも相手を始める気配やらに、
昂ぶりを抑えかねながら、聞き入ってしまっていた。

制服は入学前に、二着めが必要になっていた。
その二着めを着た由佳が、ラブホテルに誘い出されたと妻からきいたのは、翌日の夜のことだった。
ここの土地は狂っている。
あきらかにそれとわかる未成年が入って来ても、同伴の男が親子だというと、休憩を受け入れてしまうのだった。
もっとも、実の父娘の場合さえ、時としてはあるのだという――

「スカートの裏側がちょっとごわごわしているけど――中学ではみんなそうなんだって。
 授業中に呼ばれることもあるんだって」
無邪気な声できわどいことを口にする由佳は、自分の言っていることの意味をどれほど、心得ているのだろう?
その由佳が、すでになん着めかになった制服姿で、わたしの傍らに寄り添っている。
ふたりが歩みを進めるのは、男と二度目の体験をしたあのラブホテルだった。

村の男に自分の妻を提供した夫には、仲間に入れてもらえるという特権があった。
行使するしないは、もちろん自由意志なのであるが――
「だれがいい?より取り見取りだぜ?もちろん、あんたの会社の同僚の奥さんでも、たいがい平気だぜ?」
妻の仇敵であるはずのあの男は、すでに仲間の目線になっていた。
その男のまえで、わたしは躊躇なく、自分の娘を指名していた。
白いハイソックスに包まれた発育の良いふくらはぎに、魅せられたように――
「いいと思うわ」
妻が即座に、賛成した。
勉強部屋にこもっていた由佳を呼ぶと、
「あした、お父さんといっしょにあのホテルに行きなさい。小父さんにしてあげてること、お父さんにもしてあげて」
娘はわたしを値踏みするような目つきで窺うと、あっさりといった。
「ウン、いいよ。学校終わったらすぐ帰ってくるから」

「親子です」
あのとき、男が見え透いた嘘をいったときとおなじ文句を、わたしもホテルのフロントに告げていた。
ホテルのボーイはふだん通りの業務口調で、「親子連れさま、ご休憩――」とだけ、同僚に伝達していった。
傍らをふり返ると、感情を消した白い頬があった。
目は真っすぐと、前を見つめている。
これから別人のように乱れた吐息を重ね合うのを、はっきりと自覚しながら・・・


追記
服を破りながら荒々しい性交をするのを好む男が、妻の洋服代を払おうとする。
その彼が娘の制服代を持とうとするとしたら、意図はひとつ・・・
そんな話にするつもりでしたけれど、
描いているうちに、奥さんの存在感がグッと出てきて、
妻を相手に強姦同然のセックスに耽る男を咎めながらも、そんな日常を受け容れる夫の姿を描くのに熱中してしまい、
かんじんの後半が短くなってしまいました。
あと、父と娘とをかけ合わせたのは、描いているうちに生じた出来心が総てです。 (^^ゞ
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