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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

姦の村 3  村から離れても。

2015年12月14日(Mon) 03:47:53

毎晩のように列をなす、夜這いの男たち――
そのなかに、職場の上司を見出したのは。
ひと月と経たないころのことだった。

妻を差し出したものはだれでも、その村の女を抱くことができる。
男衆のひとりが教えてくれた村の掟そのままに、行動した結果に過ぎなかった。
「すまないね、嘉藤くん。奥さんには以前から、執心だったのだよ」
長柄次長はそういって、すこしだけ申し訳なさそうな顔をしたけれど。
村の掟のなかではもちろん、そうしたことも受け入れなければならないと、
妻をさいしょに犯した男から、告げられていた。

もちろんわたしも、そうした資格を与えられた一人だったけれど。
妻以外の女性を抱くことは、ついになかった。
妻がほかの男に犯される。
見慣れたスーツを着たまま犯される。
着飾った衣装をはぎ取られながら、凌辱されてゆく・・・
そんな光景にゾクッと感じてしまった以後、わたしは別人のようになっていた。
いや、そうではなかったのかも。
性格検査が見通した知り得なかった本能が。
異常な風習がまかり通るこの村で、初めて開花しただけなのかも知れなかった。
「気にしなさんな。そういう人もたんと居るから」
妻をさいしょに犯したその男は、わたしをかばうようにそう囁いた。
「わしらにとって、あんたのような旦那は、とても都合がエエもんでのう」
目じりを好色そうに皺寄せながら、男は上目遣いにわたしを見た。

そんなわたしのことだから。
日常職場で上司として顔を合わせている長柄次長が、妻を抱きに訪れたとしても。
日常を踏み破る昂ぶりを、いっそう強く感じただけだった。
長柄次長と妻との交情は、ほかの男どもと同じように、2~3日に一度くらいの頻度で、つづけられていった。

3年後。
長柄次長は転勤になった。
奥さんを村において、単身赴任するということだった。
お互いの家同士、家族ぐるみの交際が始まっていたこともあって。
妻は長柄夫人と連れ立って、法事の手伝いなどに呼び込まれては。
左右に並べられて仰向けに押し倒されて、
「奥様っ!?」「おくさまあ・・・っ!」
と、呼び合いながら。
ブラックフォーマルの装いもろとも、
輪姦される都会妻を、演じつづけていた。

長柄夫人が、村の長老のひとりと再婚したのは、それからしばらくしてのことだった。
法的には、長柄夫人のままだった彼女は、夫の臨席のもとで長老と祝言をあげると。
長柄の家を出て、長老の用意した妾宅へと、移っていった。
たまに長柄が村の家へと帰宅すると。
そのときだけは、ひとつ屋根の下で時を過ごすのだったが。
迎えた夜の半分以上は、夜這いをかけてきた長老が、
長柄のまえで己の男っぷりのよさを披露することで過ぎてゆくという。
「それがたまらんのだよ」
淡々と語る長柄次長は、立ち戻った都会で吹き溜められたストレスを、
村での非日常の体験で、散らしているようだった。

5年間の村での生活を終えたわたしたちが転任した先は、都会の事務所。
事務所の責任者は、長柄次長だった。
職場では、謹直そのもの。
仕事の運びようも、依然と変わらず堅実そのものだった。
村においた妻がまさかその土地の長老に奪られてしまい、
その奪られたことを快感にしているなどとは、おくびにも出さずに・・・

そんな日々が始まって、一週間と経たない頃に。
帰宅したわたしを、妻はウキウキと迎え入れていた。
「お誘いを受けているの。長柄次長に」
え?と訊き返すわたしに、
妻は携帯の画面を見せつけた。
「ご主人に内緒で、いちどお逢いしませんか?」
アドレスは、まごうことなく彼のものだった。

次長が待つという、ホテルの一室に。
わたしたちは夫婦で、お伺いをした。
ときならぬわたしの来訪を、ふしんそうに迎え入れた彼のまえ。
わたしはきちんとあいさつをして、告げている。
「妻を犯していただけませんか?わたしのまえで・・・」

妻が用意したロープで、ぐるぐる巻きに縛られたわたしのまえで。
妻はなにかから解き放たれたように、長柄次長のほうへと軽やかに身を移していって。
ウキウキとした笑みをたたえ、にこやかに言った。
「ふつつかですが、どうぞよろしく」

こうして、村での風習が生んだ婚外性交は、都会での公認不倫に塗り替えられた。
夫婦の風景がふたたび替えられた、記念すべき夜。
きちんと装われたスーツはしどけなく乱されてゆき・・・
都会の一隅で、村の光景が再現されてゆく――
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