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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

女事務員の血 -3-

2016年01月11日(Mon) 19:54:11

吸血鬼の侵入を受けるようになってから、事務室の机の配置が変わった。
もともとは、生徒向けの窓口に向けて二列に横向きに並んでいたのが。
室内にカウンターがひとつよけいに配置され、生徒たちからの視界を遮っていた。
血をあやした女子事務員の足許を見られないためである。
事務室の一番奥には、パーテーションでかなり広いスペースが仕切られている。
そこでは、男子生徒が気づいたら、目の色を変えそうな光景が繰り広げられていた。

初川は鈴尾のところにきて、ぶーたれた。
「・・・ったく、お前がよけいなものを引き込むからだぞ。佳奈美がオレとデキてること、みんなにバレバレじゃないか」
バレバレだったのは元からなんだよ・・・という返しを危うく呑み込んで、鈴尾はもっともらしく相槌を打った。
「桑江はちょっと、気の毒だったな」
「ま、同情無用だけどね。いきなり吸血鬼ふたりに犯されたのに、つぎの日ちゃんと出てきたもんな」

すでに血を吸われてしまっている初川も、彼女が血を吸われたり犯されたりすることに、ある程度は寛容になっているようだ。
それはほかの男子事務員たちも同じのようで、
初老の事務長は自分の血を吸い取って昏倒させた男と意気投合して、その日の夕食には彼を自宅に招(よ)んでいた。
一家団欒と夕食の場が、吸血鬼が一方的に人妻や生娘相手にありつく夕餉の場と化したのは、いうまでもない。
事務長のすぐ下の、40代の主査の男も、たまたまその日は結婚記念日だったのだが、
永年連れ添ってくれた妻へのお礼に、情婦を世話する羽目になっていた。
彼らは、セックス経験のある女性には容赦なく、血を吸って抵抗の意思を奪うと、むぞうさに犯していったのだ。

「お前、中屋とはまだだったんだな。ずるいぞ」
中屋は佐恵子の苗字である。お互い、相手の恋人の名前は苗字で呼び合うことにしている。
ずるいというのは、みんなの前で犯されたのが自分の恋人だけだったことを意味するのだろう。
でも、果たして初川の批難をどこまでまともに受けてよいものか。
いま、その佐恵子は、初川の彼女である桑江佳奈美といっしょに、ついたての中にいる。

佳奈美はさっきから、男三人を相手に、くんずほぐれつの真っ最中だった。
首すじや脚やおっぱいまで咬ませては、順ぐりにセックスにも応じていたのだ。
トレード・マークのミニスカートは、きょうは純白だったけれど。
スカートの中身はもっとエッチな色に染まっているはず。
しゃなりしゃなりと穿いてきた光沢入りの透明なストッキングは初手からブチブチと破かれて、いまはそのなごりが足許にまとわりついているだけだった。
廊下の前を生徒が通るたびに、男たちの吶喊がくり返される。
佳奈美は声をあげまいと、必死に歯を食いしばる。
男どもは佳奈美ちゃんの声を聞きたいと、ここを先途と責めたてる。
ばれてしまってはお互いまだ具合が悪い段階だから、じっさいにはすれすれの寸止めである。
声をこらえるぶん、佳奈美の身じろぎはいっそうあからさまになって、それがまた男どもをそそるのだ。

ベテラン女性たちは既婚者だった。
彼女たちはさすがに肝が据わっていて、パーテーションの裏側に引き込まれても、
「若い子といっしょじゃ、気が引けるわよねえ」
とか言いながらも、ブルーの事務服の下にわざと露出の多い服を着込んできて、ばっと見せびらかせて反応を愉しんだりしている。
「あっ、和藤さんのおっぱい、あたしよりも大きい♪」
なんて言いながら、同年輩の同僚とたわむれあっているところなどは、さすがに貫禄といったところなのだろう。

佐恵子は、そのどちらでもなかった。
まだ処女だったので、たとえ佳奈美といっしょに床に転がされても、犯されることはなかった。
相手はほとんどの場合、最初に襲われたあの男だったが、たまに相手がすり替わるときもあった。
男が、女とのセックスを望んだときだった。
そんなときでも、男と入れ替わりに佐恵子の上にまたがる吸血鬼は、彼女を犯そうとはしなかった。
男の目が光っているといこともあったのだろうが、仲間の獲物は決して横取りしないという、彼らなりの仁義もあるようだった。

隣で男に犯されている佐恵子やほかの女性たちを横目で窺いながら。
犯されながらもよがり続ける同僚たちのようすを気配で感じながら。
男に制圧されてゆく自分自身が、いやでも二重写しになってしまう。
いつか自分も、そうされるときがくるのだ――と。
セックス経験のある女性は容赦なく彼らに犯されてしまうわけだし、
佐恵子はもうじき、鈴尾との結婚を控えていた――

               ―――――

学校の事務室が吸血鬼の楽園と化して2週間ほど経ったころのこと。
いつもハイソックスを履いて来る佐恵子が珍しく、肌色のストッキングを穿いてきた。
「お宅の彼女、ハイソックス全部咬み破らせちまったのかよ」
初川が小声で、陰口をたたく。
「あのひとのリクエストだってさ」
たまにはあの薄々のストッキングを穿いてこないかい?と彼に言われたのだ。
「そう」
初川は不機嫌そうに黙った。
中屋はなんでも、話してくれるんだな――不機嫌の向こう側には、そんな羨望がわだかまっていう。
初川の彼女はこのごろ、初川に無断で吸血鬼に逢っているらしい。
彼女たちにも「お得意様」がいて、桑江佳奈美の場合にはさいしょに咬まれた男がその相手のようだった。
たしかに、訪問を受けたときに”ご指名”をもらう頻度も、佳奈美が圧倒的に多い。
セックスのできる若い女子事務員は佳奈美だけだったので、よけいそういうことにもなったのだろうが、
初川のライバルはほぼ決まって佳奈美を指名していた。
佳奈美もまんざらではないらしく、彼に指名をされるときには、パーテーションの向こうから這い出てくるまでの時間が目だって長かった。
いまも、佳奈美はパーテーションの向こうにいる。
初川はそういうときは仕事が上の空になるらしく、神経質そうにチラチラと様子を窺っているのだ。

鈴尾も、佳奈美といっしょにパーテーションの向こう側にいる佐恵子のことを気づかっていた。
いまごろは。
さいしょに鈴尾を制圧してこの事務室への切符を手に入れたあの男が、佐恵子の上にのしかかっているはずだったから。
鈴尾は何を思ったか、スッと起ちあがると、パーテーションのほうへと、近づいていった。
あられもない光景が、目の前に広がっていた。

事務服のジャケットを着たまま、佐恵子はブラウスをはだけられていた。
肩には鋭い爪で断ち切られたブラジャーの吊り紐が、まだ残っている。
男は、むき出しになった佐恵子のおっぱいを、片方を揉みながら、もう片方の乳首を口に咥えている。
唇の奥で器用な舌先が、彼女の乳首をチロチロと刺激しつづけているのは、みなまで視なくてもそれとわかった。
「どうだ?どうだ・・・?」
男の責めになんと応えたものか、佐恵子は目を瞑った顔をそむけながら、歯を食いしばってかぶりを振っている。
横顔は引きつり、長いまつ毛がピリピリと神経質に震えていた。
「あの、ちょっと・・・」
思わず声をかけたのが、いけなかった。
顔をあげた佐恵子は恋人の姿をみとめると、羞恥に耐えかねたのか、パッと顔を両手で覆ってしまった。
「いけませんねぇ」
吸血鬼はこちらをふり返り、鈴尾をたしなめた。
どこまでも冷静な口調だった。
「御覧になったら彼女も、緊張するじゃないですか」
けれども鈴尾は、なにかに突き動かされているかのようにふたりのほうへと近寄ると、彼女の耳もとにかがみ込んで、囁いた。
「もう、構わないから――」

ひと言で、すべてが解凍されていた。
足首まで降ろされたショーツに。スカートの奥に見え隠れするスリップに。ずり降ろされたストッキングに。
吸い取られるのとは違ったことで流された血が、かすかに撥ねた。
淫らな輝きだと、鈴尾は思った。
肌を擦り合わせ、まさぐりを深められることで、佐恵子の感受性はとっくに、開花していたのだ。
彼女が必死に声をこらえたのは、廊下を行く生徒の気配がせわしくなったからだろう。もう昼休みだった。
職場セックスの常習犯になり果てていた桑江佳奈美さえもが、生真面目な同僚の抑制した媚態に、目を見張っていた。
事務室のだれもが、鈴尾の過剰なサービスと佐恵子の初々しい羞恥とに魅了されて。
すべてが果てると、ささやかな拍手が周囲を包んでいた――

               ―――――

「だいじょうぶだよ。結婚は初川とだから」
吸血鬼との行為のあとパーテーションの向こうから出てきた佳奈美は、無邪気に笑いながらそういった。
全裸の身体に、スカートだけ着けて。
ブラジャーをはぎ取られたおっぱいを、誇らしげにぷるんぷるんとさせて。
言われた初川は、目を丸くして凍りついていた。
生徒からまる見えじゃないか・・・
でもこの時分には、もう生徒たちさえもが、侵蝕され始めてしまっていた。
そして、校内で真っ先に陥落したのが事務室だということも、公然の事実になってしまっていた。
「だから、いまさらいいの」
佳奈美は白い歯をみせて初川にそういうと、
窓口のカウンターに群がってこちらに視線を釘づけにさせている生徒たちに、「やっほー♪」と、手を振った。
「寿退社なんですってね。おめでとう」
ベテラン女性のひとりが、佳奈美にまっすぐな祝福をする。
「惜しいねえ。きみにはもっといてほしかった」
本気で惜しがっているはずの事務長は、
「佳奈美ちゃんのときには事務長、いつも覗いてましたよねえ?」
って、べつのベテラン女性に、いつものささやかな愉しみを暴露されてしまっている。
「これからは彼がいっしょうけんめいお仕事がんばっている最中に、彼と浮気に励むから♪」
能天気な佳奈美は、恋人のツボをよく心得ている。
「気が向いたら、パーテーションのなかも使いに来なよ。
 あっ、そうそう。初川のお母さん未経験者だから、引きずり込むといいよ」
いつ果てるとも知れない嬌声の応酬に閉口したのか、初川は「おい」と、鈴尾を小突いた。

「お前んとこ、うまくいってるのか?」
「いってる。イッてる。あいつ、しょっちゅううちに泊まりに来るしさ」
「夜もかよ」
「ウン、あいつが抱かれてるの視てると、つい昂奮しちゃってさあ」
「お前、マゾだな?」
「佳奈美が抱かれるのを見て昂奮してるやつに、言われたかないね」
「まあ、お互いさまだな。でも、人は見かけによらないもんだな。
 あの生真面目な佐恵子が、あいつといっしょのときにはノリノリになるんだもんなあ」
互いの恋人のことを苗字で呼び合っていたふたりは、いまでは下の名前で呼び捨てにしている。
くり返し血を吸われているうちに少量だけ血を吸う癖がついてしまっていた二人は、
相手を取り替え合って、血を吸い合う時間を持つようになっていた。
そう――吸血鬼はセックス経験のある女性の血を吸うときは、身体までも愉しんでしまうのだ。
「けど、佐恵子のこと考えて、妬けない?」
「妬けない妬けない。あいつ、いつでも周りの人を悦ばそうとしんけんなんだ」
「まったく・・・幸せなやつだな」
「初川も、もうじき幸せになるんだろ?」
「そうだな・・・」
初川は窓の外に広がる空を見あげた。
淫靡なことを語るには似つかわしくないはずの、青々とした空。
あの明るい太陽の下で、ふたりの若妻を吸血鬼どもに輪姦させちゃうのも、悪くないな――
あいつら、日光の下でも参らないものな――
ふたりはそんないけないことを思い浮かべて、思わず顔を見合わせて、そしてフフッと笑い合っていた。
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