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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

墓場から舞い戻る。

2016年01月30日(Sat) 11:05:42

1.
いったいどれほどの時間が、暗黒のなかで流れていったのだろう?
一瞬のような、永遠のような時間を泳ぎ渡ったあと、わたしは目をあけた。
あたりは見知らぬ風景が、夜の闇の中に埋没している。
よく見ると周囲に佇むものはどれも、墓石ばかりだった・・・


2.
差し出された指先が、わたしの唇をべとーっとなぞる。
指先についているのは、まだぬくもりを帯びた人間の血。
わたしはそれを、夢中で啜っていた。
吸血鬼になってしまった――
いまある意識とさいごに意識があったときのかすかな記憶とが、
信じがたいようなそういう結論を、容易に導き出す。
たしか勤め帰りの路上で男に抱きすくめられ、首すじに食い入るような疼痛が走った・・・記憶はそこで、途切れていた。
自分の指先に夢中でしゃぶりつくわたしの様子に、指先の持ち主はフフフ・・・と嗤う。
いやな笑いかたをする。
わたしがそう思って目をあげると、男はいった。
旨いかね?
無言でうなずくわたしに、男はいった。
あんたの奥さんの血だ。さっき吸い取って来たばかりだ。
とどめを刺すような、強い口調だった。
旨いだろ?
念を押され、不覚にも頷いていた。
死んだのか・・・?
わたしの問いに、男はにんまりと笑みながら、ゆっくりとかぶりを振った。
ひと思いに死なすには、惜しいからな。
なん度かに分けて、美味しくいただくさ。
そうそう。
俺たちは女を襲うときはたいがい、犯す。
あんたの奥さんも例外じゃない。
息を止め表情を凍らせたわたしに、男はなおも囁いた。
好い締まり具合だったよ――


3.
喪服の女というのは、そそられるもんだな。
足許の、あの薄黒いスケスケのパンストも、たまらないよな。
奥さんが喪服着ているうちに、勝負つけようと思ってね。
ここに弔いにきたときに襲ったのが、三日まえだ。
あんたの時と同じように、路上に引き倒して首すじを咬んでやった。
きれいな脚をしているから、舐めまわしてやった。
ストッキングの舌触りが良い感じだから、これ以上は見逃してやるといったら、
次に逢うときもストッキング穿いてきます・・・ってさ。嬉しかったねえ。
あんまりかわいいことをいうものだから、そのまま石畳のうえに抑えつけて、ショーツをむしり取ってやったのさ。
今夜は初めて、お宅にお招ばれした。
出歩いているときに服を破かれるのはたまらないって言うんだ。
俺は正反対の意味で、たまらんのだがね・・・
まあ、あんたの奥さんに恥をかかせるのもなんだから、いうことをきいてやった。
用心深い女だ。娘は他所に預けていたな。ちょっと期待していたんだけどな。
ああ、もちろん否応なくベッド・インさ。
夫婦のベッドの上で、たっぷりと愉しんできた。
家のなかというのは、暖かくていいな。
またしばしば、お邪魔することにしたよ。
娘が学校に行っている間ならいいといってくれたが・・・
いちど俺を家にあげてしまうと、じつはいつでも気の向いたときに出入りできるんだな。
あの女はまだ、気づいていないようだけど――


4.
まだ血が欲しいかね?
男は訊いた。
これほどの話を聞かされながらも、わたしは喉の渇きに抗えなかった。
不覚にも頷くと、男は俺の頬を舐めろといった。
月明かりの下差し向けられた頬は、妻の血潮でべっとりと濡れていた。

妻を犯し、生き血を吸った男から。
ついさっきまで妻の体内に流れていた暖かい血潮を与えられる――
屈辱的な関係ではあったものの、舐め取った血潮のたっぷりとした味わいが、わたしの心を和ませていた。
空っぽになったわたしの血管のなか、妻の血潮が寄り添うようにめぐりはじめるのを、心地よく感じていた。

ククク・・・
男はいやらしく笑った。
こんどはも少したっぷりと、おすそ分けをしてやるよ。
週末、娘さんを連れて、墓参りに来るそうだから――


5.
いやっ!いやっ!いやあっ!!
泣き叫ぶ娘の声が、耳をつんざくなか。
男はセーラー服の胸をまさぐりながら、娘のうなじを咥えつづけた。
悲鳴がやんで、娘の身体から抵抗の力が抜けるのに、さほど時間はかからなかった。
胸元を引き締める真っ白なタイに、バラ色のしずくを転々と散らしながら、
娘は無念そうに、目をつむる。
清楚な制服姿を抑えつけた男は、娘の血を啜りはじめた。
ジュルジュルと、汚らしい音を洩らしながら。

娘の危難を救おうとした妻は、すぐに別の吸血鬼によって引き分けられた。
妻もまた、娘に輪をかけて露骨な劣情にあしらわれていった。
娘が初めて咬まれた瞬間、声をあげたときには、早くも喪服姿をまさぐられ、スカートのすそをたくし上げられていた。
卑猥な指が喪服のうえから這いまわり、悔し気にうつむく妻。
しかしすでにもう、抵抗の意思を喪っていた。
相手の男は、第一の男よりさらに、老いさらばえていた。
梳ったようすのない白髪を振り乱しながら妻の足許に唇をしゃぶりつけると、
はうっ。
ひと声洩らすと、黒のストッキングごしに青白く透けるふくらはぎに、食いついていった。
ストッキングがぱりぱりと裂けて、拡がった裂け目は皮膚を露出させながら、スカートの奥へともぐり込む。
あー・・・
顔をしかめて耐える妻の口許が、いびつな甘苦しさをみせたのは。
いつになく濃く刷いた口紅のせいだけだろうか?
妻は石畳に抑えつけられたまま、ブラウスを引き裂かれ、ブラジャーをはぎ取られ、
はみ出した豊かな乳房をもみくちゃにされ、乳首を逆立てていった。

力なく横たわる妻のうなじに唇を近寄せて、わたしは妻の血を吸っていた。
二人の男がケケケ・・・と下品に笑うのをしり目に、ひたすら喉の渇きを紛らわせる行為に熱中していた。
彼らの言うなりになっていくことに、もはや悔しさを感じていなかった。
仲間ができたことを、彼らなりに歓迎していることを直感していたから。
妻がぐったりとなってしまうと、つぎは娘の番だった。
お父さん、だめっ。近寄らないでっ。
父として接すればいいのか、吸血鬼と見なして忌むべきなのか、娘は明らかに戸惑っていたが。
母親のひと声が、すべてを変えた。
理恵ちゃん。お父さんの言うとおりになさい。
わたしが埋まっていたはずの墓石にもたれながら、娘は恐怖と諦めから、瞼をキュッと瞑った。

お父さん、サイテー。
落ち着きはらった娘の声を頭の上にやり過ごし、わたしは娘の内ももを咬んで、ストッキングを咬み破いていた。
セーラー服の襟首に、血潮を点々と光らせながら。
娘は三人の吸血鬼を相手に、処女の生き血を気前よく振る舞い始めている。
あんたのとこの娘さん、えらいな。
第二の男が、娘の唇を奪った後、わたしにいった。
ご両親に似て、賢いたちだということさ。
第一の男が、セーラー服の襟首から手を差し入れて胸を揉みながら、相棒に応える。
わたしはただ、すまない・・・すまない・・・と、だれに向かってともなく呟きながら、
それでもまだ、娘の足許から黒のストッキングを咬み剥ぐ行為に耽りつづけていた。
またお父さんに買ってもらえばいいわよ・・・ね?
妻は、セーラー服の両肩を羽交い絞めにしながら、そういってまな娘の顔を覗き込む。
娘は戸惑いながらも、ハキハキとした気性のままに、はっきりと頷き返していた。


6.
その日から。
わたしは晴れて、自宅に戻った。
墓場をうろつく吸血鬼ではなく、真人間に戻ったということだ。
若い女の生き血を欲しがる吸血鬼たちに、妻や娘の血を自由に吸わせる権利を、引き換えにして。
幸い・・・死亡届は出されていなかったので、数日間の失踪から無事戻ったというていをとりつくろうことができた。
喪われたはずの血液も、半分は取り戻すことができた。
それは、妻と娘から補われたものだった。
わたしのなかで息づく、女の血は――
新たなものを目覚めさせてくれた。

わたしの血を余さず吸った、あの男は。
わたしの血を「あまり旨くなかった」といって、挑発した。
わたしの妻の血さえ、ほとんど吸い尽したあの男は。
私の妻の血を「いいとこB級だな」といって、ぞんざいにけなした。
B級の血の持ち主は、娼婦の扱いを受けるという。
妻は日ごとに相手を変えて、毎日のように呼び出しに応じてゆく。
生き血を吸い取られる昂奮と、夫を裏切るエクスタシーの餌食となるために。
けれどもそんな妻を、わたしは視て見ぬふりをして、送り出す。
わたしのなかに息づく淫らな血潮が、そう命じるから――

娘の格付けは、まだ先のことになるらしい。
きっとそれは、高校を卒業する前までには、遂げられてしまうだろうけど。


あとがき
冗長になってしまいました。。
 (^^ゞ
以前描いたこのお話の系統ですね。。。
 (一一;)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3074.html
この記事のリンクをたどると、同じようなお話が出てきます。
 (^-^)
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交流。

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