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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

変♪態♪吸血鬼さんっ♪

2016年01月31日(Sun) 07:18:12

変♪態♪吸血鬼さんっ♪
みすぼらしく薄汚れたコート姿が目をあげると。
そこにはブレザーの制服姿の女の子。
イタズラっぽく笑う口許から、キュートな白い歯が覗く。
幸いこの子は、まだ犬歯が伸びていない。
暖かな人間の血を宿した少女だ。
顔見知りの少女はお顔を横倒しにして、不景気そうな吸血鬼の顔を覗き込んでくる。
喉、渇いているんでしょ~?って、誘惑してくる。

黒のストッキング、履いてきちゃった♪
少女は、薄黒いストッキングでなまめかしく染めた健康そうな太っちょな脚を、吸血鬼に見せびらかした。
真新しい黒革のストラップシューズが、街灯を照り返して、硬質な輝きを放つ。
いつもみたいに、ふくらはぎを咬んで破きたいんでしょ?
露骨な表現で図星を突きまくって顔を寄せてくる少女に、吸血鬼は閉口したように顔をしかめてみせる。
そうだ、俺様は吸血鬼なのだ。もう少し怖れなさい――そんなたしなめるようなしかつめらしい表情に、少女はぷっと噴き出した。
早くしないと、帰っちゃうわよ~。
サッと身を引くそぶりを見せた少女につられて、男はベンチから身を起こしてしまう。
ほら、ほら、引っかかった引っかかった♪
少女は小躍りしながら、なおも吸血鬼をからかいつづけた。

どこで襲う~?あっちの雑木林行こうか・・・
愉し気にはずむ声が遠ざかると――
起ちあがった吸血鬼の隣に座って、新聞に顔を埋めていたもうひとりの中年男が、
新聞を斜めに降ろして、正面に立った人影をふり仰ぐ。

よう。
ちょっといばった声だった。
声は男の子だったが、
さっきの子と同じブレザータイプの女子の制服。
へっへっへっ、びっくりした?
自分の女装姿にびっくりして、ほんのちょっとだけ表情を動かした吸血鬼をまえに、
彼は得意げにその場でくるりと回り、身にまとう自校の女子生徒の制服を見せびらかした。
彼女から借りたんだ。

いっつも手加減してくれて、ありがとな。
彼女が顔色悪くなるまえに、寸止めで血を吸うの我慢してるだろ?
でもさ、彼女がたいはデカいくせに、意外にか細いんだぜ。
おまけにあの性格だろ?弱みを見せたくないっつうか・・・
だから多少気分悪くても、ガマンするわけね。彼女は彼女なりに。
んで、きょうの授業中、とうとう貧血でぶっ倒れちゃった。
早引けして帰った家に見舞いに行ったらさ。
あんたと約束してるから・・・っつうわけ。
バカたれ、寝てろ!っていったけど、あんたのことが心配でしょうがないわけよ。
だから思い切ってこの優輝様が、女装を奮発したってわけ。
少しは感謝しろよな。

吸血鬼にせがまれるまま生き血を提供したがる彼女の身代わりに、
わざわざ彼女の制服着て女装までしてやって来たんだぜ・・・
要約するとそういうことらしいが、本人のウキウキとした態度は、口ぶりを見事に裏切っている。

あんまり男くさいと、ヤだろうからさ。
下着からハイソックスまで、ぜんぶ彼女のおさがり。
あんた、匂いに敏感なんだろ?
ブラもパンツもハイソックスも、あの子にちょっとだけ着けてもらったんだからな。
ちょっぴり寸足らずな紺のハイソックスの脚を、自慢げに見せびらかすと。
吸血鬼は、そこまでさせてすまないね・・・と、われながら従順そのものの態度で、拡げていた新聞紙を折りたたんだ。

さっ、行こ♪
男の子にしては白い顔をあげて、人なつこくニッと笑うと。
異性の恋人同士みたいにわざわざ腕まで組んで、立ち去ってゆく。


こんにちは。
三人不景気そうに雁首を並べていた、さいごの一人の顔をあげさせたのは、柔らかな声の持ち主だった。
ふたりとも、しっかりしてきたわねぇ。
落ち着いた物腰で、おとがいを和らげた彼女は、さっきの男女の母親とは見えないほどに若やいでいた。
なんだ、お前か。
なんだ・・・は、ごあいさつじゃない。
吸血鬼になった夫の隣に腰をおろした彼女は、ホホホ・・・と笑って見せた。

彼女は自分が身に着けた衣装ひとつひとつを指さして、吸血鬼を少しずつ、そそりたててゆく。
よそ行きのスーツ?
真珠のネックレス?
美容院に行ってきちんとウェーブをかけた栗色の髪?
おひざが見えるくらいの、あなた好みの丈のこげ茶のスカート?
リボンをふんわりさせた、真っ白なブラウス?――これって、血が撥ねたら目だつわね・・・
いつもよりヒールの高いパンプスに、てかてか光る紺のストッキング?
男のひとって、ストッキング好きなのね。
いつもお得意様に、破らせてあげてるのよ――
さいごのひと言が、ずっと無表情をとりつくろいつづけている男に、ビクリと身じろぎさせた。
自分以外の男たちと密会を続けているという、妻のさりげない告白に。
つい想像力を、かきたれられてしまったようだ。

女は謡うように、なおもつづける。
でも、よかったじゃない。奥さん若返ったし。
あたし、セックスってあんまり好きじゃなかったの。
そんなことしなくても、信じている男(ひと)は信じられるし。
子供が生まれたら、もうしなくていいと思っていた。
でもね。
あなたの血を吸い尽した人たちが、教えてくれた――
いまではセックスは愉しいし、おしゃれをすると気分も引き立つわ。
さっ、帰りましょう。あなたの家に。
今夜はたっぷり、サービスするわよ。
あなた、吸血鬼になったら人妻狙いになったんですって?いやらしいわね。
あたしよりも魅力的な人妻さん、なん人もいらっしゃるんですんってね。妬けるわ~。

かつての妻に、腕を引っ張られて。
男はしぶしぶのように、起ちあがる。
女はかつて恋人同士だったころの気分に、すっかり舞い戻っているらしい。
亭主の腕にかじりつくように自分の腕を回して、影を重ねるように寄り添ってゆく。
セックスも、まえよりか上手になったわよ。
教えてくれる男(ひと)たちが、大勢いるから♪
あたし、意外にモテるんだよ~。

女はいつまでも、夫に甘えつづけていた。
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