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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

もしもし・・・?

2016年02月04日(Thu) 07:43:25

もしもし・・・?
受話器のむこうから伝わってくる声は、勤め先の同僚のもの。
ふと違和感を感じたのは、電話のかかって来た、午前二時という刻限のせいだった。
どうしましたか?緊急の連絡でしょうか?
怪訝そうなわたしの態度が、すぐ先方にも伝わったようだ。
どうもすみません。こんなお時間に。もうお寝(やす)みでしたよね?
素直に謝る声色は、本人の人柄まで伝えてきて、声を尖らせたこちらを恐縮させた。
いや失礼――こちらもまだ、起きてましたから・・・どうしたんですか?
あわてて声色を改めると。
彼はちょっと言いにくそうに、ことばをついだ。
いや・・・ちょっと眠れなくって。だれかと話したかったものです~。
ご迷惑ですよね?と、たたみかける声に、そんなことはありませんよ、と、相手を受話器の向こうに落ち着かせようとしていた。
いったいどうしたんですか?
いやぁ・・・
彼は言いにくそうに、ふたたびことばをついで。そして言った。
嫁が夜這いを受けてる真っ最中でしてね・・・

この村は、社のオーナー社長の出身地。
さして仕事があるとは思えないこんな山奥に事務所が作られたのには、理由があった。
故郷に錦を飾りたい。
そんな社長の願いをこめて立ち上げられたこの事務所には、
都会にいられない理由を抱えた者たちだけが、選ばれて転任してくる。
そう、厳密な性格検査を経て、守秘義務付きで。申し分のない待遇と、引き換えに――
ろくに仕事らしい仕事のないこの村の事務所での、ほぼ唯一の業務。
それは、妻や娘の肉体を、好色な村の男衆たちに提供すること  だった。

どうやら彼は、就寝直後に訪問を受けて、
あんたの嫁を抱きたい。女ひでりでね・・・
そんな勝手なことを、なんの悪気もなく口にする男を家にあげて、夫婦の寝室を明け渡したようだ。

パジャマ一枚で、風邪ひかないか・・・?
そうしたわたしの気遣いは、どうやら無用のものらしい。
だいじょうぶ――ガウン羽織っているから。
そのガウンは、夜這いの相手の手土産だという。
風邪ひいたらいけないでしょ?
彼の奥さんもまた、そこは主婦らしく。
夫の健康管理には、気遣いをしているようだった。
ガウンまで渡されちゃあね、気を利かしてやるより、しようがないじゃないか――

こういう夜は、たいがい朝までいるんだよな。今夜は寝不足だな。明日俺が会社にいなかったら、休暇届けよろしくな。
妙なことまでたのまれながら、わたしはただ、うんうんと相槌を打つだけだった。
ところで、そちらもそろそろ、寝るんだろう?
同僚の問いに、わたしも待ってました、とばかりに、応えていた。
うちも同じような状況でね・・・相手、3人なんだ。

ウチの女房、モテるからさ・・・
まんざら、負け惜しみではない。
素直なもので、若いほど、見てくれが良いほど、男はつくものだ。
それがいま、上がり込んできた男3人を相手に、太くそそり立ったものを代わる代わる、スカートの奥へと受け入れている。
ウチは子供がいるから、寝静まってからが本番なんだ。
子供たちは彼らに、なついていた。
機嫌よく遊んでくれるのは、早く疲れさせて寝かしつけるため・・・そんなことまではむろんあの子たちには、まだわかるまい。
覗いたらダメよ。
そんな妻の言いぐさに素直に従うには、わたしは誘惑に弱すぎた。
充血した目と火照った頬とをもてあましながら、受話器を片手に天井を見あげる。
ウフフ。3人ですか。いいですね。うらやましい・・・
立場が同じと知った同僚は、少し気持ちを落ち着けたらしい。
お互いの妻たちがベッドをきしませる、隣の部屋で。
長い長いやり取りが、始まっていた――
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3人の浮気相手。
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