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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

姉妹のハイソックス

2016年02月15日(Mon) 06:33:11

ハイソックスを履くと、気分がひきたつ。
そういって姉さんは、その日も出かけていった。
女子生徒が出歩くような刻限では決してない、真夜中に――
翌朝姉さんは、蒼ざめた顔を仰向けにして、公園で倒れているところを発見された。
真っ白なハイソックスを、赤黒い血のシミでべっとりと濡らしたまま・・・

気分がハイになるから、ハイソックスっていうのかな。
そんなことを薄ぼんやりと考えていた私。
その日も真っ白なハイソックスを脚に通して、家路をたどっていた。
姉さんが倒れていたの、ここだっけ。
もう、一週間になるけれど。想いはだんだんと鮮やかになるばかり。
気がつくと、公園の門の前で足を止めていた。
だれかが手招きしている。
そんな気配を感じて踏み入れた公園の土は、妙にしっとりとしていた。

ククク。カンの良い娘ごぢゃ・・・
男はそういって、うつ伏せになった私の足許でほくそ笑んで、
笑み崩れた口許を、ふくらはぎに近寄せてくる。
気がついたら、そう――公園のベンチのうえに、腹這いの姿勢にされていた。
わしの手招きに、すぐ応じるとはな。おぉ、あんたのことは見かけたことがあるぞ。
三日まえに血をめぐんでくれた娘ごの、妹ごぢゃろう?
そうです。そうなんです。姉を失ったかわいそうな妹なんです。だから、見逃してください。
あなたがほんとうにカンの良いひとだったなら。そんな私の心の叫びを聞いたはず。
けれども男はそんな想いを軽々と受け流し、
あの娘の妹なら、血の味も良いぢゃろう。馳走になるぞ。
そういって、ひざの裏と足首とを抑えつける掌に、ぎゅっと力を込めてくる。
ハイソックスのふくらはぎに、化け猫みたいに生臭い息がかかった。
くちゅっ。
男はハイソックスのうえから、私の脚を舐めはじめた。

にゅるっ・・・にゅるっ・・・にゅるっ・・・
ナメクジかヒルみたいに、ハイソックスのうえを這いまわる唇と舌が。
明らかに、真新しいナイロン生地のしなやかさを、愉しんでいる。
私は声をあげることもできないで。身じろぎすることすら、できないで。
ただ歯がみをしながら、男の仕打ちを、じいっとガマンしていた。
ククク。
三日まえの娘ごも、あんたみたいにカチカチになって、わしに愉しませてくれたのさ。
エエ子ぢゃったのぅ・・・
いい子だったら。いい子だったら。どうして姉さんのこと、助けてくれなかったの!?
心でそんなふうに叫びながらも――
むき出されたいやらしい欲情のまえ、私はハイソックスの脚を伸べることをやめなかった。
というか、強いられつづけていった。

やがてむき出された牙が、ふくらはぎのいちばん肉づきのよいあたりにあてがわれ、
ずぶっ・・・、と。
食いついてきた!
尖った異物がハイソックスの生地ごしにめり込んで、皮膚を破った。
ぬるっ・・・と滲み出てくる血を、男は素早く啜り取った。
あてがわれる分厚い唇を、なま温かいと感じた。
その唇に力が込められて――
私の体内を流れる血液は、チュウチュウといういやらしい音といっしょに、吸い取られてゆく。
脳天が痺れるのを感じて、私は焦った。
あっ、あっ、あっ・・・
声にならない声をあげながら。
私はただひたすらに、血を吸い取られていった。
たぶん、姉さんのときと同じように――

傍らの横顔は、懐かしい面差し。
ほんの3日間しか顔を合わせなかったのに、なんという懐かしさだろう。
そのひとは、可愛い小ぶりな唇を私の首すじに近寄せてきて、
男がつけた咬み痕をなぞるように、生えかけたばかりの牙を埋めてきた。
ほら、あんたもお飲み。
男に親し気に肩を抱かれ、耳元でそんなふうに、促されると。
童女のような素直さでこくんと頷いて。
その冷たくなった唇を、容赦なく私の首すじを咬んできた。
つねられるような痛み。
両方の二の腕を、ブラウスのうえからぎゅっとつかまれる感触。
その両方に抱かれるようにして、私は素直になってゆく。
傷口に当てたちいさな唇をチュッと鳴らして・・・姉さんは私の血を吸い始めていた。

チュッ、チュッ、チュッ、
チュッ、チュッ、チュッ。
規則正しい音をたてて、姉さんは几帳面にたんねんに、
私の首すじ、胸元、手首と。
いろんなところに唇を当てて、私の血を吸った。
スカートをまくられ、パンツを脱がされて、お尻まで咬まれたときは、さすがに恥ずかしかったけど。
それでも私は素直に、姉さんの欲望に従っていった。
空っぽになった姉さんの血管を、私の血が代わりにめぐる――
そんな空想が、妙にうれしくって。
抱き起こされた私は、たえちゃんのハイソックスも、破かせてね――そういう姉さんの命令に、コクンと素直に、うなずいていた。

ハイソックスの脚、咬ませてあげるとき。
小父さまったらすごく嬉しそうになさるから。
あたしも一度、やってみたかったの。
いま、どんな気分・・・?
恐る恐る訊く私に、姉さんは尖った犬歯もあらわに、ニッと笑った。
愉しいよ。
そうなんだ。
私も素直に、そう応じた。
真っ白なハイソックスを、血のりでべっとりと濡らしながら。

おうちに、帰れないのかな。
父さんと母さん、私たちが二人ともいなくなったら、さびしがるだろうな。
でも、いいよ。気が済むまで吸って。
姉さんに吸われるなら、本望だから。
そういう私に、姉さんは、いやいや・・・とかぶりを振って、男のほうをふり返る。
姉さんのことは、おうちに帰してあげるよ。
あなたから、血をもらえたからね・・・
姉さんはそういって、嬉しそうに笑った。
私の血で、口許をヌラヌラと光らせたまま。

戻ってきた姉さんに、父さんも母さんも、おお悦びをした。
小さな街だったから。
周りの人たちはだれもが、姉さんのことを「なし」に、してくれた。
ふたりともそれから美しく成長して――いまはお互いに、大きな子供を抱えている。
あの日々は夢だったのか?いや、そんなはずはない。
姉さんの首すじには、私だけに見える咬み痕がある。
私の首すじにも、姉さんだけに見える咬み痕がある。
お互いにそちらのほうからは視線を避けながら、
私たちは日々の暮らし向きや子供の学校のことなんかを話題に、洗濯物を畳んだりなんかして暮らしている。
ふと、姉さんが呟いた――
うちのまゆみがこのごろ、帰りが遅いのよ。
そう。
私も言った。
うちの絵美も、遅いのよ。
もしかして。
私たちは顔を見合わせ、お互いの顔にイタズラっぽい笑みを見つける。
ハイソックスの脚、咬まれてちゃったりしていない・・・?


あとがき
過去に吸血された記憶というのは、結婚前の初体験の記憶の暗喩なのかもしれません・・・
妹だけが姉の、姉だけが妹の、過去を知っている――
でも、姉妹のハイソックスの味比べをできた吸血鬼が、妙にうらやましい気がします。^^
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