妖艶なる吸血
淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
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家庭訪問 出席番号一番 青柳紀子
2016年03月27日(Sun) 09:27:17
出席番号一番の、青柳紀子の家を訪ねたのは、今回が初めてだった。
貧しいおうちだから、視られるのがやなんです。
そういって血を吸われに来る彼女は、いつも自分から、俺の屋敷を訪れる。
制服代が痛い。
そんな言葉を親から聞いてしまっては、
気苦労の多い生真面目な出席番号一番としては、ちょっとやりきれない想いも抱えたのだろう。
俺は少女の願いを聞き届けて、その代わり俺の頼みも聞いてもらった。
たまにでいいからさ。着てもらいたい服を、買ってあげるから。
その服を着て、襲われに来て。
少女は生真面目な顔を崩さずに、いいわ、と、いってくれた。
自前の服も、趣味は悪くなかった。
けれどもかけがえのない服たちを血で濡らしてしまうと、少女は時折べそを掻いた。
そのたびに、俺は一着余計に服を買ってやる。
自分で買いたい服を買っても、いいのだから――と。
そんなしまり屋の青柳紀子が、俺を家に招んでくれた。
俺のほうから一方的に願ったのを、彼女がようやく容れてくれたというわけだ。
きみのお部屋できみを抱きたい。
そんな言葉の意味、きみはどこまで理解しているのかな。
ピンポンを鳴らすといきなり、親が出てきた。
それも、男親のほうだった。
卒業式の時すれ違ったから、顔に見覚えがあった。
ちょっとやせぎすで見るからに貧相な男――この少女の父親とは思えない。
青柳紀子の血を初めて吸ったあと。
招き入れた空き教室に倒れた少女たちを、親に引き取らせたときのことだった。
母親のほうは、ほかの親たちと同じように、心配そうに教室を覗き込んでいたのに、
この男だけは、不景気そうな顔つきで、表情一つ変えずに突っ立っていた。
あんた、あんときのあんただね?
男は不快そうに首を振り、そういった。
そのせつは。
俺もぶっきら棒に、そう応える。
娘の血を吸いに来たんだね?
そうです。
歯に衣着せぬ言いぐさに、俺もわざと悪びれずに、応えてやる。
じゃ、あがんなさい。
意外にもの分かりのよい対応に面くらいながら、俺は青柳家の敷居をまたいだ。
まがりなりにも、一軒家だった。
けれどもどことなく古ぼけていて、かび臭い。
年頃の少女が家に招びたくない気持ちも、わからないではなかった。
お母さんはお留守ですか。
俺が訊くと、
べつの吸血鬼のところに行っている。
応えの内容のわりに乾いた声は、救いなのか投げやりなのか。
わしも出かけるから――べつの吸血鬼のところに。
ズボンのすそから覗く足首は、肌の透ける薄い靴下に覆われていた。
この男も、吸血鬼の協力者なのか。
ちょっとだけ、親近感がわいた。
男はそんなこっちの気持ちなど頓着なしに、いった。
あまりむごく扱わんでくださいよ。まだ育ち盛りの子なんだから。無理させないで。
初めて親らしい言葉を口にすると、男は返事も聞かずに俺に背中を向けた。
やっと出ていった・・・と思ったら、引き返してきて、いった。
それと、娘に服買ってやってるようだが、要らん気遣いせんでくれ。
うちはうちで、ちゃんと養ってるんだから。
そういう気負いも、まだ残っていたのか。
自分の着てもらいたい服、着てもらってるだけですから。
そんなんならいい。
男はもういちど、ぶあいそな顔つきとは裏腹なもの分かりの良さを見せ、こんどはほんとうに、家から出ていった。
ふり返ると、青柳紀子がそこにいた。
紺地に白の横じまもようのブラウスに、デニムのスカート。
真っ白なハイソックスの足許が、眩しかった。
さっきから二人のやり取りを聞いていたらしい。クスクス笑っていた。
父はああいう人だから、会わせたくなかったんだけど。
素敵なお父上じゃない。
俺はそういうと、少女の肩をなれなれしく抱いた。
あたしだけ、首すじ咬んでもらえなかったね。
卒業式の数日後。たまたま出くわした道すがら。
生真面目なこの子らしい鋭い声の詰問を俺に浴びせると。
ちょっと、太すぎるのかな・・・
少女らしい気遣いをみせたのが可愛くて。
制服のブラウスを汚すまいと気遣ったと知ると、
きょうのブラウスなら汚してもいいから、と。
その足で、俺の邸に足を踏み入れたのだった。
生真面目な出席番号一番は、俺のねぐらにも、一番乗りを果たしたのだった。
紀子の部屋は四畳半と狭かったけれど、
いたるところに女の子の風景があり、匂いがあった。
古びた学習机に、洋服ダンス。
画鋲の穴だけが開いた壁には、男性アイドルのポスターを貼っていたらしい。
わざわざはずしたのは、俺に対する気遣いからか。
憧れのアイドルに、血を吸われているところを見せたくなかったからか。
「こんどの学校も、出席番号一番みたいなの」
少女は困ったように、そういった。
また気苦労がはじまるね。俺がそう言ってねぎらうと。
「いいの。慣れてるから」
少女はすねたように、でもなにかを悟り切ったように、そう応える。
「俺の牙にも、慣れたかな」
ぬけぬけという俺に。
「それは~。いつまで経っても慣れたりなんかしないから~」
言葉と裏腹な甘ったるい視線を振りあげて、少女は愛嬌のある上目づかいになっていた。
女の子の匂いがぷんぷんする部屋で。
俺は紀子と、向かい合わせになる。
咬んで。
卒業式のときには、言えなかった囁き。
中学のころ、ファースト・キスを果たしたときみたいにドキドキしながら、
俺は肉づきの豊かな首すじに唇を這わせ、牙を埋めてゆく――
あとがき
登場人物の名前は、すべて架空であり、実在する人物とは全く関係ありません。悪しからず。
少女
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不味い。
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