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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

不味い。 2

2016年03月30日(Wed) 07:57:38

不味い。
不味い。
どいつもこいつも、どうしてこんなに不味い血をしているのだ!?

男は怒っていた。
不当な怒りだと思ったが、どうすることもできない。
きょうは甥の婚礼の日。
挙式が終わったあと見知らぬ男に家族もろとも別室に招ばれたわたしは、まっさきに咬まれた。
それから妻が。そして、娘までも。

つぎつぎに首すじを咬まれた妻と娘は、
身じろぎ一つできないほど血を吸い取られたわたしの前、ふらふらとその場に倒れ伏して。
男はそれでも、許さなかった。

スーツ姿の妻の足許に這い寄ると、肌色のストッキングに包まれたふくらはぎに唇をあてて、
ちゅーっ。
制服姿の娘のチェック柄のスカートの下、白のハイソックスに包まれたふくらはぎに、唇を這わせて、
ちゅーっ。
それはそれは小気味よく、生き血を吸い取っていった。

そこまではよかった。(決して良くはないのだけれど・・・)
そのあとやつは、言ったのだった。

不味い。と。

妻も娘も、血を吸われたことよりも、吸われた血を不味いといわれたことのほうが、悔しそうだった。

数刻後。
男は用意していた車にわたしたちを乗り込ませ、自分は最後列に陣取って、運転手にゴーを命じた。
わたしたちの向かったのは家ではなく、立派なマンションの一室。
やがて数日後、そこには家財道具が運び込まれてきた。
もとのアパートは解約したという。
きみたちはここで暮らすのだ。
あてがわれた一室には、豪奢な日常が待っていた。

これだけ良いものばかり食べさせられたら、血も美味しくなるわよね。
妻は血色のよい頬を輝かせ、以前よりも十歳は若返っていた。
娘も親に隠れて吸っていたタバコをやめて、やはりみずみずしい肌を輝かせていた。
順ぐりにやつに呼ばれ、血を吸われセックスにまで応じさせられる日常――
けれども誰もが、不幸せになっていなかった。

夫であり父親であるわたしですら――
日夜くり返される、妻と娘が主演のリアルなポルノドラマに、鍵穴を通して食い入るように見入ってしまっている。
誰もが幸せになったのなら、それでいいんじゃない?
妻はそういうと艶然とほほ笑んで、やつの好みのけばけばしいスーツに着替え、きょうも浮気に出かけてゆく。
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旨い。
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不味い。

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