淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
第六感。
2016年05月14日(Sat) 09:55:24
吸血鬼の棲むこの街に足を踏み入れて、
だれが人で、だれが吸血鬼なのか疑心暗鬼だった、最初の一週間。
勤務先でふと目の合ったあの男に、わたしはなぜか血が騒いだ。
身体じゅうの血液が、ざわざわと。
やつに吸い取られてしまうのだと、血液自体が反応したみたいな、そんなまがまがしい予感だった。
予感は果たして、的中した。
慣れ初めて三日目に。
家族を紹介するために、自宅に招いたとき。
初めて目線を合わせた妻は、なぜか血が騒いだという。
身体じゅうの血液が、ざわざわと。
ヤツに吸い取られてしまうのだと直感したのはきっと、女のカンだったに違いない。
勉強部屋から降りてきた息子までも。
初めて目線を合わせた彼に、なぜか血が騒いだという。
身体じゅうの血液が、ざわざわと。
きっと――あの男にとってわたしの血すじは、なにかの縁があったのだろう。
初めて逢瀬を遂げたとき。
息子はつきあっている彼女を紹介すると約束をした。
ちょうどわたしが、初めて吸われたお礼に妻を紹介すると誓ったように――
サークルの合宿から戻った娘は、さいごに彼と対面をした。
すでに、両親も弟も、吸われたあとのことだった。
初めて目線を合わせた彼に、娘も血を騒がせていた。
身体じゅうの血液を、ざわざわと。
夏季休暇のさなかだというのに、娘は彼のために制服を着ようと決意していた。
初めて抱かれるのも、きっとこのひと――
すでに親の決めた婚約者がいたにもかかわらず、娘はそう直感したという。
いまでは――
だれもがなにごともなかったように、いままで通りの日常を過ごしている。
妻はわたしが出勤した後に、いそいそと着飾って浮気に出かけ、
娘は婚約者にも公認させたうえで、学校帰りに寄り道をしていく。
男に抱かれることに目覚めてしまった息子は、彼女を食われたことを誇りに思っていたし、
わたしさえもが勤務先ちゅうに、外商と称して彼の邸を訪れて、抱かれてゆく――
妻や娘、息子の未来の花嫁、それに息子さえをも抉った肉の牙で、股間を侵されながら・・・
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