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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

20年ぶりの帰郷。

2016年06月07日(Tue) 07:42:49

暗がりの支配する小部屋のなか。
13歳の瀬藤怜奈は、老婆に抱きすくめられて、
すんなりと伸びた首すじを、いまは惜しげもなく飢えた唇にあてがってしまっている。
キュウキュウ・・・キュウキュウ・・・
うら若い血潮を刻一刻と吸い出されてゆくというのに、
少女の白い頬は怜悧な輝きを秘めていて、
自分の体内から血液を吸い出されてゆく音を、耳で愉しんでいるかのようにさえみえた。

老婆が唇を少女の首すじから放すと、
少女はちょっぴり残り惜し気に眉を顰めて、老婆のことをじっと見つめた。
「あたしの血、美味しい・・・?」
頷く老婆の唇には、吸い取った血がチラチラと光っている。
怜奈は魅入られたように、老婆の唇を自分の指でなぞり、自分の血の付いた指をそのまま、唇で吸った。
錆びた香りが、少女のピンク色の鼻腔に満ちた。
「ククク。まだそなたには、きつい味わいぢゃろうえ」
老婆はしんそこ嬉し気に、薄闇に輝く少女の黒髪を撫でた。
少女には、自分の血の味が苦かったらしい。
「わからない~」
といって、顔をしかめて老婆を見返った。
「いま少し、エエかの?」
老婆のもの欲しげな目線がハイソックスを履いた足許に注がれるのを感じると、
「好きにして」
少女は頬ぺたをふくらませ口を尖らせながらも、素直にその場にうつ伏せになって老婆の目のまえにハイソックスのふくらはぎをさらした。
ククク・・・
老婆の含み笑いはいっそう卑猥さを帯びた。
そのまま白のハイソックスのふくらはぎに唇を吸いつけると、
クチュ・・・クチュ・・・と、いやらしい音を立てて、少女の脚を舐めはじめた。
しなやかなふくらはぎに帯びられたナイロン生地の舌触りを愉しむように、
くまなく少女の足許に唾液をよぎらせると。
こんどは牙をむき出して、そのままグッと咬み入れた。
真っ白なハイソックスに、バラ色のほとびが不規則に散った――


怜奈はこれでよかったのでしょうか?
妻の淑恵(としえ)の囁きにまだ母親の情愛のぬくもりがよぎるのを、袴田は後ろめたそうに目を背けた。
だからこの村には、連れて来たくなかったのだ。
生まれ育った村は、捨てたつもりだった。
親兄弟も結婚式には招ばず、以来いちども足踏みをしようとしなかった村――
よんどころなく訪れることになったのは、娘の怜奈にくり返しせがまれたからだった。
「あたし、お父さんの生まれ故郷を見てみたい。できればずっと、棲んでみたい」
小娘の無邪気なさえずりと聞き過ごしていたのに、それが度重なるにつれ、妻からも同じ言葉が漏れてきた。
妻のそれは、世間体に対する申し訳なさからくるものだった。
「いちどもお邪魔していないんですよ。私気が咎めてしょうがないの」
挙式の相談をして以来、夫婦の間での唯一のわだかまりが、袴田の実家についてのことだったのだ。
けれども、怜奈の願望はそうした大人の計算とは無縁の、というか、次元のちがうものだった。
ふたりに責めたてられるように帰郷を迫られた袴田は、とうとう実家への電話をかけるため受話器をとった。
受話器をとったのが妻と娘の留守中だったことに、ふたりはなんの不審感も抱かなかったようだが――そこで交わされたやり取りは、ただならないものだった。

「こんどそちらに帰るから」
「そう?ずいぶんだし抜けなんだね」
「迷惑かな?」
「そんなことあるわけないだろう。村をあげて歓迎さ。淑恵さんいくつになった?怜奈ちゃんは?」
袴田は、悪魔に魂を売り渡すような気分で、妻と娘の年齢を告げる。
「淑恵は三十六で、怜奈は十三だ」
「十三歳かね。縁起のいい数字だね。婆さん悦ぶよ」
いちばん聞きたくない科白だった。
けれども、怜奈があれほど言いつのるのだ。もう逃れようはない――袴田は観念した。
自分から受け継いだ血を秘めた少女は、やはりもとのさやに収まろうとするのだと。
狂った本能に違いはなかったが、きっとそれは正しいのだと、袴田は観念した。
妻は・・・そう、なにも知らない妻はどうなのだ?
娘がそれとは知らず本能で覚っていることさえ、都会育ちの妻は夢にも思わぬこと。
けれどもあの村にひと晩でも宿をとれば・・・都会人の理性など一夜の夢のように虚しく消えうせてしまうことも袴田はわかり抜いていた。
村に着いた怜奈は、かつて袴田自身の血を吸った老婆を目にすると、「お婆ちゃん♪」と親しく懐いた。
ところどころ赤黒いシミの浮いたみすぼらしい着物をまとう老婆は、
よそ行きのスーツに身を包んだ都会の少女とひどく不つり合いにみえたのに。
そんなことなど意にも介さずに、少女は老婆の手を引かんばかりにして、母親の隣からいなくなった。
母親が止めるのも聞かないで。
広い実家の片隅の小部屋に連れ込まれた少女が、どんな目に遭うのか。
けれども彼女は、それをとうぜんのことのように迎え入れ、きっと許すのだろう。
世間並みのあいさつを嬉々として交し合う、なにも知らない妻を横目に、
袴田は独り、じりじりとしながら刻の移るのを耐えた。


つぎはお前の番だよ。
さすがに淑恵の頬は、引きつっていた。
ふすまひとつへだてた向こう側にいるのは、まな娘の血を吸った老婆。
それが、いまは自分の生き血を目あてに息をひそめているという。
身にまとう薄汚れた着物を、娘を咬んだときに浴びた血しぶきに濡らしたまま――
もう、どうすることもできないのですね・・・?
助けを求めるような妻の瞳をまともに見返して、袴田は囁き返す。
こうするよりないのだよ。
怜奈はまだ、老婆といっしょにいる。
とうに気を喪って、その身をめぐるうら若い血液を、がつがつと喰らわれながら。
娘を救うには、自身が身代わりになるしかない。
さっきは、兄嫁が身代わりになってくれた。
けれども彼女もまた、怜奈を連れ出すことはできず、真っ蒼な顔をして部屋からさ迷い出てきたのだった。
義兄や義父母の厳しい視線から無責任に逃れるには、淑恵は世間体に縛られすぎた女だった。
怜奈は自分の血が教えてここに来た。
だがこの女もまた、世間体という化け物にそそのかされて、この村に引きずり込まれたのだ。
袴田は妻を愛していた。けれどもこのときばかりは、無同情に妻の背中を押していた。
「行きなさい」
袴田自身も久しぶりにつけられた首すじの痕に、えも言われない衝動を疼かせていた。
老婆の干からびた血管を満たすために、妻を行かせたい――そんな異常な熱望が、袴田を支配していたのだった。
そうすることで、妻もたぶんすんなりと、自分たちの同類になり果ててくれる・・・

おっ、お許しを・・・ッ!
部屋の隅に追い詰められた淑恵は、とっさにブラウスのえり首を掻きよせた。
そのしぐさが、さらに老婆の劣情をそそっていた。
くひひひひひひひっ。早ぅ、血をよこせぇ・・・
そううめいて化け猫のようにとびかかる老婆のまえ、都会育ちの人妻はひたすらに無力だった。
がぶっ。
ふすま越し、妻が咬まれる音が聞こえたような気がした。
袴田はふすまを細目に開けた。
抱きすくめられた妻のまとっている空色のブラウスが、首すじから噴き出る血潮に、みるみる赤黒く染まってゆく――――
異形の光景に、袴田は老婆の行いを妨げようとする手を凍りつかせた。
かつて――老婆が母親の首すじにかぶりついた光景を目の当たりにした記憶が、ありありとよみがえっていた。

ああーッ!
ぎゅうぎゅうと強引に血を吸いあげられて、絶望的な叫びをあげる妻。
20年まえ、母もまた、首っ玉にしがみついてくる老婆を拒み切ることができずに、おなじ色の悲鳴をあげていた。

めくれあがった濃紺のスカートのすそから覗く、肌色のストッキングに包まれたひざ小僧。
老婆の皺くちゃの手の甲が、ギュッと閉ざされたひざ小僧を割って、さらに奥へと忍び込む。
母のときもそうだった。あのとき母は、スリップを着けていた。いまの妻には、それがない。
すそにレエスもようのついたスリップをたくし上げながら、老婆は母を犯しにかかるように、卑猥なまさぐりを股間に擦り込んでいった。

はうっ。
太ももに食いつかれ、ストッキングをびりびりと咬み破かれながら、妻は歯噛みをしながら吸血に耐えている。
はやく、いまのうちに、怜奈を連れ出して・・・!
妻の想いはそこにあるはずなのだが。
当の怜奈は首すじにつけられた咬み痕を指先でもてあそびながら、母親の受難をじいっと見つめている。
怜悧な視線。しかしその冷たい観察の奥に、小気味よげな満足感がわだかまっているのを、袴田は見逃さない。
それは、目のまえで自分の母親が吸われたときに自分が感じたものと、同じだったから。
自分の体内をめぐる血潮とおなじ血が。
お婆ちゃんを、愉しませている。気に入ってくれている。
やっぱり引き合わせてよかった。母さんの血は、お婆ちゃんに吸わせてあげるために、母さんの身体のなかをめぐっているのだ――おなじ思いをきっと、怜奈は共有しているに違いない。女らしい、もっと冷血な想いを秘めて。

ママったら、とても楽しそう・・・
そうよ、血を吸われるのって、愉しいわ。
身体じゅうが、むず痒くなっちゃうの。
だからママも、ガマンできなくなっちゃったのね。
あたしには厳しいしつけをするくせに、自分はこんなにはしゃいじゃったりするのね?
そうよ、もっとはしゃいで、はしゃぎ過ぎて血を全部、抜き取られちゃうといいわ。
それから、あたしも知らないようなやりかたで、うんと辱められるの。
パパがかわいそうな気もするけれど・・・でもパパもきっと、愉しんじゃってるに違いないから。
恥知らずなのよ、あのひとだって・・・

いつの間にか、部屋には男どもの呼気が満ちていた。
父に兄、そして子供のころ袴田を弟ぶんにしていた、年上のあんちゃんたち。
それらがいっせいに、服をはぎ取られ太ももや乳房までもあらわにして乱れ狂う妻の肢体に、いっしんに目線を注いでいる。
老婆がその場を譲るように女を放すと、入れ替わりに男たちが半裸の淑恵に群がった。
ひとりが淑恵の頬に平手打ちをくれ、べつのひとりが肩を抑えつけ、さらにひとりが脚を抑えつけ、ついでにストッキングのふくらはぎに唇をねぶりつける。
いちばん最初に妻が相手をしたのは、父だった。
そうだね。母さんが襲われるのを手伝ったのは僕だったから。
父さんがいちばんさいしょに淑恵のうえに馬乗りになるのは、理に適っているよね・・・

妻が犯される――なのに勃ってしまっている。
恥ずかしいはずの欲情が、かえってすべてを忘れさせた。
鎌首をもたげる茎の剛(つよ)さに満足を覚えながら。
それ以上に怒張をあらわにした父の一物が、妻のまとうスカートの奥に侵入するのを、袴田はドキドキしながら見入っていた。
身体じゅうから抜き取れたはずの血が戻ってきて、心臓の鼓動をドクンドクンと痛いほど伝えてくる。
あうううう・・・っ。
股間に受け入れた吶喊の激しさに。
恥知らずな粘液を目いっぱい嫁の奥深く吐き散らす魔羅の硬さに。
断末魔のようなうめきをあげつづける妻。
食いしばった歯のすき間から洩れる吐息に、淫らなものが混じるのを、袴田はみた。
歯並びの良い白い歯も、嫁を飼いならそうと躍起になった父の舌になぞられて、淫らな輝きを帯びていた。

入れ代わり。立ち代わり。
だれもかれもが、淑恵のうえにまたがった。
袴田が提供した都会育ちの人妻の肢体は、すみずみまであますところなく、たんのうされた。
ふと見ると、かたわらに怜奈がいた。
秀でた眉を寄せて、強いられた乱交に本能で応えはじめる母親の肢体を、冷たく輝く瞳で見つめつづけている。
ママ、楽しそうだね。
そうだね。
パパも、愉しんでいるのね?
そうだね・・・
やっぱ、里帰りにはお土産がいるよね。
だね。
怜奈もママも、いいお土産なんだね。

わたしと淑恵の娘は、もの分かりのよい子に育っていた。
その母親も、男たちの腕のなか、もの分かりのよい人妻になり下がっていった。
帰郷した初めての夜。
わたしは家族の一員として再び迎えられ、
彼らを家族の一員として、新たに受け容れることになる・・・
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コメント

ありがとうございます!

女同士、年の差と美醜の差、それに吸血という行為全てが完璧でした!

ワガママを言って申し訳ありません!でもとても素晴らしい作品でした!
by 淑女好き
URL
2016-06-09 木 01:19:14
編集
> 淑女好き さま
おお☆こちらも読んでくださったようで、嬉しいです。
頂いたコメントのおかげで、いろいろ触発されてしまいました。
お気に召したようで、なによりです。
また、遊びに来てくださいね。
(^_-)-☆



ついしん
「淑女好き」というお名前にも、なにやらフェチな香りが漂いますね。
(^^)
by 柏木
URL
2016-06-09 木 04:44:21
編集

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