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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

同僚

2016年10月11日(Tue) 07:41:59

某地方都市に転勤になったとき。
前々任地でいっしょだった同僚・葉裏になん年ぶりかで再会した。

忘れもしないあの土地は、創業者の出身地。
都会にいられなくなった者たちのなかでも、家族状況を勘案の上、
極秘の性格テストに合格したものだけが赴任を許されるあの土地で。
其処は、吸血鬼と人間とが、密かに共存を許された土地。

たいした仕事を割り当てられずにぶらぶらと過ごすことを許されたわたしたちは、
自分自身と家族の血液を提供して、のんびとした日常を送っていた。
自分の妻を吸血鬼に抱かせた者は、あとから赴任してきたものの妻や娘を抱く特権を手に入れる。

そんな輪廻にも似た連鎖のなかで。
この街に来て初めてわたし以外の男を識った妻に、もっとも執心だったのが葉裏だった。
街の有力者に初めて抱かれ、身も心も解放されてしまった妻は。
そのあと、なん人もの吸血鬼を相手に、性の処理まで引き受けて。
それから、わたしの同僚たちを相手に、順ぐりに不倫をくり返した。
そのなかで、いちばん深く妻に執心し、いちばん多く妻を抱いたのが葉裏だった。
この街に棲みつく都会妻は、だれしもが街の吸血鬼たちの愛人にされるというのに、
妻は異例にも、都会育ちの葉裏とカップリングすることを許された。

葉裏はあの街に棲みついて、家族ぐるみで服従していた。
街の長老に母親を紹介し、長老は父親の理解を勝ち得てその妻を囲い者にしていたし、
子供たちは母親の愛人に懐いていて、
娘たちは齢の順に、村の男衆に処女を捧げていた。
息子は地元でできた彼女を、自分の母親を愛人に紹介し、女の歓びを教え込んでもらっているという。

そんな葉裏が、街に家族を置いて単身赴任してきた。
葉裏の妻が、愛人との同棲を望んだので、願いを叶えてやるために単身赴任を選んだという。
もちろんこんな会話は――ふつうの社員の知るところではない。
なにも知らない同僚たちの視線をかいくぐるようにして、
わたしたちは共犯者同士の目配せを、交し合うのだった。

葉裏が転勤してきた。
わたしが妻にそう告げると、妻は驚いて、嬉しげな顔色をあわてて隠した。
こんど連れてくるから――そういうわたしに、不安そうに頷いていたのは。
なにも知らないこの土地の同僚や奥さん仲間にばれてしまうと困るから――そんな気分だったのかもしれない。

常識的な日常が支配するこの土地で。
わたしはふたたび、妻を葉裏に抱かせていた。
葉裏はわたしの夜勤や残業の時を狙って留守宅に忍び込むと、
着飾って待ち受けている妻に襲いかかって、夫への貞節を守ろうとする妻を、力ずくでねじ伏せる。
首すじを熱く吸われながら、妻はすぐさま偽りの抵抗をあきらめていた。
そんな妻の堕落のありさまを、夜勤で帰りが遅れるはずのわたしは、隣室で息をつめて、見守っていた。
敷かれた布団のうえ、あお向けに転がされた妻は、こちら側に脚を向けて、
わたしの目線には気づきもせずに、喘ぎと媚びとをあらわにする。
向けられた脚を彩るなまめかしいストッキングが、照明を照り返してツヤツヤと輝いて、
組み敷かれた婦人のリッチな日常と、その陰に隠れたふしだらさとを物語って。
しわくちゃになってずり降ろされ、みるかげもなく引き破かれていく薄手のナイロン生地が、
いびつで不規則に波打って、妖しく乱れ果ててゆく。
遠目にも。
葉裏が気を入れて、ありったけの精液を熱く熱くそそぎ込むようすが、
生々しい筋肉の隆起とくり返される激しい上下動とともに、わたしの網膜を狂わせた。

解放された街で許された情事が、いま常識まみれのこの街で再演される。
あのときは強いられて行った淫姦を、いまはすすんで取り結んでいた。
禁忌に触れる。そんな想いが、むしろ歓びと昂ぶりとを、掻きたてていった。

妻子を飢えた吸血鬼の棲む街に住まわせてきた男は、代わりにわたしの妻を、現地妻として勝ち得ていて。
あのときでさえ愛人を持とうとしなかったわたしは、妻を一方的に侵されることで、淫らな歓びを勝ち得ていた。

在任数か月で、葉裏はこの街を去り、前任地へと戻っていった。
それと前後して妻がわたしの前々任地に転居していったのを、不審に思うものはいなかった。
葉裏がこの街を去る、さいごの夜に。
わたしたち夫婦は彼を家に招いて、夜の宴をともにした。
わたしは結婚指輪をはずして彼に餞別として与えようとし、
彼はそれを遠慮して、これからもはめつづけるようにと願っていた。
妻は、わたしと同じ結婚指輪をはめた手を彼にあずけることを希望して、わたしはそれを承知した。
わたしたちは、彼女がわたしの妻の立場でありながら、葉裏の想いのままにされる――そんな日常を選んだのだ。

いま、わたしの妻は葉裏と暮らしている。
けれどもその家の表札には、わたしの苗字が書き入れられていて、
葉裏は自分の妻が吸血鬼の訪問を受けているときだけ、わたしの家に入り浸っている。
もっとも――吸われるべき若い血がふんだんに得られる葉裏家が、吸血鬼の訪問を受けない日のほうが珍しいのだが。
わたしがその家に「戻る」とき。
葉裏は夜這いをしかけてくる。
夜這いのすんだ夜明けになると。
わたしは初めて妻を熱く抱き、この街をいったん離れてから過ごすことのまれになっていた熱い夫婦の営みを、再開する。


あとがき
村に棲みついた都会の夫婦が、常識の支配する別の任地に赴いて、
そこで再び、村で奥さんを好んで「相伴」した同僚と一緒になって。
あのときの記憶が、再現される――

吸血鬼に妻を譲り渡した都会の夫たちが手にした特権を、あとから赴任した同僚の妻を相手に行使して。
それがエスカレートして、任期が終わっても愛人関係を継続する・・・そんな世界が、あるようです。
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