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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

成長、もしくは忌むべき連鎖

2016年11月27日(Sun) 08:32:22

「こんにちは。入ってもいいですか?」
硝子戸の向こうから、男の子の声がした。
「ああ、どうぞ」
仲間の一人が、声にこたえる。
声にこたえて、硝子戸がガラリと開いて、その向こうから制服姿の少年が3人、ぞろぞろと入ってきた。
紺のブレザーに半ズボン、同じ色のハイソックス――地元中学の生徒たちが、
折からの寒気に頬を赤くして、部屋にあがってくる。
「ようこそ、きょうの身体の具合は?」
仲間の問いにこたえて、先頭の一人がいった。
「絶好調です!」
それはなにより――部屋にいた三人は顔を見合わせ、笑みを交し合う。
三人が三人ながら、そろいもそろって顔色を蒼くした吸血鬼だった。

一人ずつ相手を選んで、相手の男の子を畳部屋に寝そべらせ、まろばせてゆくと。
あるものは男子にしては白い首すじに、
あるものは半ズボンのすそから覗いた太ももに、
あるものは紺のハイソックスを履いたふくらはぎに、
飢えた唇を吸いつけてゆく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ずずっ・・・じゅるっ。
ごく、ごく、ごく、ごく・・・
三人三様の音をたてながら、ひたすら飢えにまかせて、若い血潮を味わっていった。
少年たちは慣れているのか、欲情にまみれて迫ってくる年上の男たちから目をそらしながらも、
無抵抗に身体の力を抜いて、訪れる陶酔に身を任せてゆく。

「おっと、少し吸い過ぎたかな」
少年のひとりが起きあがりざまよろけると、吸血鬼たちはとっさにその少年をかばうように手を差し伸べる。
真智くんの血は、美味しいからねえ。
微妙なほめ言葉に、それでも真智君と呼ばれた少年は照れ笑いを泛べる。
吸血する側も、される側も、ふだんは顔見知り同士の、小さな街。
血を吸う側は少年たちの親たちとも交流がある。
親たちは彼らの所行を見て見ぬふりをすることで、彼らの生存を間接的に手助けしているし、
容赦されていることを知っている吸血鬼たちは、感謝をこめて少年たちの首すじに牙を埋める。
調子に乗って多少吸い過ぎてしまうことはあっても、悪意をぶつけるような襲いかたは決してしない。
まして、死なせてしまうことなどもない。
だから少年たちは安心して、近所の家に遊びに行くような気軽さで、彼らの棲みかとなっている小屋を訪れるのだ。

彼らは学年が進むと、吸血鬼がほんとうに欲しがっているのが女子の血であることを悟ってゆく。
「ぼくはこれから、女子の制服を着て学校に行く」
息子がそう親に告げると、親はなにが起きているかを言外に察して、
地元の制服専門店で、女子の制服をしつらえる。
少年たちの通う学校は男子校だったけれど、かなり以前から女子の制服も制定されていた。

男子校のはずなのに、女子の制服を着ているものが半分を占める、不思議な私立校。
スカートに半ズボンのちがいはあっても、例外なく紺のハイソックスに包まれた足許は、男女の区別がつかないほどだ。
男の子たちはやがて、そのほとんどが、自分の意思で女子の制服を選択するようになって、
放課後、吸血鬼の待ち受ける小屋へと足を運んでゆく。
「ぼくが襲われているのか、ほかの女の子が襲われているのか、時々わかんなくなることがある」
ある少年は、そういった。
事実彼らはそのうちに彼女ができると、それぞれ彼女を伴って、ふたたび小屋を訪れるようになる。
「制服汚されたら、困るんですけど」
男子生徒に伴われた女子生徒たちは、だれもがはにかみながらそういうと、
イタズラっぽく笑いながら、紺のハイソックスの脚を、飢えた唇のまえに差し伸べてゆく。
一時間ほどもすると。
女の子たちは白い顔をして彼氏に連れ出され、そして恋人に囁くのだ。
「こんどはストッキング穿いた脚を咬みたいんだって。いっしょに来てくれるよね?」
優しく睨みあげる女の子の目線をくすぐったそうに受け流して、
でも少年たちは彼女の意向に逆らうことができなくなってゆく。

これを成長と呼ぶのだろうか。たんに忌むべき連鎖と片づけるべきなのだろうか。
きょうもまた、いろいろな想いを抱えた生徒たちが、古びた小屋へと連れだってゆく。
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父さんが、吸血鬼になっちゃった。
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コメント

今回もたくさんのお話しをアップされましたね。
数あるお話の中でも、学園ものと女装に絡むお話がいちばんツボにはまる私です。

>少年たちの通う学校は男子校だったけれど、かなり以前から女子の制服も制定されていた。
こんな学校が本当にあったら良いなぁ^^

by ゆい
URL
2016-11-27 日 23:59:17
編集
> ゆいさん
> 男子校なのに女子の制服が制定されている
というのは、吸血鬼の出入りや、生徒が女装して血を吸わせる行為を、学校側が公認することで初めて成り立つ世界ですね。
でも昨今の状況を考えますと、女装OKの男子校があってもいいような気がします。
いや、モテモテになり過ぎて、風紀の維持が大変かも知れませんけれど。
^^;

> 若い女の血を吸いたい吸血鬼のために、少年くんが女装して自分の血を吸わせる。
というプロットは、ほんとうに大昔から持っていました。
柏木が女装に惹かれる発端のひとつも、そんなところにあるのかもしれません。
by 柏木
URL
2016-11-28 月 05:14:45
編集

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