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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

丸ぽちゃの少女の初体験

2016年11月30日(Wed) 07:38:23

「2年D組、近藤美幸さん。近藤美幸さん、旧校舎8番教室まで来てください・・・」
校内放送にいわれるまま、近藤美幸は人けのない旧校舎へと足を向けた。
後ろでむぞうさに縛っただけの黒髪に、白い丸顔がよく映えていたが、
それが本人のなかでは唯一の自慢。
丸っこすぎる目も、小さいだけの唇も、もちろんぽっちゃりした体形も、本人はとても気にしている。
この学校で生徒が突然旧校舎に呼ばれる理由は、ただ一つ。
吸血鬼と共存しているこの街の中学校は、彼らの来訪を受け容れていて、
生徒も教職員も、吸血の対象とされていた。
でも・・・
あたしなんかじゃ。
そう、あたしなんかに白羽の矢が立つわけがない。
そんなふうに卑下してしまうのが、美幸のわるい癖だった。

「ア、小父さん・・・」
教室のドアを開いた美幸の視線の向こうには、よく見知った顔。
父の遠縁の関係にあたるその人は、両親よりもずっと年上で。
よく家に出入りしては、母の血を吸っている人だった。
「美幸ちゃんの血が、どうしても欲しくって」
「・・・どうしてあたしなんですか・・・」
クラスにはもっとかわいい子がおおぜいいるのに。
だれとだれが吸われたのか、ちゃんとわかっているわけではなかったけれど。
中二の女子の吸血体験の割合はまだそんなに高くなくって、
5人に1人か2人くらいらしい。
もちろん、かわいい子のほうがずっと、体験率は高かった。
「どうしても、あんたじゃなくちゃいけないんだ」
小父さんは子供のように言い張った。
「母も知っているんですか」
「じつは、お母さんから頼まれた」
「やっぱり・・・」
すこしがっかりしたらしい美幸をみて、小父さんはちょっとため息をついた。
「あ~あ。そんなだから母さん美幸ちゃんのこと心配するんだ。もっと自分に自信をもって」
「言われなくったって、わかってるんだけど・・・」
あくまで暗い美幸の背後に、しかし小父さんは抜け目なく、
退路を断つようにして、しっかり後ろにまわり込んでいる。
チカリ、とひらめく牙の気配に、さすがに美幸はぞっとなる。
けれども小父さんは素早く、美幸の肩を抱いたまま、首のつけ根に牙の切っ先を埋め込んでしまっていた。

ちゅうっ・・・

忘我のひと刻――
数分後。
少女は目つきも顔つきも、見違えるほど大人びていた。
「あとで鏡を見て御覧」
そういう小父さんにむかって、
「ブラウスに血がついてるの?」
と、見当違いな返事をした美幸は、すこし気持ちの余裕が出てきたらしい。
「もっと吸ってもいいわよ」
と、こんどは自分のほうから、脚を差し伸べている。
いつもこのひとが、ストッキングを穿いた母さんの脚に、好んで咬みついているのを知っているのだ。
美幸の足許は、真っ白なハイソックスに覆われている。
濃紺のスカートの丈はひざ小僧の下まであって、ちょっと見にはハイソックスかタイツかわからないくらいだった。
「おいしそうだね」
と、舌なめずりをする小父さんに、
「いけすかない」
と、少女は口を尖らせた。
けれどもいちど狙われた足許を、引っ込めようとはしなかった。
真っ白なハイソックスのふくらはぎに、小父さんの赤黒い唇がもの欲しげになすりつけられてくるのを、
美幸は唇をキュッと引きつらせ息をつめて見おろしていた。

ちゅうっ・・・

ふたたびあがる、吸血の音。
美幸はこんどこそ、貧血を起こして、その場にぶっ倒れていた。
吸血の音はそれでも長いこと、廊下の外までキュウキュウと、断続的に洩れつづけていた。

「ただいま」
「おかえりなさい。アラ、顔色悪いわね」
なにもかも知っているはずの母さんは、下校してきた美幸のことをなに食わぬ顔をして出迎える。
「吸血されたー。ばっちり貧血ー」
美幸にしてはめずらしく、うじうじせずに、ストレートにそういうと。
「しばらく寝るから」といって、母の顔を見ようともせずに二階に続く階段をあがっていく。
母さんは、娘の後ろ姿を、苦笑いして見送りながら小声でつぶやく。
「あらあら、あの子ったら・・・」
真っ白なハイソックスのふくらはぎには、血のりがべっとりと沁みついている。
「今度から、履き替え持ってくように、言わなきゃね」
母さんの呟きはトーンをかえて、娘に呼び掛けていた。
「今夜はお赤飯にするあからね」
「はーい」
意外なくらい、明るい声が、返ってきたのを聞き届けると。
「小父さんに、あとでお礼を言っておかなくちゃね」
と、また呟いていた。

少女が大人への道を一歩踏み出すとき。
母親はお赤飯を、炊くものらしい。


あとがき
登場人物の氏名は架空のものであり、実在の人物とは関係ありません。念のため。
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母と娘と
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コメント

近藤美幸ちゃん、普通の女の子感が凄く出てますね。そんな女の子でも、ひとつひとつ初体験を済ましていくことで大人のオンナになっていくのでしょう。
美幸ちゃんを吸血できた小父様も幸せ者だぁ^^



by ゆい
URL
2016-11-30 水 18:58:00
編集
> ゆいさん
彼女の面影は起き抜けに、ありありと浮かんできましてね。
リアル的には見ず知らずの少女なのですが、
たまに、こういうことがあるんです。

あるいみこの吸血行為は、彼女にとってファースト・キスか処女喪失体験に近いものだったのかもしれないですね。
by 柏木
URL
2016-12-01 木 07:23:15
編集

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