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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

うちは、献血しているんですよ。

2016年12月06日(Tue) 07:23:56

うちは、献血してるんですよ。
お見合い相手が未来の夫となるまえに口にしたのは、そんな家族の秘密だった。
さりげなくにこやかに言われたので、ふつうの人なら気がつかなかったのかもしれない。
でも、この街で「献血をしている」というほんとうの意味が、

家族ぐるみで、吸血鬼に血を吸われている。

そんな意味なのだとわかるのは、真由がこの街に長く住んでいるからだった。
「私と結婚すると、貴女も血を吸われてしまいますよ」
京太さんはそんなふうにさりげなく、彼女に警告してくれたのだ。
「献血するのは、私だけでもいいんでしょうか?」
思わず訊いた彼女に、京太はいった。
「いま、母が貴女のお母様に、同じような話をしている頃だと思いますよ。

母娘とも、今度のお見合いの首尾不首尾の結論が一致したことをお互いに知ったとき。
母娘のあいだには、共犯の関係が生まれていた。

結納を交わしたその足で、真由は京太に誘われて、
いつも自分の血を吸わせているという吸血鬼の棲む家に連れていかれた。
出迎えた吸血鬼は、総白髪の老紳士だった。
脂ぎったものの抜けきったようすに、真由はなぜか警戒心を忘れていた。
「じゃあ、あとはふたりでごゆっくり」
お見合いの開始のときに親たちがいったのとそっくりな言葉を残して京太が席を立つと、
彼の背中がドアの向こうに隠れるのももどかしそうに、男は真由にすり寄ってきた。
アッ!と思ったときにはもう、抱きすくめられて身動きできなくなっていた。

さっきまでの礼儀正しい紳士の擬態をかなぐり捨てて息荒く迫って来た男は、
真由の首すじを咬むと、
ゴクゴクと音をたてて彼女の生き血を吸いはじめたのだ。
生温かい血潮がブラウスにじっとりとしみ込んでくるのを感じながら。
真由はどこかでこの荒々しい無作法を悦んで受け容れている自分自身に気がついていた。

もしかすると・・・私が処女を捧げる相手は、このひとなのかもしれない。

そんな危険な予感が、真由の心の奥を妖しくよぎる。
彼女のうえにおおいかぶさっている男は、真由の想いを敏感に感じ取ったようだが、
その日は真由にそれ以上の無作法をはたらくことはなかった。
ふたりが身を離したとき、京太がふたたび部屋に戻ってきたが。
老紳士はなにごともなかったかのように振る舞い、
真由もまたなにごともなかったかのように、さっきまでの礼儀正しく初々しい婚約者になり切って、京太に応対していた。

それからは。
三日にいちどは、老紳士の邸を訪れていた。
さいしょは、京太と連れだって。
しかしその後は、京太に黙って訪れる日々がつづいた。
玄関のポーチにスーツ姿で佇む真由は、いつも礼儀正しく頭を垂れて、
そんな彼女を迎え入れる吸血鬼は、真由の手の甲に接吻をして、彼女を部屋に引き入れてゆく。
アップにしたヘアスタイルは、真由の首すじのラインをきわだたせていたけれど、
吸血鬼の寝室に招ばれた彼女は長い髪を解き放って肩に流して、彼の相手をつとめるようになった。
まさに、生き血を吸われる美女の風情だった。

やがてあるとき、婚約者の京太に伴われて邸を訪れた真由は、決定的な刻を受け容れる――
「真由さんの第二の夫に、貴男を択びます」
そう言い残して立ち去ろうとする京太の背中を見送りながら、真由は幾度めかの抱擁を、自分から受け入れていく。
「予感のままにしていいんだよ」
未来の夫が囁き残したそんな言葉に安堵した真由は、
浮気相手まで定められた新婚生活を思い浮かべながら、
ストッキングを引き剥がれた太ももを開き、股間にすべり込む淫らなまさぐりを受け容れてゆく――
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