FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

姫はじめ。

2017年01月02日(Mon) 06:09:14

訪客を報せるインターホンに出た嫁の初美が戻ってくると、おずおずとしながら訪客の来意を告げた。
「あの・・・姫はじめだそうです」
「あら。あら」
とにこやかに応じるのは、なん十年も連れ添ったわたしの妻。
「なん人いらしたの」
妻の問いに、嫁は答える。
「3、4人いらしているみたいです」
「まあ、まあ」
妻は面白そうに相槌を打って、腰かけていたソファからそそくさと起ちあがる。
「じゃあ、女性軍みんなで、お相手しなくちゃね」
そうして妻は、わたしや息子、居合わせた妹夫婦までも見回して。
「吸血鬼さんが、大勢いらしたわよ。姫はじめをなさりたいそうよ。うちのおなご衆、総動員ですよ」

あがり込んできたのは、だれもが顔見知り。
それは隣のご主人だったり、息子の幼なじみだったり、彼らの妻の交際相手だったりする。
そしてひとりとして、自分の妻を吸われていないものはいない。
幸いにして家族全員がその身に血液を宿しているわたしたちの義務は、彼らのために女の生き血を提供すること。
わたしたちは素知らぬ顔をしてリビングに戻り、女たちは全員、隣室の客間にかしこまって、男たちを出迎える。

きゃあ・・・。
あれえ・・・っ。
女たちの短い悲鳴は、聞こえなかったふりをするのがルール。
自分の妻の声を聞かされる男どもはいたたまれなくなり、一人また一人と、自室へと消えてゆく。
都会から新年のあいさつに来た娘婿は、宿泊のためにあてがった二階に上がりかけ、
ちょっとだけためらってから戻って来て、
吸血の行われている部屋のまえに立つと、ひっそりとふすまを細目に開ける。
この街に生まれ育ったわけでもないのに、もの分かりのいい男だった。

注意してみると、娘婿とは反対側のふすまも、そっと細目に開いている。
ふすまの裏側では、立膝でしゃがみこんでいる息子が、ジリジリとした視線をそそぎ込んでいる。
息子の視線の彼方にあるのは、さっきまで小さくなってしゃちこばっていた新妻の初美。
去年の秋に、結婚したばかりだった。
この街で祝言をあげれば、娶った妻はたちまち吸血鬼の餌食になって、あげくの果ては寝取られてしまう。
そんなしきたりを知りながらも、この街での挙式を選択した息子。
他所から嫁いでいた女の血で、幼なじみたちの喉の渇きを助けてやりたい。
そんな殊勝な言葉の裏に、寝取られる歓びに目ざめてしまったものの“渇き”を感じてしまったのは。
父親のわたしが、そうした嗜好を息子と共有していたからだろう。
遺伝をもたらしてしまったのかと悩むわたしに、心優しい嫁は健気に、息子やわたしたちの嗜好を受け容れると囁いてくれた。
もしかすると妻同様、不倫の愉しみに目ざめてしまっただけかもしれなかったけれど。
いまは息子同様、妻たちには頭が上がらないでいる。
獲物を取り換え合って、情痴に耽る吸血鬼の下にいるのは、母親や新妻、それに妹――
こんな状況に感じることができるのは、いまはこの街では羨望を呼ぶ徳目になりつつあった。

「終わりましたよ」
何事も起こらなかったような顔をして、部屋から出てきた妻は。
ほつれた髪をさりげなく整えて、家事に戻っていく。
いずれも妻同様、スカートの裏を濡らした娘と嫁とを公平に指図して、
今夜のお雑煮の用意に、取りかかっていった。
前の記事
美味しすぎる残念賞
次の記事
新妻よりも母?

コメント

あけましておめでとうございます

新年からお話をアップしていただき、ワクワクしながら読ませてもらいました^^
今年も柏木ワールドの飛躍を楽しみにしています🎵


by ゆい
URL
2017-01-02 月 14:01:57
編集
明けましておめでとうございます
寝取られスタートの2017年。
素敵な物語で彩っていただけそうですね。
楽しみにこちらに伺わせていただきます。

今年も宜しくお願い致します。
by 加納祥子
URL
2017-01-02 月 21:00:00
編集
ゆいさん
あけましておめでとうございます。

新年早々、遊びにいらしてくださり、ありがとうございます。
ゆいさんのおかげで?昨年は女装のお話がかなり発展しました。
今年も、ワクワクしていただけるひと刻を持っていただけたら嬉しいです。
(^^)
by 柏木
URL
2017-01-04 水 06:49:31
編集
祥子さん
明けましておめでとうございます。

いつもこういう間抜け落ちな展開におつきあいいただき、ありがとうございます。
(^^;)
今年もどうぞお見限りなく、遊びにいらしてくださいませ。
(^_-)-☆
by 柏木
URL
2017-01-04 水 06:51:15
編集

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/3375-85273725