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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

武家の妻女の密通譚

2017年01月07日(Sat) 07:26:45

千丈(ちじょう)藩の若い家老である屋良瀬平太夫の妻女田鶴女(たづめ)が、使用人の甚助と太兵衛によって犯された。
田鶴女は恥辱のあまり自害を試みたが、夫の平太夫はそれを止めた。
田鶴女は手練れの年配男である両名にたらし込まれてしまい、以後は平太夫の目を盗んで両名を密会に及ぶようになった。
しかしこれは夫平太夫の内意であり、妻女は夫の内意を汲んで心ならずも武家の妻女の貞操を身分卑しき両名の自由にさせたのである。
平太夫は幼時より、両名のものと衆道(しゅどう、男色)の契りを結んでおり、
同じ藩の息女であった田鶴女との祝言の後は、新妻の肉体を両名に譲り渡す密約を交わしていた。
甚助と太兵衛の両名は、平太夫がお城に出仕した後を見はからい、田鶴女を納屋に誘い出すと、ためらう田鶴女から懐剣を奪い狼藉に及んだ。
武家の子女として厳しい訓育を受けた田鶴女であったが、その厳しい束縛を受任し続けてきた反動からか、
その初々しい肢体にあらゆる手練手管をしみ込まされるや、婦女として覚え込んではならない快楽にめざめてしまい、
ついに武家の妻女としての自制心を喪うに至った。
数か月を経ずして田鶴女は、夫の在宅中にも納屋への誘いに従うようになった。
夫が書見をしているすぐ向かいにある納屋で、両名による寵愛を代わる代わる、ないしは同時に受け容れ、婚家である屋良瀬家の家名を辱めた。
平太夫の母は存命であったが、嫁が使用人たちとくり返し冒す不義密通を咎めようとはしなかった。
自身も両名のものに凌辱を受け、これを日常的に受け容れてしまっていたため、嫁の不行儀を責めることができなかったのである。
嫁と姑はしばしば、平太夫の在宅にもかかわらず、自邸の納屋でいっしょに犯された。
甚助と太兵衛は「枕を並べて討ち死にでございますなあ」とからかいつつも、二人の婦女を愛してはばからず、
平太夫もまた、視て視ぬふりをして、身分ちがいの情交を妨げようとはしなかった。
すでに嗣子平之進を得ていたためである。

その後、御一新により武家は零落、屋良瀬家もその例外ではなかった。
しかし、暇を出された甚助と太兵衛はその後もかつての主家に出入りして、一家の糊口を養うに資を貢いだのである。
主家の零落とは反して、詳細を発揮した彼らは十分、裕福になっていたためである。
やがて平太夫は早世、平之進が家を嗣いだ。
とはいえ、すでに屋良瀬家には嗣ぐべき資産もなく、田鶴女は太兵衛に再嫁した。
甚助は妻帯していたが、太兵衛は長く寡夫だったためである。
太兵衛の「太」の一字は、先代の平太夫(早世した平太夫の父)から授かったものだったが、
彼は代々の主君の妻女の貞節を汚し、なおかつ若夫人であった田鶴女さえもその夫の死後にありがたく拝領したという仕儀となった。
太兵衛は田鶴女の夫となったものの、彼女を独占しようとはせず、甚助が田鶴女の肉体を目あてに家に通ってくるのを許した。
もともと両名は若いころより、互いの女房のもとに通い合い、通じ合っていた間柄であった。
御一新後も互いに事業を興した両名は仲の良い朋輩で、裕福になった後もこのように睦まじく暮らしたのである。

平太夫の忘れ形見である平之進は、太兵衛に養われて成長した。
母の田鶴女は太兵衛の家に入ったが、平之進はその後も屋良瀬の姓を捨てず、父のあとを継いだのである。
田鶴女の若いころからの素行からして、平之進の出生についても一応疑われるべきである。
しかし、田鶴女は息子について、「父上に生き写しです」と強弁をくり返していたし、強いて彼女の主張を覆そうと試みるものはなかった。
おそらく彼女の言い分は正しいのである。
平之進は祖母や母の不義密通の濡れ場を見て育ち、その影響は自らが旧主の息女幸姫(さちひめ)を娶った折露顕する。
彼は「親には孝養を尽くすもの、これは当家のしきたりである」と新妻に言い含め、甚助・太兵衛の両名に、初夜の新床を汚すことを許したからである。
花嫁は老いさらばえて節くれだった指でその玉の肌を冒され、
恥辱に歯を食いしばりながらも身分ちがいの一物を代わる代わる受け容れてゆき、忍耐強い婦女であることを自らの行いによって立証する。
卑賎の生れである両名は、ついには殿様の姫君とまで乳繰り合う栄誉に浴し、長く屋良瀬の家と行き来を続けたと伝えられている。


あとがき
しかつめらしい文言を使用してお話を描くと、不思議なエロさが漂いますね。 ^^;
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