FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

法事の手伝い

2017年01月10日(Tue) 06:16:42

「いっしょに行きましょ。法事のお手伝い」
お隣の敏子さんは、そういってひっそりと笑う。
「そうね。ごいっしょしましょ」
声がウキウキと昂るのを抑えることができないのは、ちょっとはしたないかな?と、自分で思う。
洋装のブラックフォーマルのスカートのすそをひるがえして、夫のところに舞い戻ると、私は言った。
「法事のお手伝いに行ってきますね」
「ああ、気をつけて。皆さんによろしくね」
夫はいつものように、優しく穏やかに送り出してくれた。

法事の手伝い――それはこの村では、卑猥な意味が隠されている。
そこに集まるのは、村に棲み着いている吸血鬼たち。
手伝いと称して呼び集められる私たちの役目は、彼らの餌食になることだったから。

「黒のパンスト、お好きみたいね」
二度目の手伝いのとき、連れだって歩いた敏子さんは、そう呟いた。
敏子さんに言われるまでもなく、肌の透ける黒のストッキングに染まったお互いの脚を、私たちはどちらからそうするともなく、見比べ合っていた。
敏子さんの脚は、すらりとしてきれいだった。
「ただ太い。とにかく太い」
そういって卑下する私を、敏子さんはむしろ羨ましがった。
「だけど、いっぱい吸ってもらえるじゃないの」

夫同士が、同じ勤め先。
同じ時期に転勤で、この村に来た。
そして同じ日に、法事の手伝いにかり出されて、
同じ部屋で男たちに取り囲まれて、めいめい違う相手に、首すじを咬まれていった。
その場で姿勢を崩し、ひざ小僧を突いてしまうと、負け。
狭い畳部屋にふたり並べられて、代わる代わるのしかかってくる相手に、犯されてしまった。
お互い、片脚だけ脱がされた黒のストッキングを、ひざ小僧の下までずり降ろされたまま、
脚をばたつかせながら、決して侵入を許してはいけない男の体の一部に、股間をえぐられていった。

「きょうのことは、内証にしておいてやるよ」
男たちは恩着せがましくそういうと、それでも裂けたブラウスや脱ぎ捨てられたストッキングを拾い集めてくれた。
着せてくれるのかと思ったら、めいめい嬉しそうにせしめて、持ち帰られてしまった。
敏子さんにも、私にも、一人ずつ男性がついて、家まで送ってくれた。
乱れ髪に、ジャケットを羽織っただけの、おっぱいまでもがまる見えの上半身。
スカートの下は、みじめなくらいに白く映えた、むき出しのふくらはぎ。
黒革のパンプスに、ノーストッキングのつま先がごつごつと居心地悪く収まっていた。
夫は私の様子を見ると、すべてを察した顔になって。
自分の妻を犯した相手にお礼を言って、私のことを引き取ってくれた。
夫はなにも言わないままに、今度法事の手伝いをいわれてどうしても厭だったら断りなさい、と、言ってくれた。

家族ぐるみで村にとけ込むのが仕事の一環――そう聞かされてきた私にとって、頼まれごとを断るという選択肢は、あり得なかった。
三日後に再び法事の手伝いがあったとき、私は夫には告げずに、出向いていった。
新調した洋装のブラックフォーマルのお金は、私を家まで送ってくれた彼が、持ってくれた。
初めて私に迫り、私を犯した人だった。
私に夫以外の身体を体験する歓びを、教え込んでしまった男だった。

敏子さんとは幸い、ウマが合った。
そのせいか、法事の手伝いのときには、いっしょに組まされることが多かった。
私たちはいつも、同じ部屋に呼びこまれ、男たちに迫られて、血を吸われ、犯されていった。
破られると知っていながら、私たちは真新しい黒のストッキングを脚に通して、出かけていった。
男たちのために馳走するつもりで穿いて行ったのだろう?って、仮に夫に責められても、私はきっと頷き返してしまっただろう。
それくらい・・・男たちの息遣いの渦に巻かれることに、なじんでしまっていた。

乱交の渦の中でも、相性というものはやはりあるらしい。
いつか、敏子さんにも私にも、現れる確率の高い男性がなん人か、できるようになっていた。
そのなかに、私を初めて犯したあの人が含まれていることを、なんとなく居心地よく感じてしまっていて。
そう感じてしまっている自分に気づいて、どきりとすることがよくあった。

ここは夫の生まれ故郷だった。
故郷をきらって都会に出た夫は、不景気のあおりを受けて、結局故郷に頼ることになった。
それで、いまの勤め先に落ち着いたのだ。
だから、私と交わる男たちのなかで、夫と昔から顔なじみだという人は、なん人もいた。
「マサルのとこのお嫁さんだろ?うわさにはきいていたけど、別嬪さんだな。あそこの具合もいいんだって?」
彼らは親しみを込めた口調でさりげなく、それでもしっかりと露骨なことを口にして、
私に一物を咥えさせたり、はしたないことを言わせたりするのだった。
主人のよりも大きいわあ。もっとヤッてえ・・・イカされたいのっ。とか。
みんな顔なじみだから、気安く交わることができる。そんな雰囲気がここにはあった。
まったくのよそ者だった敏子さんさえ、私と同じように仲良くなっていた。
ふたりはお互いに、礼服のスカートの裏地に、複数の男たちからほとばされた粘液を光らせながら、家路についた。

ガマンできなかったのは、息子が私の痴態を見たがることだった。
さいしょのときから、私とは別に寺に呼び出されていて。
敏子さんと並べられて犯されるのを目にした息子は、どうやら病みつきになってしまったらしい。
それ以来、母さんのことが心配だといっては寺に来、私が血を吸われたり侵されたりするのを、半ズボンの股間を抑えながら見守っているという。
夫と同じように、この子もまた、村の人の血が脈打っているのだ。

お寺の本堂の薄暗がりで、折り重なってくる男たちのなかに、義父の姿もあった。
義父は好んで私と逢いたがる男たちのかなに、含まれていた。
さいしょの時も、なん人めかの相手が義父だった。
「うちの嫁だから、順番は遠慮したのだ」
あるとき問い詰めると、義父は悪びれもせず、そう応えたものだった。
けれどもそのじつ、私にご執心だというのは、たぶん私のうぬぼれではないはず。
夫のいない夜、義父は私にお酒の相手をさせて、ついでにベッドの上でのお相手も、強いてくる。
義母は若いころから村の長老に気に入られていて、家を空ける夜が多かった。
だからお前は、わしを親だと思って、孝行しなければならない――そんなしかつめらしい言いぐさを言い訳にしなければならないほど、義父は不器用な男だった。
その不器用さにほだされて、私は親孝行に応じることにした。
どういうわけかそういう晩に限って、夫は夜勤だと言って、家を空けていたから、私たちの逢瀬は気軽に遂げられることが可能だった。
村のしきたりを離れた家のなかという狭い空間で、
義父と私は身体の関係を重ねていった。
義父は必ず、私の中に子種をそそぎ込んでゆく。
もしかするとあいつ(夫)は、俺の子じゃないかもしれないからな――
そんなことはない。あなたたちはそっくりよ。
義父の胸の中での私のつぶやきを、たぶん義父は知らないでいる。

この村では、だれの子をはらむかわからない。
けれども、いちど宿したお子は、大切に育てなければならない。
この村は、子供を愛する土地柄だった。
義父の子ならいい。そう私は思う。
この家の子であることに、変わりはないのだから・・・と。
前の記事
ちょっぴり解説。
次の記事
村に帰る。

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/3385-35e496af