淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
見返り。
2017年01月11日(Wed) 08:06:45
吸血鬼に、妻の血を吸わせることを余儀なくされたとき。
家を訪ねてきた妻の吸血相手は、手土産に現ナマを、携えてきた。
わたしは言った。
「妻に売春をさせる気はない。なにも受け取らないよ」
彼女と同等の見返りなんて、わたしにとってこの世にあるはずがないのだから・・・って。
男は感に堪えたようにわたしを見ると、
「せめて、寝酒だけは受け取ってほしい。苦痛に感じるのなら、少しは気分がまぎれるだろうから」
毒を含んだ甘美な酒は、妻とわたしの頭のなかを、ほんの少しだけすり替えてくれた。
「なによりの見返りだったよ」
妻が初めて襲われて2、3日経って、ふたたび喉をカラカラにして彼がやって来ると、
わたしはそういって彼を快く迎え入れていた。
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