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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

サッちゃんと母親と。

2017年01月24日(Tue) 07:07:45

幸田貴志は公園で、吸血鬼に遭遇した。
走って逃げれば、逃げられなかったわけではない。
その吸血鬼は脚が悪く、貴志の脚力なら、振り切って逃げることができるはずだった。
けれども彼は半ズボンに紺のハイソックスの制服姿を、ベンチから起たせようとはしなかった。
じいっと見つめる目と、目。
相手はゆっくりと、近づいてきた。
逃げないんだね?
男は訊いた。
父親よりもずっと年上の、白髪の男だった。
貴志が逃げなかったのは、男に見覚えがあったからだった。
そしてその時のことが、どうしても気になったからだった。

体育館の倉庫で、サッちゃんの血を吸っていた人だよね?
ああ・・・そうだが。
見られていたんだな、と、男は呟いた。
夢中になって吸っていたからな。不意を打てば、きみは彼女を救えたかもしれなかったぜ。
貴志はかぶりを振った。
でも、サッちゃんは逃げるつもりがなかったみたいだから。
押し倒された少女の顔は、吸血鬼の肩に隠れて見えなかったけれど、
甘いうめき声は、いつものサッちゃんからは想像のつかないものだった。
ただ、立膝をした真っ白のハイソックスのふくらはぎが、ひどく鮮やかに網膜にしみ込んだ。
わざわざそのためにおニューをおろしたらしいハイソックスは、眩しい白さに輝いていたが、
ところどころ血が撥ねて、丁寧に咬まれたらしい痕は、特に毒々しく染まっていた。

だから、わしの愉しみを邪魔しないでいてくれたのだな。
そういうことになっちゃうね。
貴志はちょっと、悔しそうだった。
サッちゃんが好きなんだね?
問いには答えずに、貴史は訊いた。
サッちゃんの血を、吸い尽すつもりなの?
そんなつもりはない。それに彼女はもう、半吸血鬼になっちゃったからな。
え・・・
さすがに貴志の顔色が変わった。
ぢゃが、人の生き血を吸えば、真人間に戻れる。
サッちゃんは、僕の血を吸ってくれるかな・・・
たぶんね。
わしがそう仕向けるさ・・・と、吸血鬼は顔で答えた。
じゃあ、小父さんに吸われても構わないや。
貴志は紺のハイソックスの脚を、黙って吸血鬼のほうに差し伸べる。
サッちゃんが血を吸われるところをいつも覗いていた貴志は、
いつも彼女が学校に履いて行く真っ白なハイソックスを咬ませてしまっているのを知ってしまっていた。
すまないね。
吸血鬼は貴志の足許にかがみ込み、ハイソックスのうえから飢えた唇を吸いつけた。
サッちゃんのハイソックスを破り、素肌を咬んだのと同じ牙が、
自分のハイソックスも咬み破り、鈍い疼痛を滲ませてくるのを、貴志は感じた。

約一時間後。
貴志は蒼ざめた顔をして、家路をたどる。
連れの男はさっきまで吸い取っていた貴志の血を、まだ口許にしたたらせていた。
すれ違っていく通行人たちは、それと気づいていながらも、見て見ぬふりをしてやり過ごしていく。
この街では、吸血鬼たちは存在を認知され、昼日中から堂々と闊歩しているのだった。

息子さんが具合を悪くしていたのでね。お連れしたのですよ。
玄関に出てきた貴志の母親は、来客の正体をひと目で知って、蒼ざめたけれど。
蒼ざめた息子がそれでも穏やかな表情をしているのを見て取って、すぐに決意を固めたらしい。
「どうぞ」とひと言だけ言って、男が敷居をまたぐのを許していた。
吸血鬼は、肌色のストッキングに包まれた貴志の母親の足許から、もの欲しげな視線をはずそうとしなかった。
畳部屋に寝かされた貴志は、わざと開かれたふすまのすき間から、
リビングに押し倒された母親がストッキングを破られながら犯されていくのを、ドキドキしながら見守った。
凌辱される母親の姿を目にしたことでもたらされた昂ぶりが、貴志の血の気をじゅうぶん取り戻していたけれど。
あのとき、白のハイソックスの脚を切なそうに足ずりしながら血を吸われるサッちゃんを助けなかったのと同じように、
母親がストッキングを片方だけ穿いた脚をゆらゆらさせながら腰を振って応じていくのを、複雑な視線を送りながら見つめ続けていた。
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