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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

母娘

2017年02月12日(Sun) 06:48:46

母娘ふたり暮らしの家だった。
先に血を吸われたのは、母親のほうだった。
だいじょうぶ?母さんまで死んじゃ、ヤだよ・・・
母親似の大きな瞳を張りつめて案じる娘に、
死なされるわけじゃないみたいだから、だいじょうぶだよ。
母親は気丈に、そう応えた。

つきあいが深まるにつれ、娘は母親の情夫と顔見知りになった。
母親が男を、家に入れるようになったから。
知ってるよね?
母親は何気なく、娘に訊いた。
知ってるって、なにを・・・?
訝し気に訊き返した娘は、母親の問いの真意をすぐにさとった。
父さんのこと忘れないでくれるなら、いいよ・・・
娘はちょっとだけなにかをこらえるような顔をして、そうこたえた。
吸血鬼が娘のことを襲ったのは、それから数日経った頃だった。

どうなっちゃうのかな。
結婚を控えていた娘は、吸血鬼の求愛を受けて、戸惑っていた。
悪いよね?ゼッタイ、彼に悪いよね?
母親は、娘の恋人が薄々状況を知っていることに、気づいていた。
彼はきっと、娘の過ちで心を変えたりしないだろう――そう確信した彼女はこたえた。
彼氏のことを忘れないでいられるなら、いいんじゃないかな?
背中を押された娘はその晩、花婿ならぬ身に、愛し抜かれていった。

難しいんだね。
娘の問いに、母親はなにが?と促した。
父さんのこと忘れないでいても、できちゃうんだね。
言いたいことを知り抜いていた母親は、そっと答えた。
じきに慣れるわよ。
そっか。
娘は食べかけたパンにもうひと塗り、甘いジャムを塗りつけていった。
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