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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

父親の独り言。 ~小悪魔 後日譚~

2017年02月12日(Sun) 07:00:58

先日あっぷした、コチラのお話の後日譚です。
「小悪魔」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3395.html

この街に移り住んで、まだ半月足らず。
そのあいだに妻と息子は、街に棲み着く吸血鬼の手にかかって堕落させられ、その身をめぐる血液を、彼らの好餌にされていた。
わたしが大けがをしたと偽って連れ出され、その道すがら。
妻は男に、息子はその彼の娘の牙にかかって、血を啜り取られてしまったのだ。
大けがをしたのはわたしではなくて、妻と息子のほうだった。
もとより、咬まれた傷はさほどのものではない。
けれども、そのささやかな傷口からそそぎ込まれた毒液は、
彼らの理性を痺れさせて血潮を淫らな色に変え、
ふたりを淪落の蟻地獄へと、引きずり込んでいったのだった。

「あなたの奥さん、うちのパパと浮気しているみたい」
オフィスに訪ねてきたその少女は、白い目でわたしを見、唐突にそんなことを呟いていた。
長い長い黒髪の間に、一見素直そうな、大きな黒い瞳。
上品で齢以上に大人びた紺のワンピースに、白のハイソックス。
お行儀よくきちんと折り返したハイソックスの脛をきちんとそろえ、つぶらな瞳でわたしを見ていたが、
その視線は冷たく、なにかを見通そうとしているようだった。
「おじさん、うちのパパに血をあげてくれませんか」
「何を言っているんだきみは?わけのわからないことを言わずに家に帰りなさい」

いちどはそういって、峻拒してみたものの。
すでに妻も息子も奴隷になってしまったのは、白昼こっそりと帰宅したときに、たっぷり見せつけられてしまっていた。
妻はよそ行きのスーツにわざわざ着替えて、ブラウスを引き裂かれ、おっぱいをまる見えにさせながら、ひたすら首すじを吸われていたし、
息子はおどおどと、少女の言うなりになって、紺のハイソックスのふくらはぎを、じわじわと冒されてゆく。
少女だけがわたしの気配を察して、察しながらも気づかないふりをして、
そして、気づかないふりをしてあげているのよと言いたげに、ご丁寧になん度もこちらをチラチラ盗み見ながら、
息子の履いているハイソックスを、容赦なく咬み破っていったのだった。
父親のほうは、こちらのことなど眼中になく、肌色のストッキングを穿いた妻の脚に夢中になっていて、
ストッキングがしわくちゃになるほど、べろをねぶりつけさせたあげく、ブチブチと咬み破っていって、
喘ぐ妻はすっかり言いなりにされてしまっていて、ベッドのうえにあお向けに転がされると、
ストッキングを自分から片方脱いで、スカートの奥に秘めた股間を、男の侵入にゆだねていった。

「小父さんも、持っているでしょ?ストッキングみたいに薄い、紳士ものの長靴下。
あれを穿いて、パパに破らせてあげてほしいの」
ふたたび現れた少女は、やはり無表情の白い目でこちらのことを睨(ね)めあげてきて。
「降参のしるし」
そういって、クスリと笑う。
「でもね、悦んで。うちのクラスの転校生のママは、みんなパパの餌食になったけど。
あのひとがあんなに熱心につづいているの、奥さんだけだよ」
ほかの人妻たちはみんな、仲間の禿げ親父どもに分け与えちゃった・・・
黒髪の少女は、自分の母親くらいの女性たちの運命を、こともなげにそう片づけたのだ。

週に、3,4回くらいかな。
奥さんのこと、連れ歩いているの。
いつもエッチってわけじゃ、ないみたい。
大人のつきあいのことだから、詳しいことはわかんないけど。
でもね。ずうっといっしょにいるあいだ、お話ばかりしていることもあるんだって。
だんなの顔をつぶしちゃいけない。お宅の家の名誉と秘密は必ず守るって、あのひとにしては態度が殊勝なんだよね。

あくまで上から目線の少女の言いぐさは、自分の父親のことさえ「あのひと」と突き放しながらも、
そんな「あのひと」が妻にかなり真剣なことまで、淡々と伝えてきたのだった。
「降参のしるし、穿いてきてくれる?」
少女はとどめを刺すようにそういうと、黒い瞳でじいっとこちらを見返してきた。


じわり。
わたしのふくらはぎに、男の唇が吸いついたとき。
薄いナイロン生地のうえから感じる唇の熱っぽさに、どきりとした。
このひとはほんとうに、妻に執心なのだと、しんそこ実感した。
這わされた唇は容易に離されることはなく、すぐに咬もうとはしないでゆっくりと、わたしの足許をくまなく這いまわった。
ヒルのように貪欲で、妖しい唇だった。
この唇が、妻の唇を奪ったのか。
この唇が、妻の柔肌を這ったのか。
あらぬ想像が胸の奥を駆けめぐり、わたしの体内をめぐる血潮をまがまがしく染めた。
そんな想いを吸い取った血潮から感じ取ったらしい。
いつの間にか咬みついていた男は顔をあげ、わたしの顔を覗き込む。
「恥じることはありません。貴男は善い行いをなさっている」
わたしが虚ろに肯くと、男はそのままわたしの首すじに咬みついた。
ちゅうっ。
吸いあげられる血潮が、支配するされるものの体内から引き抜かれ、支配するものの喉の奥へと収められてゆく。
この牙が、息子の首すじを噛んだのか。
この牙が、息子の理性まで狂わせたのか。
吸血行為は、共同作業なのだ。セックスと同じくらいの意味で。
目ざめてしまった快感に耐えながら。
わたしはシーツがくしゃくしゃになるほど握りしめ、男の吸血にあえいでいた。
「私の胃の腑には、奥さまやご令息の血潮も満ちているんです。
家族三人仲良く、成仏なさってくださいね」
成仏という言葉はどうやら、堕落という言葉と同義語らしいと自覚しながら。
わたしは小声で「お願いします」と、呟いていた。
男がもういちど、わたしの足許にかがみ込んで。
薄地の長靴下を、思うさま咬み破ったとき。
身体の芯を突き抜けるような開放感が突き抜けて、自分が堕落したことを受け容れていた。
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