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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

主婦の日常

2017年02月25日(Sat) 07:48:18

もう、女引退かと思っていたころなのに。
そんな私のことを”女”として遇してくれたのは、主人のお友だちの吸血鬼だった。
とっくに咬まれていた主人にいわれるまま、”進呈”されてしまった私――
セックス経験のあるご婦人を襲うとき、抱かれちゃうということまでは、主人もその時初めて知ったみたい。
んん~~・・・むむっ。
貧血で尻もちをついたままのかっこうで。
心臓の発作でも起こしたのかしら?って心配になるくらい青筋立てて、
それでもスカートの奥をまさぐられてしまっている私のことから目を離せなくなって、
とうとうしまいまで、まんまと見せつけられちゃっていた。

それ以来。
うう~ん。むむっ。
でも相手があいつだったら、まぁ仕方がないか・・・って。
浮気つきの献血訪問は、夫婦のあいだでのお約束になってしまっている。

こんなんで、良いかしら?
玄関に入ってすぐ、よそ行きに装った足許を、靴も脱がずに見せてあげる。
ああ、嬉しいね。あがんなさい。
そういわれて初めて、敷居をまたぐことを許される。
たまに・・・靴の感じが良いからと、庭先に連れていかれて咬まれたことがあるから。
あのときは。
新調したスーツのジャケットの、背中じゅうに枯れ葉がくっついて。
帰りの身づくろいが、たいへんだった。

きょうみたいに、すんなりと家にあげてもらうと。
すぐには咬みついたりせずに、お紅茶タイム。
私が紅茶好きだということは、主人に逆に教えてあげたみたい。
好みの銘柄までちゃんと抑えてくれていて、
私はしばらくのあいだ、素敵な老紳士と知的な会話のティー・タイムを愉しむ特権を与えられる。

ではそろそろ・・・と言い出すタイミングも、このごろはなんとなくだけど、わかってきた。
私はソファから起ちあがり、楚々とした足取りで、隣の日本間に向かう。
最近はいつも、彼の好みに合わせて、ストッキングは黒を穿くようになった。
肌の透けるような、なまめかしい薄い黒――
いやらしいですよね?って、念を押してあげたら。
くすぐったそうにクスッと笑い返してきたっけ。悪いひと。

いちど、法事の帰りに喪服のまま立ち寄ってみたら、すごいことになってしまった。
そのまま夜通しになっちゃって。さすがに心配した主人が迎えに来てくれて。
主人まで血を吸われて、目を回して寝そべってしまった隣で、獣のようにむさぼられてしまった。
かわいそうに、主人はかた無し――でも、自業自得よ。あのひとに私のことを襲わせて、血を吸わせちゃったのはあなただから。

日本間にうつ伏せになろうとしたら。
後ろからとつぜん、羽交い絞めにされていた。
いつの間にそんなものを用意したのか?手にしているのは荒縄だった。
慣れた手つきでするすると、私の身体に回していくと。
小鳥を罠にかけるように、ギュウウッ・・・とつよく、縛り上げられてしまった。
やだ・・・こんな趣味持ってるの?
思わず蓮っ葉な言葉遣いになって、お里が知れてしまった私のことを。
舌なめずりをしながら、眺めまわして。
ウヒヒヒヒッ・・・と、下卑た笑いを口許に含ませて、彼もまたお里の知れる行為に耽りはじめる。

薄い墨色のストッキングを通して。
ぬるぬる・・・ぬるぬると。ねばりつけられる唇と、舌。
私はひたすら、「やめて・・・よして・・・」と、くり返す。
やめてくれるわけなど、むろんない。
私自身、そんなことなど期待してない。
嫌がる女を征服したがる私の愛人のための、リップ・サービスに過ぎないのだ。
いちど主人が同席しているときに、私が「やめて、イヤよ」をくり返したとき。
「妻がいやがっている」と、間に入ってくれたけど。
あれはほんとうに、見当違い。
彼は主人に遠慮して、私を放してくれたけど――
そのあとおわびにこっそりと、主人に黙って彼を家に引き入れて。
ぐるぐる巻きにされた主人のまえ、たっぷり留飲を下げさせてあげたこともあったっけ。
「空気読めなかった罰ですからね」
そう宣告する私を前に、主人は小さくなって、
「降参、降参ですよ・・・」と、情けない声を洩らしながら、
やっぱりさいごまで、目を放さずに。
永年連れ添った妻の情事を、見届けてしまっていた。

ふくらはぎにチクリ、と、牙を突き立てられるとき。
私はえもいわれない解放感を味わう。
ブチブチとかすかな音をたてて、縦に裂け目が走るとき。
足許の薄地のナイロン生地の束縛感がほぐれてゆくのが、むしょうに小気味よかったりするから。
女って、どうしてストッキングなんか穿かなければならないのだろう?
まだ若いころ。
それが、知的な職業婦人のシンボルだったころでさえ、
反骨精神豊かな(単にお転婆なだけだった?)私は、そんなふうに抗議していた。
吸血鬼の奴隷に、すすんで堕ちたいまでは、そんなにまで忌避したストッキングを好んで穿いて、
憎ったらしい愛人のため、見せびらかして愉しませている。
主人も案外、私がストッキング姿を辱められる光景を、愉しんじゃっているみたい。

脚と首すじとに咬みついて。
五十女の生き血をしたたかに吸い取ったこの男は。
いつも目の色をかえて、私に迫る。
「主人が・・・」
「いけません・・・ッ」
たしなめたり叱りつけたりする私のことを、腕づくで抑えつけ、果たしてしまうのが。
彼はとっても、好みらしい。
その昔。
吸血鬼になってすぐのころ、さいしょに血を吸ったのが、しつけに厳しかったお母様だったのが。
このひとの好みを決めたに、違いない。
だから私は、本音も交えて、叱ってやる。罵ってやる。
ちゃんとしたレディを、面白半分に辱めるものじゃないわ!って。

2~3時間は、楽に過ぎる。
主人が家で待ちわびていても。
私は主人に気を使って早く帰ろうとは思わない。
どうしても私のことが心配になったら、そのうちに。
主人のほうから、やって来て。
あの、法事帰りの夜帰れなくなった時みたいに、
見せつけられる愉しみに、目ざめていくに違いないから。
迎えに来た主人が、付き添ってくれるか。
彼が車で送ってくれるか。
どちらにしても、私がひとりで家路をたどることはない。
夫か間男か。
かならず、どちらかのエスコートつき。
車に乗らない主人が迎えに来てくれるときは、
私は裂けたストッキングをはき替えないで、夫と歩く。
この男の女房は吸血鬼に寝取られたのよ・・・って、すれ違うひとに言いふらすため。

人を好きになると、むしょうにものをあげたくなるらしい。
主人が私をあのひとにプレゼントしたみたいに。
私は結婚前の娘と、息子の嫁までプレゼントした。
処女の生き血をあげられるのは、娘だけだったし、
息子にはちょっと、気の毒だったけど、
新婚妻の生き血は、あのひとも十二分に、たんのうしたみたい。
いまでは嫁姑仲良く連れだって、犯される順番をくじ引きして、
後釜になるほうは、先客の済むのを別室で待ち遠しく待って。
先客になるほうは、後釜の済むのを別室であくびをこらえながら待って。
お義母さま、長いんですね。
京子さんも、しつこかったようね。
お互いあけすけな悪口を言い合って、
それぞれの夫の迎えを待って、スッキリした気分で、家に帰る。

大企業に勤めてストレスたっぷりの日常を過ごす息子は、
妻と妹、それに母親までも吸血鬼に寝取られているという、情けない立場のはずなのに。
なぜかそういう立場にいることを、内心悦んでいるようだ。
父子ともども、ヘンタイだ。
親子二代だねって苦笑するヘンな父子は、それでも自分の妻に寛大で。
その寛大な夫を持ったために、私たちは堕ちて、そして愉しんでいる。
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ブログ拍手♪ 10年以上前の記事にいただきました☆
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お見合い相手。

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