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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~「ぼくたちは、彼らのロマンスの受け皿なんです。」吸血鬼と交渉を持つ少女を花嫁に迎える夫たち

2017年03月21日(Tue) 00:53:19

成村ちさよさん(29、仮名)は、中学二年のときに吸血鬼との初体験をして以来、十数年にわたって交際をつづけた。
処女を捧げたのは高校の卒業式前夜、「卒業祝い」と称してセーラー服のまま抱かれたという。
以来十年以上の関係になる吸血鬼とは、一生を誓い合った関係だったが、彼はほかの女性からの採血行為もしており、すれ違いが続くのも事実。
やはり結婚相手は人間から選ぶとお互いに決めて、白羽の矢が立ったのが、高瀬元晴さん(27、仮名)だった。
おくての元晴さんは、新婚当時から花嫁が処女ではなかったことに気づかなかったという。
不審を感じたのは、ちさよさんの勤め帰りがいつも遅いことと、朝の出勤の時とストッキングの色が違うときが多いことだった。
「よく破けちゃうのよ」と笑って打ち消したちさよさんだったが、やがて勤め帰りの公園で彼氏と逢引きを重ねているところを夫に目撃されてしまう。
「びっくりしましたね。街灯がこうこうと照っている真下なのに、男にのしかかられた妻がスーツのすそを乱して脚を開いているんですから。でも、その場で事を荒立てることができなくて、妻には声をかけずにその場を立ち去りました」
ちさよさんが帰宅したのは、それから1時間も後のことだったという。
「その1時間、どんなことをしていたのか?って、想像が頭のなかをかけめぐってしまいましてね」
その夜の夫婦の営みは、別人のように長かったんです――元晴さんは恥ずかしそうに苦笑しつつそう告白する。
「さすがにびっくりしました。でも、裏切られたという思いは、意外なくらいありませんでした」と語る元晴さん。
じつはちさよさんの処女を勝ち得た吸血鬼は元晴さんが兄と慕う男性だったからだという。
「兄貴にとってもちさよは大切な人、そのちさよの夫が私で良いのか?って逆に感じてしまいましたね。それで、二人きりで逢ったんです」
そこで「兄貴」は初めて元晴さんの血も吸い、二人の関係は「とても親密になった」という。

嫁の「乱行」をもっとも糺すべき立場にあるはずの元晴さんの母親もまた、吸血鬼を恋人に持つ人妻の一人。
「父も、母が愛人の吸血鬼とデートに出かけるのを、おだやかに送り出しています」という元晴さんは、「そういう家庭環境は、妻と兄貴との関係を受け容れる素地になった」という。
少女の純潔を勝ち得たあと、その嫁ぎ先にまで心を配る吸血鬼。その想いを大切にしようとする少女とその夫たち――
その裏には吸血鬼が複数の人間を吸血の対象にしなければならないという事情が横たわる。
愛する女性の健康に留意して、相手を増やそうとする吸血鬼。
パートナーの配慮に感謝しながらも、別の女性と逢瀬を遂げている彼のことを想う孤独な刻をしのばざるを得ない女性たち。
そうした気遣いの重なり合いが、彼女たちに人間の伴侶を選ぶという結論を与えたのだ。
吸血された彼女たちを花嫁に迎える夫たちもまた、吸血鬼と日常を共にする両親や兄や兄嫁、姉たちを見て育つという家庭環境で成長してきた人々。
「私が受け皿になることができてよかったです」
きょうもちさよさんは彼と逢っている――そう語る元晴さんの顔に、曇りはない。

未来の花嫁が、嫁入り前に吸血鬼に襲われること、処女を奪われること、その後も関係を結ばれてしまうこと。
そうしたことに夫である自分自身が甘んじること。
吸血鬼と共存する家庭環境に育った夫たちが禁断の関係の受け皿になることで、周囲のだれもが納得を得ている一例といえるだろうか。


追記
記者は三か月後、結婚を来年に控えた婚約者を伴い街を再訪した。
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