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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

気丈な姑 1

2017年04月11日(Tue) 07:30:22

息子の嫁の浮気相手に、妻は文句を言いにでかけていった。
それが、真人間だった妻を視た最後になった。
嫁の情夫は、吸血鬼だったから。

不幸中の幸い、相手の吸血鬼は人情味のあるやつだった。
いきなり奥さんが無言で帰宅したりしたらこたえるだろうからと、
ちょっとした貧血程度になるまでで我慢してくれた。

帰宅してきた妻は、ちょっときまり悪そうで、
その日一日は黙りこくっていたし、
妻のご機嫌がうるわしくないと感じ取ったわたしも、彼女との接触をなるべく避けていたのだった。
きまり悪かった理由は、あとでわかった。
セックス経験のあるご婦人を相手に選ぶとき、吸血鬼は例外なく性的関係を結んでいくという。

それ以来。
妻はなん度も、出かけていった。
「また美那子さんと逢っているらしいの。私説教してくるわ」
そういうときの妻はいつになくウキウキとしていて、
よそ行きの服で若作りをして、それどころか前日にはふだん行かない理容室で髪をセットまでして、出かけてゆくのだった。

「父さんは行かないの?僕は美那子のときにはいつも、お邪魔しているんだよ」
嫁の浮気の現場をのぞき見する愉しみを、くったくなく語る息子。
そういう息子の首すじには、嫁がつけられたのと同じ咬み痕が、どす黒い痣になって、くっきりと浮いていた。
そしてわたしの首すじにも、いつか同じサイズの咬み痕が、どす黒い痣になって、くっきりと浮いているのだった。

たしか数日前――「あなたも叱ってあげてくださいな」。そういって妻が連れてきた、嫁の浮気相手。
彼と酌み交わした酒はいつか意識を迷わせて、いつの間にか正体を告白されていて、
わたしは彼の正体を理解をもって接し、献血にも応じてやって、
妻がすっかり慣れっこになっていた献血をわたしのまえでするのさえ、咎めもせずに見守っていて、
吸血鬼がセックス経験のあるご婦人に対していかに振る舞うものなのかまで、いちぶしじゅうを見せつけられてしまっていた。

「きょうも叱ってあげてくださいな」
先日と同じように、妻が連れてきた吸血鬼。
わたしの血を先に吸って酔い酔いにしてしまうと、
おもむろに妻に迫って、首すじを咬んでゆく。
日ごろ几帳面だった妻なのに。
花柄のロングスカートをしどけなくたくし上げられ、太ももを咬まれ、穿いていたストッキングまで破かれてしまうのを。
「いやだわ、やらしいわ」とか言いながら、
自分よりも年上の男の痴戯を、面白そうに見おろしつづけていた。
彼の帰り際、「また来てね」と、妻は小手をかざしてバイバイをした。

「また来てね」「またいらしてね」「また咬んでね」
「また、主人のまえで抱いて頂戴ね」――
妻の要求はエスカレートしていったが、彼は妻の要望に、律儀に応えつづけていった。
そしてわたしも、とがめだてひとつせず、嫁の不倫相手に犯されてゆく妻の痴態を、ただの男として愉しみはじめてしまっていた。
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