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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

わたしはおかま。

2017年04月20日(Thu) 05:35:28

わたしはおかま。
女の人が穿くストッキングが大好きで、
それがきっかけで、こんなふうになった。
わたしはおかま。
醜いおかま。
分は心得ているから、お出かけするのはいつも真夜中。
こんなふうだから、結婚もあきらめて、もう四十過ぎになるけれど、決して後悔してない。
真夜中に出歩くわたしは、もうひとりのわたし。
女の姿をしているわたしと、ほんとうのわたしは、寄り添うようにして、
ふたりきりの真夜中のデートを愉しんでいる。

そんなわたしの目の前に、黒い影が立ちはだかった。
ビクッとしたわたし。
逃げようとするわたし。
でも、おぼつかない足取りを強いるハイヒールは、わたしの動きを封じていた。
うしろから抱きすくめられて首すじを咬まれたとき、相手の正体をやっと察した。
そういえばこの街では、夜は吸血鬼が出没するのだと、薄ぼんやりと思い出していた。
その夜のわたしのお相手は、わたしの血をたいそう美味しそうに、チューチュー音をたてて吸い取っていった。

目まいを起こしてわたしがその場にうずくまると、
男はそれでもしばらくの間、わたしの血を美味しそうにチュウチュウとやって、
それからおもむろに、わたしのスカートをたくし上げ、太ももにまで咬みついてくる。
わたしは思わず、願っていた。
やめて。やめて。このストッキング高いのよ・・・
男の唇が容赦なく、わたしの足許に吸いつけられる。
這わされた舌が、それはしつっこく、わたしの足許をねぶり抜いて、
それからおもむろに、囁いてきた。
あんたの穿いてるストッキング、いい舌触りだな。

もう少し舐めさせてくれという男の願いに、わたしは無言でコクリと肯いていた。
貧血でけだるくなったというのも、もちろんあったけど、
かたちは違っても、男がわたしの足許に魅せられていると、わたしのなかの女心が囁いたから。
そして近場のベンチに腰かけて、貧血にあえぐ上背を、背もたれにしなだれかけながら、
男の求めるまま、薄々のストッキングを穿いたふくらはぎを、好きなように吸わせてしまっていた。

ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・くちゃ・・・くちゃ・・・
情けない音にしどろもどろになりながら、男がむしょうにわたしの脚を咬みたがっているのが伝わってきて、
どうしても咬みたいの?って訊いていた。
薄いナイロン生地越しにしつように這わされてくる相手の舌先から、わたしが抱えているのと同じコアな欲求を感じたから。
男は恥も外聞もなく、せわしない舌づかいで応えてきた。
でも、やっぱりストッキングを破かれるのは気が進まなくて、わたしは切り札を使うことにした。
男だって、気づいてる・・・?
おそるおそるの問いかけに、男はいった。
あんたが女のかっこうをしている限り、俺にとってはレディだから。
それ・・・わたしがいちばん聞きたかった言葉。
じゃあいいわ、咬ませてあげる。
わたしの唇は、しぜんに動いていた。

クフフ・・・ククク・・・
含み笑いの下、わたしの穿いているストッキングがむざんに破かれていくのを見おろしながら。
わたしは思わず、呟いている。

いやらしい。

すまないね。
男はそういいながらも、ストッキングを咬み破る行為に熱中しつづけて、
わたしはただ、本物の女のように恥じらいながら、男の行為を許しつづけた。

それ以来。
わたしの夜道歩きは、頻度を増した。
三日にいちどくらいにするんだよ。
男の言いぐさにもかかわらず、毎晩のように、真新しいストッキングを脚に通して、
男の欲求に応えつづけた。
血を吸われるのも、ストッキングを咬み破かれるのも、さいしょは気が進まなかったけれど、
尽くしたい一心の女心が、わたしの心のなかを塗り替えていった。
男は毎晩尽そうとするわたしのことを気遣って、血を吸う量を加減してくれた。
わたしは男の気遣いに応えるために、毎晩真新しいストッキングを穿きつづけた。
穿き古しでもかまわないのだぞ。
男はそういって気遣ってくれたけど。
女の心意気ですからね・・・と囁き返すと、嬉し気にニマリと笑って、なめらかなナイロン生地の舌触りを愉しみつづけた。
せっかく穿いてきたんですもの。気の済むように愉しんでくださいね。
わたしたちはいつか、心を通わせ合っていた。
化粧が上手になり、しぐさも女らしくなって、
気づいたときにはもう――夜だけは完璧なレディに生まれ変わっていた。

わたしはおかま。
醜かったおかま。
それがいまでは、昼間街を歩けば人も振り返るほどの、魅惑的なレディになっている。
血を吸わせ、コアな欲求に応えつづけたお礼にと、吸血鬼がわたしにかけてくれた魔法。
わたしは今夜も、最高の装いで、彼をもてなすために出かけてゆく。
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街の意識調査
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コメント

久しぶりにコメントです。

自分がそうだから、こんなお話がぐぐっときますね。

吸血鬼が掛けてくれた魔法、羨ましい。素敵なレディにしてくれるのなら、私も毎日喜んで献血しちゃうんだけどなー^^

by ゆい
URL
2017-04-20 木 07:05:39
編集
ゆいさん

お久しぶりです。^^
ストッキングを破りたいという吸血鬼のコアな欲望をかなえてあげた女装子さんが、お礼に魅惑的なレディにしてもらえたというお話。
気に入って頂けて嬉しいです。
同じストッキングフェチ同士なので理解しあえたという、幸せな出会いだと思います。

ゆいさんにも、幸せな出会いがありますように♪
by 柏木
URL
2017-04-20 木 07:34:47
編集

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