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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

スカートマニア  ~「それ、結婚記念日に買ったものなんだけど・・・」~

2017年05月08日(Mon) 07:12:37

妻の彼氏は、スカートマニア。
もともとわたしの親友で、ふとした行きがかりから、わたしの妻まで仲良くなった。
必要以上の仲の良さでも、なぜかとやかく言う気にならなかった。
妻との男女の仲がお盛んになったあとも。
男同士の関係が壊れることはなかったのだ。
人はそれを、「ヘンな関係」というけれど――

スカートマニア歴の長い彼。
けっきょくスカートと結婚しているようなもので、現実の結婚はまだしていない。
「俺は一人の女の枠にははまらない」というのは虚勢にしても、
どこをどうやってこんなに人妻を口説けるのか・・・というくらい、
わたしの周囲は彼の「被害者」で、満ちあふれている。

ふつう、友だちの妻には手を出さないよな?
わたしたちのそんな咎めもどこ吹く風で。
仲間うちの奥さん連中は、そのほとんどが、彼の支配を受け容れてしまっている。
その秘訣を妻に問いただしてみたら、「なに訊いてるのよ」と怪訝な顔をしながらも、
「エッチが上手で、親切ね。あと、いろいろわきまえてくれてるし」
と、簡潔なこたえが、かえってきた。
たしかにわたしには、真似できそうにない・・・
相手の都合のわるいときに無理強いをしないというけれど、それはスペアをたくさん抱えているからだろう
――といっても、それは負け犬の遠吠えにしかならない。

もっとも、わきまえているときにはわきまえているけれど、
わきまえていないときには、それはどうかということも、してくれちゃっている。
親類の法事のかえり道。
わたしたち夫婦をわざわざ待ち伏せて、妻だけをお持ち帰りされてしまったことも、あったっけ。
喪服のスカートの下に映える黒のストッキングがたまらなかったのだと、罰当たりな言い訳をあとからされたものだけど。
抜け目のない妻は、ハンドバックの中に履き替えをちゃんと用意していて、
お誘いを受けた何時間かあと、何事もなかったかのように、しれっとご帰還あそばしたのだった。

さて、前置きが長くなった。
「どうぞどうぞ」と家のなかに通されたのは、いつ以来のことだろう?
「たまには遊びに来いよ」といわれて、そういえば家にお邪魔するのは、いつ以来だろう?と思ったくらい?
妻のほうがよっぽどまめに、ここにはお邪魔しているはずだった。
「これ視て御覧」
来た来た・・・やっぱり、コレクション自慢か。

開け放たれたクローゼットのなかには、吊られたスカートたちが所狭しと居並んでいる。
「たまに取り出して、一着一着眺めるんだ。持ち主をモノにしたときのこととか思い出してね」
勝手なことを抜かしながら、一着一着手に取って、丁寧に折りたたんではたんすの引き出しに収めていって、
入れ代わりにたんすの引き出しの中から取り出した別のやつを、クローゼットの中に吊るしていく。
「時々選手交代するのさ」
と言いながら、彼は、クローゼットの中から取り出したスカートのうちのひとつを、これ見よがしに見せびらかした。
どうも見覚えのあるような・・・と、思ったら。
それは、妻のスカートだった。
わたしはちょっぴり気まずそうに、彼に打ち明けた。
「それ、結婚記念日に買ったものなんだけど・・・」

さすがにちょっとびっくりしたように、彼はスカートと自分との距離をとって、もういちど自分のコレクションを眺めた。
「お目が高いねー、ひと目惚れだったんだ。これ」
同好者に対するような称賛に、わたしのほうが気恥ずかしくなる。
齢に似ずに、真っ赤なスカート。妻は恥ずかしがっていたけれど、
「似合うから」といって、レストランのお食事の時には履いてもらったものだった。
「悪いけど、ゲットしたからね。奥さんのこと怒るなよ」
怒らないよ・・・というよりも、むしろあきれた二人の関係。
まあ、相手がお前だから、信用しているけどな。
そう。
ずっと仲良くしてきて、何もかもわかり過ぎている関係だったから。
得体のしれない悪い虫がつくよりは・・・と、二人の関係を認めてしまっているのだった。
「奥さんの名誉は俺が守る」と、彼はたいそうなことを言うけれど。
大丈夫――それ以前にきみは、わたしの名誉を汚している。

クローゼットとたんすの引き出しとの選手交代をしながらのご披露会のはずなのに。
妻のスカートだけは、クローゼットに逆戻り。
それだけではない。
よく見ると。
クローゼットのなかには見覚えのあるスカートが、いくつもぶら提げられているではないか。
「逢うたんびに、もらってきちゃうんだ」
悪びれもせずにいう彼に、いまさらとがめだてする気にもならないで。
「これじゃあ、いくら稼いでも追いつかないよ」
とこぼすわたし。
「でも、きみの奥さんからゲットしたのは、どれも一軍なんだぜ」
どうやらクローゼットの顔ぶれは、「一軍」という扱いらしかった。
「俺好みのスカートが多いんだよね」
そう。彼のコレクションにされたスカートたちは、そのほとんどがわたしが見立てたものだった。

「こんどから、妻にプレゼントするときには、きみの意見も聞こうかな」
冗談ごかしにそういうと、彼はそれを真に受けて、「いつでも乗るから」と身を乗り出した。
あんたが乗るのは、ひとの女房の身体のうえだろう?と下品な返しをかろうじて呑み込んだ。

一週間たったある日のこと。
「出かけてくるわね~」
よそ行きの服に着替えた妻が、ウキウキとした声をわたしに投げた。
「ああ、行ってらっしゃい――あいつによろしく」
妻の服装を見れば、行き先はどこだかよくわかるようになってから、もうどれくらい経つのだろう?
ふと見ると。
妻があの、真っ赤なスカートを穿いていた。
「やっぱ派手かなあ」
という妻に。
「そんなことない。よく似合うよ」
と相槌を打って。そのあと言い出さずにはいられなかった。
「そのスカート、あいつにやったんじゃなかったのか?」
「アラ、よくご存じね」
と、こともなげに問いを交わした妻はそれでも、
「返してくれたの。俺と逢うとき穿いてほしいって言われて」
と、教えてくれた。

あのひと、あなたのセンスに感心してたわ。
あたしのスカート、けっこう選んでくれてるものね。
それがことごとく、彼のツボにはまるらしいの。
あなたたち本当は、ウマが合うのね?
ねえ、きょうはあなたも来ない?
きょうのあたしは、ゴキゲンだから。
気に入りのスカートをめくられるところ、覗かせてあげてもいいわよ。


あとがき
奥さんが浮気の時に穿いて行くスカートを、夫が情夫といっしょに選ぶ――――なんて。
不道徳すぎますよね?^^
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このところ。(作者の独り言)
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気丈な姑 7

コメント

真っ赤なスカート、良いですね。
赤が好きとか赤系の服が似合う似合うオンナって、あっけらかんとしてて、すべてをさらけ出せるような人なんじゃないかなって思います。

紺とか黒を着るのがほとんどですが、私も赤い服やスカートを穿いてみたくなりました。
by ゆい
URL
2017-05-13 土 08:20:27
編集
真っ赤なスカート
きっとご婦人たちのあいだでも、ハードルの高い憧れの服なのでしょうね。
穿くには派手すぎるけど、時には穿いてみたい。
そんな想いを感じます。

シックで落ち着いた服装は無難ですし、堅実な人柄を演出しますけれど、
ときにはこういう装いで気分を変えるのもよろしいのではないでしょうか。
どんな淑女も、心ひそかに娼婦に憧れる。
そんな瞬間があってもよろしいように感じます。
by 柏木
URL
2017-05-13 土 10:50:27
編集

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