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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ある食物連鎖の風景

2017年05月15日(Mon) 07:34:30

学校から戻ると僕は、制服の半ズボンのまま、ハイソックスだけを履き替えて、小父さんの待つ公園に出かけていった。
小父さんは、ちょっとうらぶれた感じのする、サラリーマン。
ぼくの血を吸うために、仕事も早引けをしてくるらしかった。
きょうも小父さんは、ちょっとくたびれたような顔つきの下、同じくらいくたびれたようなネクタイを提げていた。
「ほら、履いてきてやったぜ。小父さんの好きなハイソックス」
僕はいつものように口を尖らせて、ぶっきら棒にそういった。
「どうせ吸うなら、自分の奥さんの血とか吸えばいいじゃん」
毒づく僕に、小父さんはぽつりといった。
「家内はぼくの血を吸った吸血鬼専属になっちゃったんだよ」
ええ~?
それって、まじかわいそうじゃん。
離婚しちゃったの?と訊く僕に、だいじょうぶ、離婚はしてないし夫婦仲もよくなってるから、と小父さんはこたえ、
そのうえで、でも喉をうるおすのはほかでしてくれって言われている、と、教えてくれた。
「ふーん、かわいそうなんだね」
僕の足許にかがみ込んで、ハイソックスをよだれで濡らすのを、僕はいつもより少しだけ長いこと、ガマンしてあげていた。

ハイソックスがずり落ちるまでしつっこく咬み破られながら、僕はふと思いついて、小父さんに提案した。
「今度、姉さんの制服着てきてやろうか?姉さん〇〇学園だから、学校指定のハイソックスを履いて通ってるんだ。
 それもいっしょに、くすねてきてやるから」
小父さんは僕と出会って初めて、活き活きと目を輝かせた。

初めての女装はぎこちなかったけれど。
公園で落ち合ってから別れるまで、さいしょからさいごまで、小父さんは僕のことを女子高生として扱ってくれた。
不思議な満足感を覚えた僕は、時々着てきてやるからって、約束してしまっていた。

制服を黙って借りていることは、姉さんにすぐにばれてしまった。
けれども姉さんは、もうじき卒業だしいいわよって、言ってくれた。
むしろ弟が自分の制服で女装して吸血鬼と逢っているというのが、面白くてならないようだった。

制服のスカートからにょっきり伸びた脚を大の字にして、ずり落ちたハイソックスもそのままに仰向けになっている僕の向こう、
勤め帰りの姉さんはスーツ姿を抱きすくめられ、小父さんに首すじを咬まれていた。
姉さん、処女だったのかな?って。吸血鬼の代わりに心配しながら、
僕は心地よい貧血に身をゆだね、姉さんを救い出す努力を意図的に怠っていた。

「裕子さんの献血、ぼくも認めることにしたよ」
姉婿になる人は、苦笑いしながらそういった。
「でもショックだったなー。処女まで献上する羽目になるとは」って、ただならぬことをさりげない口調でいい流しながら、
それをきき流そうとしている僕を横目に、さらに聞き捨てならないことを口にした。
「代わりに、きみに彼女ができたなら。ぼくに紹介してくれないか?」
首すじに僕と同じ咬み痕をつけたお兄さんに、僕はぶっきら棒に「いいよ」って、答えてしまっていた。
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コメント

読み始める前は、食物連鎖の意味が良くわからなかったのですが、読み終えたときにその意味が良く理解できました。

姉さんの制服を着て小父様の相手をして徐々に周りも巻き込んでいくのは、題名の通り自然な流れのように見えるのですが、実はちゃっかりしてて計算高いボクなんじゃないかと思いますね。
by ゆい
URL
2017-05-16 火 07:24:17
編集
食物連鎖
食物連鎖の本来の意味は、
プランクトン⇒小さな魚⇒大きな魚⇒人間
みたいな図式を意味するのですが、
吸血鬼に当てはめますと、むしろ感染経路といったほうが適切かもしれないですね。
とっさに浮かんだ言葉が食物連鎖なのでそんな言葉を使ってしまいました。
食物連鎖の表現は、特に
ボク←小父さん夫婦←真の吸血鬼
の部分にいちばんぴったりくるように感じます。

仲良くなった小父さんの好みをかなえてあげるためにお姉さんの制服を着て相手をしたボクですが、そのことでお姉さんやその彼氏さんまで巻き込んでしまったのは、ちょっぴり罪深かったですね。
状況を受け容れ愉しみはじめてしまったお義兄さんに、乾杯☆
by 柏木
URL
2017-05-18 木 07:09:16
編集

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