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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

婚前交渉

2017年05月18日(Thu) 07:49:54

婚約者の血を吸われるのって、ドキドキするよな。
デートの帰りに2人ながら襲われたのが、さいしょなんだ。
意識がもーろーとなったボクのまえで彼女が生き血を吸い取られて、
さいしょは痛そうに顔をしかめているのが、みるみるうちにウットリしてきて。

まだ処女のようだから犯さないって言いながら。
ストッキングを穿いた脚を咬むときの唇の這わせ方が、すごくいやらしかったんだ。

犯さない代わりに、時々処女の生き血を吸わせてほしいって、せがまれて。
思わず彼女と目を見合わせて。
彼女がなぜか、ウンと肯いて。
ボクもそれにつられて、ウンと肯いちゃっていた。

それからは。
デート帰りに、初めて襲われたのと同じ場所で。
ボクたちは代わる代わる、ヤツに咬まれるようになっていた。
意識がもーろーとなって尻もちをついたボクの前。
ウットリしながら血を吸い取られてゆく彼女の横顔に、なぜかドキドキと胸を震わせていた。

今ではたまに、ボクには内緒で2人きりで逢っているらしい。
でも、2人の間に芽ばえたそんな妖しい習慣を、ボクは咎めることもできないで。
あとを尾(つ)けていっては独りのぞき見をしながら、ウットリし合っている2人の横顔に、なぜかドキドキと胸を震わせているんだから。


あとがき
婚約者の純潔を吸血鬼に譲り渡してしまった彼にとっては、これが形を変えた婚前交渉なのかもしれません。
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