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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

相姦家族

2017年05月25日(Thu) 07:44:29

啓一郎が勤めから戻ってくると、娘の華菜が制服姿のままリビングで頬杖をついて、父親の帰りを待っていた。
「父さんお帰りぃ」
華菜はいつもの自堕落な口調で、父親の帰りを迎えると、両親の寝室のほうをあごでふり返って、いった。
「母さんは今、熱烈浮気中だよぉ」
啓一郎もさるもの、「あ、そう」と軽く受け流して、妻の作った晩御飯をレンジに持っていく。
「長次郎のやつ来てるんだ」
ちゃんと浮気相手のことも、よくわかっているのである。
長次郎とは幼なじみの仲で、若いころから嫁を交換したりするほど親しかった。
「ちょっとー、だらしないじゃん~。奥さんに浮気され放題なんてー」
華菜は頬杖を突いたまま、からかい口調で父親をなじる。
啓一郎はそんな娘をふり返りもせずに、「仲いいんだったら、いいんじゃないの」と、取り合わない。
両親の愛情が冷めきっているわけではなくて、父が母とのセックスを毎晩のように欠かさないことも、娘はしっかり把握していた。
「お2人、今夜はアツアツだったよ~。今夜はあたしが、母さんの代わりに相手してあげようか」
娘はどきりとするようなことを、父親にいった。
啓一郎はさすがにあわてた。
「ば、バカ。いくらなんでも父娘でそんなことできるかよ!」
華菜は格好の良い脚をぶらぶらさせながら、しゃあしゃあと応えた。
「だってー。父さんがしてくれなかったらあたし、このあと長次郎小父さんに姦(や)られることになってんだもん」
初めてはやっぱり、父さんがいいな・・・と、華菜は笑った。
男をいちころにするような、あどけない媚び笑いで。

やがて奥の寝室から、長次郎が頭を掻き掻き出てきた。
「悪りぃ、悪りぃ、今夜は帰り、早かったんだな」
啓一郎は咎めもせずに、いつから来てるの?と訊いた。お昼過ぎからと答えがかえってくるとさすがに、「よくがんばるなあ」と感心している。
妻の浮気相手は娘を指さして、啓一郎にいった。
「華菜ちゃん、どっちが先に女にする?」
長次郎はちょっとだけしんけんな顔になっていた。
啓一郎が華菜の手を邪慳に引っ張ると、「それがええ、それがええ」と、納得したようにうなづいている。
どうやら、華菜の処女にはそんなに、執着していないらしい。

妻と浮気相手、父親と娘がそれぞれ別の部屋で戯れ終わると、どちらからともなくリビングに戻ってきた。
夫婦はそこで初めて、顔を合わせる。
「おかえりなさい、早かったわねえ」
妻がなにごともなかったかのように夫をねぎらうと、
「んー、今夜はみんな早上がりだったんだよな」
と、夫もふだんと変わらない口調で、妻に応えた。
妻の華子は娘の華菜に、そのときだけは母親らしい気づかわし気な顔になって、「痛かった?」と訊き、
「んー、けっこうキモチよかった」と娘がしゃあしゃあと応えると、「この子ったら、まあ」と、ちょっとだけ口を尖らせた。


翌晩啓一郎が家に戻ってくると、妻の華子がリビングで頬杖をついて、夫の帰りを待っていた。
「おや、華菜は?」
夕食時に姿を見せない娘を父親が気づかうと、華子はいった。
「長次郎さんと仲良くしてる」
夕べあのあと相手を取り替え合ってセックスに耽ったが、どうやら長次郎は娘のことも気に入ったらしかった。
「ふた晩続けておんなじ人とだなんて、あのひとにしては珍しいね」
華子はぼそりとそういった。

やがて華菜の勉強部屋から、長次郎が頭を掻き掻き出てきた。
「ロリコン男~」
啓一郎が長次郎をそういってからかうと、あとから出てきた華菜が「父さんだっていっしょじゃん」と、やりかえした。
「相談があるんだけどさ」
ひとの家の娘を犯しておいて、長次郎は啓一郎の真横に座るとずばりと切り出した。
「華菜ちゃん、うちの誠太の嫁にくれないかな」
啓ちゃんとの仲はそのままでいいから・・・と、長次郎は寛大なところをみせてくる。
「いちおう父親として味見をしたけど、華菜ちゃんいい身体しているワ。こんな子がウチの嫁になってくれたらエエなあって夕べ思ったんよ」
息子の誠太にも、ぜんぶ話してあるという。
「父ちゃんが未来の嫁の味見をしたことまでか?」
さすがに啓一郎が訊き返すと、「もちろんね」と、長次郎とこたえた。
家族の間で秘密はなしってことにしてるから――と、真面目な口調になっている。
誠太が初めて識った女が実の母親だということも、啓一郎は長次郎からきいて知っていた。
「あいつは優しい子だからな、華菜ちゃんがお嫁に来てくれるなら、父さんも時々抱いてもかまわないよって言ってくれたよ」
娘の新婚家庭はいったいどういうことになるのだろう?と、啓一郎はおもった。
「あいつ、俺の子じゃないことも、ちゃんと知ってるんだ」
長次郎はまたしても、どきりとするようなことを言った。


もともと啓一郎のところは、ごく普通の真面目な家庭だった。
しかし長次郎の家は、母子や父娘のセックスを、ふつうに交わす家だった。
生まれ育った家の習慣をむしろ誇りに思っている長次郎は、「そのほうが楽しいぜ?」と、啓一郎をそそのかした。
十代のころは同性愛の経験もある幼なじみに誘われるまま、啓一郎は妻の華子を誘惑するチャンスを与えてやり、
長次郎はまんまと、幼なじみの愛妻をたらし込んでしまっていた。
「おれだけいい想いしたら悪りぃから」と、長次郎は義理堅いところをみせ、啓一郎には自分の嫁を紹介していた。
長次郎の嫁の雅江もまた、義父に抱かれることで目ざめてしまっていて、
ふた組の若夫婦はしばしば嫁を取り替え合って夜を過ごしてきた。


長次郎が息子の誠太を啓一郎の家に連れてきたのは、その次の日のことだった。
誠太と華菜とは、知らない仲ではない。
けれども、電車で2時間かけて都会の名門校に通うようになった華菜を目にするのは、久しぶりのことだったに違いない。
このかいわいで着ている子も少ない名門校の制服を着た華菜のことを、誠太は眩しそうに見つめた。
「ほんとにいいの?あたし、こっちの父さんとも、うちの父さんともご縁のある子になっちゃったんだよ」
自分の素性をあっけらかんと暴露する娘に、
「平気だよ、うちそういうの慣れているから」
妙に明るい瞳をした青年は、さわやかな口調でこたえていた。
「ボク、父さんの子じゃないからね。父さんも知ってるけれど」
啓一郎は、夕べ長次郎が同じことを言っていたのを思い出した。「いったいどういうこと?」
「橋のたもとに掘っ立て小屋を建てて棲んでる爺さん、いるだろ?」
長次郎はこのかいわいに永年棲み着いている浮浪者のことを話題にした。
「雅江のやつが俺のところに嫁に来るすこし前に、あいつに犯されちまったんだ」

どっちかというと俺さ、変態だからドキドキしちまって。
弱みを握られた雅江がやつのところに呼び出されてあの掘っ立て小屋のなかで抱かれてるのをのぞき見して、愉しんじまっていたんだ。
たまたまさ、勤め帰りのスーツを着崩れさせて出てきた雅江と鉢合わせしちまって、
それからはさ、デートのあとに爺さんのところに立ち寄って雅江を抱かせて、そのあと二人で草むらで姦(や)るのが習慣になってたんだよな。
誠太はそのときの子。

「あら」
華子がちょっとびっくりしたような声をあげた。
「どうしたの、母さん」
長次郎小父さんの打ち明け話に興味津々で聞き入っていた華菜が母親をふり返ると、華子がいった。
「だってその人にあたしも、この人と結婚するちょっと前に襲われて犯されちゃったのよ。
 華菜はそのときの子。

・・・ってことは・・・。
父親ふたりは、顔を見合わせる。
誠太と華菜はじつの兄妹?
婚約者の純潔を同じ浮浪者に奪われた男ふたりは、「なあんだ」と、苦笑し合った。
華菜が真っ先に反応した。
「じゃああの小父さんも、あたしたちの結婚式に呼ぼうか」
だれもがいちように、頷き合っていた。
「あのじいちゃん、まだお盛んなんだよ。華菜の友だちも二人やられた」
「ボク、爺さんに逢いに行く時華菜のことを連れてってやる」
「実の娘でも抱くかな」
「関係ないんじゃない?ああいうひとは」
「雅代がやられたときには、勤め帰りのスーツ着ていた」
「あたしが啓一郎さんより先に犯されちゃったときも、新調したばかりのスーツ台無しにされたのよ」
「お友だちがやられちゃったときは2人とも、学校帰りだったんだって」
きちっとした服を着ている女を襲いたがるんだな・・・男たちはいちように、納得していた。
「ボクといっしょに爺さんのところに行く時には、制服着て来てね」という誠太に、華菜はあっさりと「ウンいいよ」と、こたえていた。

「チョウの家の人たちは、みんな強いな」
啓一郎がそういうと、
「華子さんも華菜ちゃんも、強くなったじゃん。俺の感化で」
と、長次郎は妙な自慢をした。
「どっちの父さんも さ」
誠太がいった。
「僕たちが結婚してからも、華菜ちゃんとつき合ってもいいからね。むしろそのほうが、まともな子が生まれたりして」
きらきらと虚ろに輝く瞳が、ひどくさわやかだと華菜はおもった。


あとがき
倫理観がかけ離れた家族の日常を淡々と描いてみたいな と思っていたら、
これでもかこれでもかというくらい、変なお話になってしまいました。 (^^ゞ
啓一郎の一人娘も、長次郎の一人息子も、お互いの妻が浮浪者に犯されてできた子・・・ということは、
どちらの男も子孫がいないことになるんですね。
ふたりが子孫を残すチャンスは、華菜に託されているみたいです。
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