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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

”お見合い”に隠された真の意義について

2017年06月06日(Tue) 05:44:44

娘のお見合いとは、娘を犯す相手を見つける作業だ――
白髪頭のなかでいっそうかたくなになった脳裏の陰に、カツヤはそんな妖しい想いを秘めていた。
きょうは、娘のお見合いの日――
相手の男性は、母さんが縁類を頼って見つけてきたという。
彼氏も作らずにかたくなに独りでいる娘の理香に、彼らは親らしい心配をしてはいた。
妻も夫も、吸血鬼の惑溺から逃れることができずにいながらも・・・

仲人を交えて――あとは若いお2人で――そんな一連の手続きのあと、カツヤは独り庭園の彼方をぼんやりと眺めていた。
「だいじょうぶですよ、お義父さん」
背後からかけられた声に振り向くと、そこには真理のお見合い相手がいた。
色白で目鼻立ちのととのった、しかしどこか胸の奥に秘めたいびつなものを感じさせる青年――
その彼が、うわごとのように力のない声色で、口を開く。
「娘を犯す相手を探す儀式って、思っているんでしょう?」
青年は、カツヤの感じていた妄想を、ずばりと言い当てていた。

ぼくもそんなふうに、感じていたんです。
でもお嬢さんとのお見合いは、そうとばかりとはいえない。
お嬢さんはもう、男を識っている。
そうと知りながら、お義父さんも、お義母さんも、疵ひとつない娘という触れ込みで、
僕の花嫁候補としてお嬢さんを着飾らせて連れてこられた。
しかるべき家に嫁にやってしまえば、自分たちの責任を果たせるのだと――
いえ、いやな言い方になってしまってすみません。
それでもお嬢さんを犯す権利を手に入れることに、変わりはないわけですから――
でも本当にあなたが探していらっしゃるのは・・・
自分の娘を犯す男性ではなくて、
嫁いだ娘を寝取られる男性 なのではないですか?
妻を寝取られる日常を甘受することのできる、寛容な夫。
ちょうど、あなたみたいな――

青年は、なにもかも見通している。
どこに出しても恥ずかしくない良家の娘として育て上げながら。
その一方では、淫らな吸血鬼にうら若い血液を吸い取られる歓びを識ってしまった娘。
もう、普通の結婚で満足できるからだではないことを、親である彼らがもっともよく承知していた。

できますよ。
青年は冷ややかに笑みながら、いった。
ぼくなら、吸血鬼に純潔を捧げたお嬢さんを、妻にすることができます。
そして、妻になった真理さんが吸血鬼に誘い出されて、不倫に走るのを許すことも・・・
だって、この縁談を承知したのはぼくだから。
両親は、なにも知りません。まだなにも、わかっていません。
でもきっと、ぼくの挙式までのあいだに、お嬢さんの血を吸っている吸血鬼は母のことにも目をつけて、襲って血を吸おうとするのでしょう。
ぼくはきっとそのときには、母の名誉を守ることよりも、そのひとの欲求を満足させるほうを、優先させてしまうでしょう。
凄腕の彼のことだから――
母と永年連れ添った父さえもたぶらかされて、
母を情婦にしたいというかれの申し出を、快諾してしまうことでしょう。

そんな日常に、ぼくは強烈に、憧れているんですよ。
そう、あなたはみつけてくれたのです。
娘を犯す相手を。
そして、ご自分と同じく、妻を寝取られることを歓びと感じることができる相手を――

男ふたりは、ニッと笑った。
お互いの笑みのなかに、自分との同質性を認め合う笑いだった。

娘をよろしく。
こちらこそ、末永く・・・

なんも知らない青年の両親は、仲人の老人が人妻の血を狙っているとはつゆ知らず、
これからもどうぞよろしく・・・などと、言ってはならないことを申し出てしまっている。
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