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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

”お見合い”の後日談――

2017年06月06日(Tue) 06:21:18

いえ、いえ。
もとから、そういう意味で申し上げたんですよ。
これからもどうぞよろしく・・・というのは、
目のまえのソファのうえ、永年連れ添った妻が、吸血鬼に犯されていた。

荒い息の下。
あ、な、た・・・ご、め、ん、な、さ、い・・・っ。
と、妻は謝罪をくり返し、
荒い息の下。
あんたの奥さんは好い女だ。
と、吸血鬼は称賛をくり返し、
ひそめた吐息を交えつつ、
あなたに初めてお目にかかった瞬間から、こうなってほしいと心から望んでいたのです。
と、記憶をすり替えられた夫は、うわごとのようにくり返す。

三人が初めて顔を合わせたのは、夫婦の間の一人息子のお見合いの席。
新婦の母親から依頼された仲人と称して現れたその男は、彼らの親よりも年配の、みすぼらしい男だった。
あとで知ったところによると、
仲人と称するその男は、実は新婦の母親の情夫であって、
ふたりの仲はその夫である新婦の父さえ認めていて、
当の令嬢さえ、すでにその男によって凌辱されていたという。

息子とは、ただならぬ因縁でもあったのだろうか、
初対面のその男を、即座にそれと察しながらも、
与えられた状況をすすんで受け入れて、令嬢との婚約を許したのだった。

なにも知らない夫婦は、息子の縁を取り持ってくれた仲人に、
これからも、どうぞよろしく。
と、挨拶を交わしたけれど。
まさかその挨拶が呪縛のように巻きついてきて、
夫婦ながら生き血を吸い取られ、そのうえ妻を情婦にされてしまうなどとは、夢にも思っていなかった。
それでも夫婦はそうした忌むべき日常を、いまは悦んで受け容れていて。
淫らな意図を抱えて自宅に出入りをくり返す男を迎え入れるたび、
どうぞよろしく。
と、会釈を投げるのであった。

男は我が物顔に、夫人の肩に腕を回しながら、夫に向かって宣言する。
こんどの週末もまた、きみの妻を借りてゆくぞ。
しかるべき人間の女を連れてゆくと、どこの婚礼でも歓迎されるのでな。

実の夫婦を装って、婚礼の席にまぎれ込んで、きれいな女を物色する。
そんな動機のために、つき合わされる妻だったが、

そのときにはあなた、芳名帳には彼の姓でサインするんですよ。

いまではそんなふうに、悪戯っぽく夫に嗤いかけている。
堅物だったはずの妻も、いまではすっかり蕩けてしまって、
情夫の言うなりに、好みに合わせる女になり替わってしまっていた。
そんな日常が、むしょうに愉しい。

この淫らな吸血鬼を家庭にひき込んだのは、息子の嫁になった女。
控えめなお嬢さんとばかり思っていたその女は、若くして淫婦になり下がっていた。
息子はそうと知りつつも彼女との婚姻を望み、
その忌むべき婚礼の引き出物として、
花婿の父親は長年連れ添った妻の貞操を汚され抜く羽目になった。

けれどもいまは、後悔をしていない。
嫁いだこの家以外の姓で、他所さまの婚礼の芳名帳に記帳する女。
妻が他の男の情婦となることに、
いまはいびつな歓びにむせ返る思いしか感じられない。


あとがき
またも、話が拡がってしまいましたね。。。
悪い癖です。 (^^ゞ
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母さんって案外、いい女じゃん。
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