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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

延命された貞操

2017年07月10日(Mon) 06:37:09

貞淑な主婦が犯されそうになったとき、必死で抗って。
相手が自分の心を読んで、暴力で彼女を犯そうとする意図を諦めて、見逃してくれたとしたら。
彼女はどれくらい、感謝するでしょうか――?


吸血鬼と共存しているというこの街に赴任して、一か月ほど経ったときのことでした。
妻の生き血を、特定の吸血鬼にプレゼントする羽目に陥ったのは。

その日は、わたしの所属する地元のクラブ・チームの試合の日でした。
都会出身の職場の同僚に同好の人がいて、メンバーに加えてもらったのです。
対戦相手は、吸血鬼のチームでした。
締まっていこうぜ。負けると試合のあと、血を吸われちまうからな。
同僚の囁きにもかかわらず、結果は惨敗でした。
吸血鬼チームのメンバーは、けた違いの馬力を発揮して、吸血する権利を手にしたのでした。
彼らは思い思いにわたしたちのチームの選手を一人ずつ選んで、血を吸ったのです。

奥さんが応援に来ているチームメイトも、おおぜいいました。
彼らは促されるまま奥さんともどもグラウンドの向こうの草むらに脚を向けて・・・
立ち去りぎわに振り返ると、彼らは顔が土気色になるまで血を吸い取られて草むらの中に転がっていて、
そのすぐ傍らで、こんどは奥さんまでもが襲われていたのです。

――――――

エッ、奥さん姦られなかったの?
職場のみんながいっせいにこちらを振り向いたのは、週明けのことでした。
その前の日には、職場対抗のスポーツ大会があって、
わたしの所属するチームは吸血鬼のチームに惨敗してしまったのです。
吸血鬼のチームに負けると、選手は全員血を吸われてしまうことになっていました。
丈の長い靴下が好みだという吸血鬼たちにとって、わたしたちの身に着けたユニフォームは美味しいご馳走だったようです。
短パンの下は、白のラインが三本走ったブルーのストッキング。
試合後選手は全員、相手チームの吸血鬼に呼び集められて、
短パンの下に履いているストッキングのうえから、ふくらはぎを咬まれて血を吸い取られたのです。
奥さんが応援に来ていたチームメイトは、奥さんまで血を吸われ、おまけに犯されてしまっていました。
まるで、自分の奥さんの血を吸わせるために招んだようなものでした。
(いま考えると、事実そうだったのかもしれませんが・・・)

負けるとそういうことになるときいていたので、わたしはわざと1人で参加したのですが、
それは無駄な努力に終わりました。
わたしのことを獲物に選んだ男は、にんまりと笑って言ったのです――きみの血は、きみの家で愉しませてもらうから。
彼の目あてがなんなのかは、訊かなくてもわかります。
でも、断り切れなかったわたしは仕方なく、彼を自宅へと伴ったのです。
そう。この街で吸血鬼に魅入られたら、逃れるすべはない。
それと知りながら赴任を承諾したのは、私たちがもう、都会にいられない事情を持った人間だったからでした。
――この土地は、どんなに負い目のある人間でも、分け隔てなく仲良くしてもらえる土地柄なのだよ。
わたしに転任を薦めた上司はそう言って、自身もかつて数年間、その街にいたのだと告白してくれました。
(彼も既婚者でした)

ほかのチームメイトは全員奥さんを招んでいたので、グラウンドに残っていました。
試合のあとのグラウンドで、チームメイトの奥さんたちは、
よそ行きのブラウスやワンピースを泥だらけにしながら、
生き血を吸われ、犯されていったのです。
きゃあきゃあとはしゃぎながら、それは愉し気に。


家に着くと、妻がびっくりしたように、わたしを出迎えます。
相手チームの吸血鬼を連れ帰るとは、もちろん聞かされていません。
それでも――どういう意図で家まで来たのかは、薄々察しがついたようすでした。
妻もまた、自分の置かれた立場を、よく心得ていたのです。
試合のあとに人を――それも相手チームの吸血鬼を――家に招ぶ予定はなかったし、
途中から妻に連絡するようなこともしなかったので、おもてなしの用意などなにもありません。
でも、そんなことは初めから必要ないのです。
妻は相手の望むままに、妻自身の生き血を振る舞えば、それで済むのですから。

この街で、吸血鬼が既婚の女性を襲うとき、例外なく相手の女性を犯すと聞いていました。
自宅を舞台にした落花狼藉――それはもう、避けては通れないものになっていたのです。
けれども彼は、意外にも紳士的でした。
彼の言によれば、彼が妻のことを見初めたのは、
わたしたち夫婦が赴任のあいさつで初めて出社したときだったそうです。
彼はわたしの同僚たちに、宣言したそうです。
――あの奥さんの脚を咬んで、ストッキングを破りながら血を吸いたい――と。
その望みが、きょうかなえられるのです。
わたしは仕方なく、「おめでとう」と、言ってやりました。
それを真に受けて、素直にありがとうを返されて。
わたしは初めて、まず自分の血を提供するために、ライン入りのストッキングのうえから、牙で冒されていったのです。
太めのリブのツヤツヤした真新しいナイロン生地ごしに、唾液にまみれた唇の熱さが、じかに伝わってきました。

チクリ、と突き刺す、かすかな鈍痛。
じわっと滲む、生温かい血。
チュウチュウと小気味よく吸い取られる、働き盛りの血。
貧血で頭がくらくらするまで、吸いつづけさせてしまっていました。
この唇が。この牙が。
これから妻の素肌を侵すのだ――そう思うといても立ってもいられない気持ちになるのですが。
そのいっぽうで。
こんな唇に誘惑されて、
こんな牙に咬まれてしまったら。
妻だって、ふつうの気持ちでいられるわけはない・・・などと。
感じはじめた罪深い陶酔に、わたしはいつの間にか、夢中になってしまっていました。
なんとか妻の素肌を咬ませたい。
男の相手を初めてわずか数分後には、すっかりそんな想念にとりつかれてしまっていたのでした。

妻が真新しいストッキングに穿き替えて、彼の前に現れたとき。
わたしはもう、貧血のあまり頭を抱えて、じゅうたんの上に転がっていました。
ちょうど――グラウンドを去り際に、同僚の一人が土気色の顔をして草むらのなかに横たわり、
その傍らにねじ伏せられた奥さんが、羽交い絞めにされながら犯されていったときのように。

妻はソファに腰かけて、息をつめて男を見あげます。
男は妻の手を取り、手の甲に接吻すると、ひと言「落ち着いて」と囁き、
それからおもむろに妻の足許にかがみ込んで、
わたしの血を吸い取ったばかりの唇を、ストッキングを穿いたふくらはぎに吸いつけていったのです。
わたしの履いていたスポーツ用のストッキングも、その唇に冒されたばかりです。
まして妻の穿いているパンティストッキングはひどくなよなよと頼りなくて、
ちょっといたぶったらすぐにでもほつれてしまいそうな代物でした。

くちゃっ。
圧しつけられた唇の下。
真新しいナイロン生地にかすかな唾液が散って、
唇のしつようないたぶりにつれて、いびつによじれていきます。
なん度もなん度も、男はその行為をくり返しました。
そしてなん度めかの接吻を、ただの接吻で終わらせずに、そのまま牙を埋め込んでいったのです。
妻の整った横顔がキュッと引きつるのを見て、「咬まれてしまったな」と、実感しました。

チュウチュウ・・・
キュウキュウ・・・
ひとをこばかにしたような音をたてて、妻は生き血を吸い取られていきました。
緊張に包まれた妻の表情がやがてほぐれて、目の焦点が合わなくなって。
口許にはへらへらとした薄笑いさえ泛べて、
やがて姿勢を崩して、ソファからじゅうたんのうえにすべり落ちる――
しかし、男は意外にも、その場で妻を犯そうとしませんでした。
貧血で顔を蒼ざめさせた妻を引きたてるようにすると、もう一度首すじに唇を這わせ、ひとしきり血を吸って、優しく抱きしめると、そのまま解放してくれたのです。

意外な展開に、妻は首すじにつけられた咬み痕に手を添えながら、じっと男を視ています。
男も妻のことを、じっと視かえしていました。
まだ決心がつかないようだね。
男のひと言に、妻はほっとしたように表情を和らげます。
そう、潔癖症な妻はどうしても、この場で、夫の目の前で犯されるという現実に、耐えることがまだできずにいたのです。
男は血を吸いながらも冷静にそんな妻のようすを見極めて、
妻が立ち直れないほど打ちのめされてしまうのを避け、あえて状況を寸止めにしたのでした。

わしらがあんたがたを犯すのは、恥を掻かせてやろうとしてそうしているわけじゃない。
生命と同じ値打ちのあるものを飲み物にさせてくれたお礼に、敬意を表したいだけなのだ。
だがそんなことを言われても、いきなり信じられるものじゃない。
ふつうの奥さんなら、強引に迫って落としてしまったほうが、踏ん切りがつくこともあるのだが。
だいぶ、潔癖なひとのようだから。
奥さんを人間なみのやり方で抱くのは、つぎの楽しみに取っておくよ。

男は朗々とした声色で、そう告げたのでした。
破いたストッキングを弁償したいとまで、男はいって、わたしに一万円札を差し出しましたが、それは断りました。
妻のことでお金をもらうわけにはいかないから――そう言って、そこは鄭重に辞退をしたのです。
「受け取っておけばよかったのに」
妻は後で、あっけらかんと言ったのですが。
もしかすると受け取ってしまったほうが、妻がわたしにたいして感じる罪悪感を、目減りさせることになったのかもしれません。

男は代わりに無心したのは、妻の穿いているストッキングでした。
見るかげもなく破けて血の滲んだストッキングに、どんな値打ちがあるというのでしょう。
でも彼が「ぜひに」と欲しがるのを、拒むすべはありませんでした。
わたしは妻に目配せをし、妻も黙って肯きます。
破れ落ちたストッキングは、男の手で妻の脚から抜き取られて、彼のポケットのなかにせしめられていきました。
辱めを免れた妻にとって、それくらいはお安い御用だったみたいです。
裂けたストッキングを戦利品にされたのを恥じらいながら、妻は上目づかいで好意的な照れ笑いをしてみせました。
きっとあの瞬間――男は妻の心をつかんだのでした。

えっ、姦られなかったの?
職場の人たちがいちように驚いたのは、じつにもっともなことでした。
彼らのだれもが、初対面の段階で妻を襲われ、血を吸われたばかりか犯されてしまっていたからです。
いや、うちも危なかったんですよ――わたしはそう弁解しながらも。
――この街では、吸血鬼に襲われた女が犯されないのは、魅力がないと思われてしまう。
そんな事実を実感せざるを得ませんでした。
彼のいうように、血を吸った女を犯す行為が敬愛の情の表れだとしたら、
それを受けることのできなかった女は一段低く見られたことになり、
女の身体に称賛を与えなかった男のほうも、非難の対象となる――きっとそういうことなのだろうと。

けれども、妻の貞操が生き延びることができたのは、そこまででした。
なぜなら、彼は三日にあげず自宅にやって来て、妻の血を吸いつづけたからです。
首すじに、ふくらはぎや太ももに、なまの唇をじかに這わされて。
スリップを真っ赤に濡らし、ストッキングを咬み破かれながら、
妻はその素肌にくまなく、もの欲しげな舌なめずりを這わされつづけ、
あげく、パンティストッキングをひざまでずり降ろされたうえ、
ショーツの奥にまで舌を這わされてしまっていたのでした。
度重なる訪問に耐えかねて。
妻は少しずつ、肌身を許しはじめていったのです。

もはやわたしも、潔い夫として振る舞うしかありませんでした。
わたしはつぎの週末、男を自宅に招いて、妻のことをたいせつにすると約束をさせたうえで、二人の交際を認めるといってやりました。
先週はスポーツ大会で惨敗したわたしは、今度は妻をめぐる競争でも惨敗したことになるのでしょうか。
「勝ち負けではないですよ」
男はわたしに、言いました。
貴男の最愛の奥さんをまんまと手に入れた私も、勝ち。
最愛の奥さんを潔くほかの男と共有することに決めた貴男も、勝ち。
旦那よりもずっとストロングな男を情夫に持つことになる奥さんも、勝ち。
どうですか――?
多少わたしの分が悪いような気もしないではありませんでしたが、
もっともらしく肯きかえす妻を傍らに、わたしもただ無言で肯きかえすばかりでした。

返礼は派手なものでした。
わたしはその場で提供可能なかぎりの血液を吸い尽されて、
意識が朦朧となって、ぶっ倒れてしまって。
男はそんなわたしの目の前で、妻を羽交い絞めにし、じゅうたんのうえに組み敷いていったのです。
こぎれいなワンピースに装った妻の華奢な肢体は、逞しい彼の下敷きになって、見るからにか弱げだったのを、いまでもよく憶えています。
そのワンピースは、このあいだの結婚記念日にわたしがプレゼントしたものでした。
貞操を喪失するという記念すべき刻に彼女が選んだ装いは、夫から贈られた服。
彼女も非常な決意で、きょうのこの場に臨んだのでしょう。

男は顔を妻の顔に近寄せると、飢えた唇をいつものように首すじに吸いつけようとはしないで、そのまま妻の唇に重ねていったのです。
永遠の愛を誓うキス――
私はそれを見せつけられながらも、ただ「おめでとう」と妻を相手に想いを遂げる男を祝ってやることしか、できませんでした。

見慣れた花柄のワンピースのすそがじゅうたんのうえいっぱいに拡げられて。
それまで脚を通したことのないガーターストッキングの留め具を覗かせるほど、太もももあらわなポーズを取って、
良家の子女だった妻は、いままでとは別の世界へと足を踏み入れていきました。
ええもちろん、わたし自身も――
目のまえで妻を寝取られてしまうことに、もう心臓を高鳴らせながら。
妖しい昂ぶりの虜になって、その場の状況を見守るばかり。
母がこの場に居合わせたなら、「なんというばかなことを」と、たしなめたに違いありませんけれど。
わたしはそのときの選択を、いまでも間違っているとは思いませんし、むしろ誇りにすら感じています。

恥を忘れて娼婦になり果てた妻――
わたしのまえですらさらしたことのないほどのはしたない喘ぎと媚態とをあらわにして、
彼の欲求に心から応えていったのです。
添田家の主婦が堕ちた、記念すべき瞬間を、わたしは非常な満足とともに見届けたのでした。


あとがき
だらだらと長くなっちゃいましたね。^^;
心の中では犯されたくないと願う人妻の心を汲んで、いちどは見逃してやって。
その意気に感じた夫婦が、夫は夫としての自尊心を忘れ、妻は妻としての貞操観念を自ら泥まみれに濡らしてゆく。
そんな心理を描いてみたかったのですが・・・
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コメント

試合中に吸ったりはしないスポーツマンシップ、素晴らしいモノです
普通なら貞操を守るのが良妻、しかしここでは吸血鬼に見初められることが良妻となるのか
これは妻の名誉のためにもやらせないわけにはいかなくなりますな
いや、でもそれもまた言い訳ですな
ただ吸わせたい、やらせてあげたい、それが真実かも
by ナッシュ・ド・レー
URL
2017-07-17 月 20:44:29
編集
> ナッシュ・ド・レーさん
とっさに思い込んだ歌一首。

吸わせたい 姦(や)らせてあげたい そう思い
  着飾る妻を 連れ出した夜


お互いスポーツマンシップを育むことで気持ちを一つにして、敬意を表し合って、
さいごに潔く妻を襲わせて兄弟になる。
それが真の友情?

そうした関係の親友を持った男の妻としては。
貞操を守ろうとして必死に抵抗するのも良妻なら、
ストッキングを破られながら夫の親友を心から歓待するのも良妻
—―ということになりそうですね。
by 柏木
URL
2017-07-18 火 06:47:55
編集

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