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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ある女装校生の想い出。

2017年08月29日(Tue) 05:05:49

初めて吸血鬼からの誘いを受けたのは、入学してすぐのことだった。
自慢じゃないけど、クラスではいちばん早かったんじゃないかな?
つとめて無表情を取り繕った担任の先生に放課後呼び出されて、
呼び出された空き教室には、先生の代わりに白髪の吸血鬼が待っていた というわけ。
首すじも太ももも、たまらなかったけど。
いちばんこたえたのは、なぜかハイソックスを履いたまま、ふくらはぎを咬まれたときのこと。
それですっかり、はまってしまった。
毎週毎週呼び出しは続いたけれど、
ハイソックスのうえから唇を這わされて、
よだれをジュクジュクとしみ込まされて、
くまなくしつように牙をあてられて、
制服の一部であるハイソックスをみるかげもなく咬み破られてしまうのが、
なぜかむしょうに、小気味よかった。

一学期がおわるまえ、女子の制服を着て登校するようにとせがまれて。
恐る恐る母さんに相談したら、びっくりするほどすんなりと、
「じゃあ、制服屋さんで採寸しないとね」っていわれて。
父さんは黙って遠くから聞いていたみたいだったけど、
明日は女子服で登校というまえの晩、「あしたからセーラー服なんだな」って、
どこか嬉しげに、目を細めていた。

丈の長いスカートを穿いたとき、
さいしょは袴みたいだと思ったけれど。
さばさばとすそを揺らしながら歩みを進めていくうちに、
歩き方がすっかり、女の子みたいになっていて。
通りかかった近所のおばさんに、
「見慣れない子だと思ったら・・・」って、目を丸くされてしまっていた。
恥かしかったけど、ちょっぴり嬉しかった。
なによりも。
周囲の風景にとけ込むことができたのか、道行く通りすがりの人たちは、だれもがぼくに無関心で。
案外抵抗なく、学校にたどり着くことができた。
すでにセーラー服の男の子はなん人かいたから、
ぼくだけがひとり、チラ見をされるわけではなかったけれど。
時折だれかに盗み見られるのは、なんとなくわかっていて、
羨望に満ちたその視線に、ひどくくすぐったい気持ちがした。

あたし、吸血鬼の小父さまの女になるんだ――
そんなことを夢中になって口走っていたころ。
それがひとつの、幸せの頂点だった。
ぼくは女の子として日常を過ごし、
小父さんはあくまでぼくのことを、女の子として扱ってくれた。
卒業を控えたある夜のこと――
小父さまはぼくのことをいつもの空き教室に呼び出して、
セーラー服姿のぼくを床に抑えつけ、
母さんのことをなん度も征服したあのエッチな股間を、
スカートの奥深くまで、埋め込んできた。
ぼくは本物の女の子よりも、生々しい吐息をついて。
どんな女の子よりも素直に、小父さまの熱情に寄り添っていった。

小父さまが街を去ったのは、突然のことだった。
たよりを一通、それも「幸せに暮らせ」とだけ、走り書きされていた。
敵に居所を突き止められて夜逃げをしたのだと、父さんがそっと教えてくれた。
ぼくは合格していた女子大に、正体を隠して予定通り入学して、
四年間一生けんめい勉強をして、教員の資格を取っていた。

数年が経ち、ぼくはふたたび、あの学校に通っている。そう、女装教師として。
クラスの生徒の半分は、ぼくのことを本物の女教師だと思っている。
じきにうわさで、すべてがばれてしまうのだけれど。
あと一週間くらいは、だいじょうぶだろう。
小父さまと過ごしたあの空き教室には、どうしても足が向かなかったけれど。
いちど、勇気を奮い起こしてまえの廊下を歩いたとき、
寂しくて、寂しくて、涙がとめどなくあふれてきた。
あれ以来、ぼくの血を吸ったものは、だれもいない――

教師としての日常は、そんなにわるいものではなかった。
男の子たちは、ぼくの正体を知ってからも、女の先生として慕ってくれて。
なん人かの生徒は、ぼくにラブレターをくれたくらい。
返事はちゃんと書いた。
「好きなひとがいるから、お気持ちには添えないけれど・・・いっしょにがんばろう」
って、すこしは教師らしいことを書いてみたりした。

一学期が終わるころには、ほとんどの生徒が襲われていて、
女史の制服を着用して登校してくる生徒も、だんだんと増えてきた。
夏は好い季節だ。
肌の露出度が上がって、ピチピチとした太ももが初々しく輝く季節。
彼らの太ももの筋肉がまだ柔らかいうちに、
ぼくは生徒を一人でも多く、この世の天国に連れて行ってやろうとする。
きょうもまた、あの思い出の空き教室から、
初めて咬まれる少年のうめき声が洩れてくる。

きっとあの教室のなかには、ぼくも小父さまもいるんだ。
まだ若い肢体を持ったぼくは、戸惑い逃げ惑い、逃げ切れなくなって、
まだ柔らかい皮膚を破られて、若い生き血を啜られる。
小父さまは余裕で獲物をからかいながら、
「きみの血は美味しいね」って褒めることも忘れずに、
夢中になって来るとひたすら、その子の生き血を舐め尽してしまうことに熱中して、
襲われる子も、そのうちだんだんと夢中になって来て、
女の子みたいな切ない吐息を洩らしながら、相手の意のままへと、堕ちてゆく。
そんなくり返しを見守るのが、とても楽しい。
この学園は、地上の楽園。
生徒もその母親さえも吸血鬼の毒牙にかかってゆくというのに、
そのなかに気の毒な被害者なんて、ひとりもいない。
息子や妻までも寝取られてしまうお父さんさえも、
時々参観と称して、少女になった息子や、自分を裏切りつづける妻の痴態を愉しみに訪れる。

嵐のような宴が過ぎた後、
ぼくはひとりモップを出してきて、床清掃をしていった。
飛び散った若い血を、むぞうさに拭い落として。
床のうえで行われた、淫らな戯れの記憶を消し去ってゆく。
きょうの、きのうの、もっと前の。
そして、ぼく自身の記憶にさかのぼる過去のものさえも――

ふと傍らに、人の気配を感じた。
ぎょっとして立ちすくんで、薄闇を通して気配の正体を見通そうとした。
気配は生温かく、どこか柔らかなものを帯びていた。
はっとした。
懐かしい気配だった。
初めてのセーラー服にドキドキしながら登校してきたときに、
さいしょの授業さえ受けさせてもらえなくて、強引に連れ込まれてしまったこの部屋で。
初めてのキスを奪われたっけ。
薄闇の向こうでほくそ笑むのは、そんな密か事の記憶を共有する唯一のひと。
「おかえりなさい」
そういうぼくに、
「スーツが似合うようになったんだな」
あのくぐもった、もの欲しげな声色に。
ぼくはウットリとして、肯きかえしてしまっている。


あとがき
わ~、一気呵成に描いてしまった。ものの30分くらいで。
どれほどの内容か自分でもよくわからないけど、
久しぶりでサラサラとよどみなく描くことができたことに満足。
(^^)
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