FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

おそろいのライン入りハイソックス

2017年10月14日(Sat) 05:07:43

ったく、吸血鬼のくせに小心者なんだなお前は――
志郎は口をとがらせて、レイジを責めた。
レイジには、気になる女の子がいる。
同級生のアヤコのことだった。
けれども、レイジはアヤコに話しかけることもできず、
まして正体を明かして血を吸わせてほしいなんて、死んでも告白することができないでいた。
親友の志郎に打ち明けると、志郎は「まったくお前らしいな」と言い、
アヤコと同じ柄のライン入りの靴下を履いているときに吸血をねだられると、
仕方なさそうに靴下をひざ下まで引き上げて、咬み破らせてやっている。
きょうも体育の授業のあと、
志郎が短パンの下に履いていたライン入りの靴下に目を輝かせたレイジは、
体育館の裏手に志郎を誘って脚を咬んだ。
本人にお願いすることって、できないの?
志郎は咬ませてやりながらレイジに訊いたが、
レイジはひたすら首を横に振って、「無理無理」と言うばかり。
「わかったよ、じゃあ俺が話をつけて、連れて来てやるから」
志郎は仕方なさそうに、自分の足許にむしゃぶりついてくるレイジを見おろした。
「え?ほんと?ほ・・・ほんと?」
目を輝かせるレイジに、志郎はいった。
「でもさ、ほんとうのこというと、アヤコはぼくの彼女なんだ」

彼女を紹介して、血を吸わせてくれる――破格の好意だった。
でも、思春期で喉をしじゅう渇かせているレイジは、「悪いね・・・」とためらいながらも、志郎の好意にすがることにした。

「ぼく、あいつ(アヤコ)に告っといたから」
志郎の浮かない顔を見て、親友想いのレイジはちょっと心を痛めたけれど、
「ほんとうに来てくれるの?」
思わず飛び出た言葉は、嬉しさに満ちていた。
「さいしょはさ、お前のことが吸血鬼だって知って、あいつ“うそ~”って驚いてた」
「そうだよね・・・クラスに吸血鬼がいるなんて、やっぱ不気味だろうなあ」
「さいしょは怖がっていたけどさ、“でも志郎は彼と仲好いんだよね?”って気づいてくれて、“あいつ、お前の血を吸いたがってる”って言ったら、”志郎はいいの?“って言うから、”ぼくは構わないし、むしろ吸わせてほしいと思ってる“って言ったら、”志郎がいいなら私逢う“って応えてきた。まんざらお前のこと、嫌いなわけじゃないみたいだな」
でもその感情は、間に志郎が介在してこそ初めて成り立っているのだと、レイジはよくわきまえていた。
志郎の彼女を奪(と)るつもりはなかったし、たまたま彼女と同じ柄の靴下を履いていたのを見てあつかましくもねだった吸血に応えてくれた彼のことをないがしろにするつもりもなかった。

翌日の放課後、約束した校舎の裏手に、アヤコは現れた。
紺のプリーツスカートの下には、あのライン入りのハイソックスを履いている。
きりっとした縦のリブが走った白地のハイソックスは、発育のよい肉づきたっぷりなふくらはぎ――そういわれるのを彼女は好まなかったが――の印象を、ほどよく引き締めていた。
「やっぱり二人きりは怖いから、志郎そばにいてくれる?」
アヤコの希望を容れて、志郎は終始ふたりの傍らにいて、視線だけは逸らしつづけていた。

ライン入りの白のハイソックスに赤黒いシミを拡げながら、
アヤコは気前よく、若い血液を吸い取らせてゆく。
「だいじょうぶ?」
つかまえた足許から時折口を放してレイジはアヤコの顔を見あげたが、
「ううん、平気」
アヤコは気丈にもそう応えて、はらはらしながら見守る彼氏には、
「血を吸われるのって、意外にキモチいいね」
と、余裕の態度をみせていた。
やがて少女は顔色を変えて脚をふらつかせたけれど、
こんどはレイジのほうが夢中になってしまい、
めまいを起こしたアヤコが尻もちをついてしまうまで、彼女の脚を放さなかった。
うつ伏せになったアヤコの制服姿に、レイジはわが身を重ねていって、
左右の脚に代わりばんこに咬みつきながら、憧れていた靴下破りに熱中しつづけていた。

「やり過ぎたかな・・・」
われに返ったレイジは翌日、志郎に礼を言った後アヤコのことを気づかった。
「だいじょうぶ、うまく話しておいたから」
あの日現場で彼女が血を吸い取られてしまうのをはらはらしながら見つめていた親友は、
すっかりいつもの優しさを取り戻している。
「あいつ、言ってたぜ。
“あたしの血が気に入ったから、レイジはなかなか放してくれなかったんだね”
ってさ。
案外物わかりが良かったな。
まあ、俺の彼女だから、俺に似ているのかもしれないな。
お前の牙との相性も、なかなかいいみたい」
彼女の生き血を気前よく振る舞ってくれた親友は、意外にさばさばとした声色で、レイジにそういった。
「でもさ、お前・・・」
ちょっぴりだけ眉をひそめた志郎の顔を、レイジは怪訝そうにのぞき込んだ。
「血を吸った後、犯すだろ・・・?
 このあいだは、そんなことしないでいてくれたけど」
母親の血をレイジに吸わせるため家に招んだ志郎は、自身もしたたかに血を吸い取られたあげく、母親の首すじにかじりついたレイジがそのあとなにをしたのかまで、しっかりと見届けてしまっていた。
「ああ、あのときね・・・」
レイジは苦笑いしながらつづけた。
「大丈夫。アヤコが処女のあいだは、そういうことはしないから。」

ちょっとだけ安心した志郎は、レイジと別れた後にふと気がついた。
いつか俺がアヤコと結婚したら、アヤコは処女じゃなくなる。
そのときもしもレイジとつき合いつづけていたら――というか、そういう可能性が高いのだけれど――レイジはアヤコを抱くことになるの・・・?

一週間後。
志郎はレイジにねだられるまま、制服姿のアヤコを伴って放課後の教室にあらわれた。
「こいつのこと、咬んでやってくれないか?」
え?と、親友を見あげるレイジに、志郎はつづけた。
「お前、こいつの素肌に毒をしみ込ませたろ?
 あれ以来、彼女お前に襲われたがってるんだ」
たしかに――吸血鬼の習性として、牙から分泌する毒液がいくばくか、彼女の体内に流れ込んだのは間違いない。
毒液を植えつけながら、レイジがこう願いつづけたのも、間違いない。
――アヤコともう一度逢いたい。クラスメイトとしてではなく、吸血鬼として。

俺のことなら気にすんな、と、志郎はいった。
「お前が初めてアヤコのことを咬んだ時、異常にドキドキして昂奮しちまった。
 これっていったいなんなんだろう?って思った。
 お前が度胸をつけて、うちの母さんを襲ったとき、それが初めて分かった。
 ぼく本当は、おまえがアヤコを犯すのを視てみたかったんだ。」
アヤコは志郎の話を傍らで聞きながらも、頬を真っ赤にしながら俯いていた。
そして志郎に「ごめんね志郎、あなたの恋人のまま、この人に咬まれつづけるから」
というと、レイジの胸に飛び込んでいった。

その日この空き教室で行われたのは、決してレイプではなかった。
恋人まで認めた、彼の親友による女子生徒の処女破りの儀式。
明日もきっと、ふたりはおそろいのライン入りのハイソックスの脚を並べて、
渇いた喉を抱えた彼氏の親友に若い血液を振る舞うために、連れだって訪れることだろう。


(10月4日構想、今朝脱稿)
前の記事
「こんどは、お友だち連れてきてあげるね」
次の記事
「だめダンナ」

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/3536-210c3f2d