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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

血の輪廻

2017年10月29日(Sun) 04:36:39

きょうは母さんといっしょに、街はずれの小父様の家に行ってきなさい。
知っているだろうが、小父様は人の生き血を吸って暮らしていらっしゃる。
だからお前も、母さんといっしょに生き血を吸わせておあげなさい。
男の子は女のひとを守らなくてはいけないから、
お前が先に吸われなくちゃいけないよ。

父さんにそんなふうに諭されて、まだ半ズボンを穿いていたころのぼくは、
好んで脚を咬みたがるという街はずれの小父様のため、
紺のハイソックスを履いて出かけていった。
母さんはよそ行きのスーツのすそから、真新しい肌色のストッキングを穿いた脚をすらりと伸ばして、
ぼくといっしょに出かけていった。
リョウちゃん、お母さんのことを守ってね。
母さんはひっそりとほほ笑みながら、決して泣くまいと歯を食いしばるぼくのことを見守って、
そのうち咬まれることに慣れたぼくが、もう片方の脚を進んで差し伸べるのをみて、さらにひっそりと笑っていた。
それから自分も、肌色のストッキングの脚を差し伸べて、ぼくの血を吸ったばかりの唇を、苦笑いしながら吸いつけられていった。
貧血でぼうっとなった意識の向こう、母さんが小父様に抱きすくめられたまま、
ブラウスをはだけられ、おっぱいをまる見えにさせながらさらに強く抱かれるのを、
なぜかドキドキとしながら、見つめてしまっていた。

もぅ、お兄ちゃんなんだから、奈々枝のことをちゃんとエスコートしてね。
小父様に逢ったら、お母さんからもよろしくって、伝えてね。
お兄ちゃんは妹にお手本を見せなくちゃいけないから、
リョウちゃんが先に咬まれなくちゃいけないわ。

母さんにそんなふうに諭されて、初めてセーラー服を着た妹を連れて、
やはり初めて脚に通した黒のストッキングのなまめかしさにウキウキしている妹を連れて、
ぼくは街はずれの小父様の屋敷へと出かけていった。
ぼくのお手本をなぞるように、黒のストッキングの脚を差し伸べていった妹は、
初めての痛みにべそを掻き掻き、しっかりお相手をつとめていた。
さいしょはおずおずと、片方の脚を差し出したあと。
貧血に蒼ざめた頬に、母さんゆずりのひっそりとした笑みを絶やさぬまま、
「こっちの脚も咬ませてあげるね」
妹は気丈にもそういうと、涙の痕のように拡がるストッキングの伝線を、
こんどはクスクス笑いながら、いくすじもつけられていった。


葉子さんを連れていくのは、結婚前になさいね。
あのかたは隣町だから、葉子さんもご両親も、小父様のことは知らないの。
だからあなたが、うまく引き合わせてあげて。
母さんも都会から父さんのところに嫁いでくるまえに、
父さんが上手に逢わせてくれたから――あなたもうまくやるのよ。

母さんはひっそりと笑いながら、そんないけないことを平然とぼくにすすめる。
ぼくも母さんと同じくひっそりと笑いながら、ごく平然とそれに応える。
「あの小父様なら、だいじょうぶだね。きっと葉子さんも、いちころだろうね」と。
ぼくはよく心得ていた。
既婚のご婦人の場合、血を吸うときには男女としても仲良くなってしまう小父様の性癖を。
そして相手が未婚でも、男を識っている場合は男として抱いてしまうということも。
妹は処女だったけれど、慣れ親しむうちに打ち解けていって、
お嫁入り前に、鼻を鳴らしながらスカートのすそを引き上げられていった――
「小父様の態度ひとつで、葉子さんが身持ちの正しい娘さんか、ふしだらなお嬢さんなのかもわかるわね」
母さんはそういってひっそりと笑い、
ぼくも頷きながらひっそりと笑った。
「ぼくは平気だよ。どのみち結婚したら葉子さんも小父さんに抱かれるようになるんだし、順序がちょっと、後先になるだけさ」

ぼくの花嫁は処女だった。
初めは戸惑った葉子さんも、お洋服の襟に血のシミひとつつけずに首すじから血を吸い取った小父様の腕前に感心をして、
その場ですっかり、心服してしまったようだった。
「これからは、良太さんといっしょに咬まれに来ますね」
そういって羞ずかしそうにほほ笑んだ彼女は、つぎの訪問のとき、着替えの服を用意してきた。
なにも知らない両親に気づかれないようにと、いちどぼくの家に立ち寄って、
別の服に着替えると、ぼくといっしょに小父様に逢って、
さいしょにぼくが咬まれ、それから彼女が咬まれて、
ブラウスをしとどに濡らしながら、葉子さんは処女の生き血で相手を満喫させてあげていた。
結婚式の三日前、葉子さんは思い切った表情をして、ぼくにいった。
「大切なものを――あなたよりも先に小父様にあげたいの」
ぼくはもちろん、異存はなかった。
葉子さんが身持ちの良い娘さんなら、ぼくが先――
なんとなくそうは思っていたけれど、
花嫁の純潔をプレゼントするのも悪くないなって、ふつうに感じるようになっていたし、
美しい血管に毒液を注ぎ込まれてしまった葉子さんも、まったく同じように感じていたのだった。

真っ白なスーツ姿で目を瞑った葉子さんのうえから身を起こした小父様は、
「リョウくん、ありがとう。お礼にきみにもいつか、処女の子を抱かせてあげるよ」
って約束してくれたけど。
ぼくは葉子さんひとすじでいくから、そんな気遣いしなくていいよって、笑ってこたえていた。


未来の花嫁の純潔を勝ち得た小父様は、長いことずっとそのことを、気にしてくれていたらしい。
十数年も経った頃、妻を抱きに来た小父様はひっそりと囁いた。
「今夜はお嬢さんの勉強部屋に行くといい。貴恵ちゃんには葉子さんから、話してあるから」
熟妻になった葉子さんを小父様が抱いているあいだ、ぼくは自分のまな娘の勉強部屋のドアをノックする。
妹のときもこうだった。
なにも知らない男のところに嫁いだ彼女にとって、実の兄のぼくは、二番目の男だったから。
夜なのにまだセーラー服を着ていた貴恵はぼくを迎え入れて、
母さんや妹のときのように、ひっそりと笑った。
あの夜の妹の白い顔が、二重写しになったまま、重たい制服のスカートを、
まるで少年のころみたいな震える手ももどかしく、太ももがまる見えになるまでたくし上げていった。

こういう関係はもう断とう。
小父様に思い切ってそう切り出すと、意外にも小父様は納得したようにこたえてきた。
そうだね、貴恵ちゃんのお婿さんは、なにも知らない土地の人だものね。
けれども血というものは怖いものだった。
それから十数年も経ってもこまめに実家に顔を出していた貴恵は、
年ごろになった娘たちを連れて、泊りに来た。
そしてふたりの娘を齢の順に、小父様に咬ませてしまっていた。

妹の場合、義理の弟の家は遠く、妹はまっとうな世界へと埋没していったけれど、
娘の貴恵の場合はそうではなかった。
やがて、どう説得したものか、貴恵の婿も実家に泊まるようになった。
「うちの場合も、いつもわたしが先に相手をするようにしてるんです。
男の子は女のひとを守らなければならないですからね」
どこかで聞いたことのある科白を口にした義理の息子は、
どこかで見覚えのあるひっそりとした笑いを、口許に浮かべる。
しょせん血の輪廻はつづくのか――
そう思ったわたしのことを見透かすように、彼はいった。
「ぼくは娘の純潔は、欲しがりません。妻ひとすじでいきますから」と。
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