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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻は地に舞う大輪の花火

2017年11月14日(Tue) 06:26:09

ねっ、花火見に行こ♡
妻はウキウキとした顔をして、わたしのことを肘で小突いた。
えっ?
わざとうろたえた声をして応じると、妻は「うふふッ」と肩をすくめて笑い、逃げるように台所に入っていった。
季節外れの花火に誘われてあの村に出向いたのは、去年のいまごろのことだった。

花火師の棲むその村では、来年あげる花火の品定めをするために、季節外れのこの時期に内輪のものたちだけを招く花火会をやるという。
たまたまなにかの縁で毎年招かれるようになったという友人に強く誘われて、わたしは妻を伴ってその村に行った。

花火よりも先に、振る舞い酒に酔い痴れた友人とわたしはいつの間にか、
村の男衆たちの手でぐるぐる巻きに縛り上げられて、草地に転がされていた。
空を舞う大輪の花火。
その下で友人の妻も、わたしの妻までも。
男衆の手で浴衣をはぎ取られて、やはり草地に転がされた。
一糸まとわぬ二体の裸体が、明滅する光芒に切れ切れに照らし出され、
夫たちの目を眩しく射抜く。
その上に、息荒くのしかかった男たちは、彼女たちの股間に忘れられない衝撃を加えていった。
都会育ちの妻たちはその夜、地を舞う大輪の花火になった――

こと果てたのち。
縛めを解かれたわたしたちは、それぞれの妻を介抱しながらほうほうのていで宿に戻った。
部屋に落ち着いたわたしたちが互いに目を背け合って座り込んでいると、
友人は自分の妻を連れて、わたしたちの部屋に現れた。
「これから出かけるんだけど、いっしょに来ない?」
「どこへ?」
「さっきの連中のたまり場」
「なにをしに?」
「こいつ、もういちどやってもらいたいって言うんだ。で、ぼくは妻を守れなかった罰ゲームで、見せつけられに」
友人の顔にあるのは卑屈で後ろめたい作り笑いなどではなく、
むしろこれからなにか特別なイベントを楽しもうという、サバサバとした晴れやかなものだった。
面白そう――
声をあげたのは妻だった。
さっきまでの憔悴した表情はかき消えて、白い歯を嬉し気に洩らして屈託なく笑っている。
「ね、あたしたちも行こ。あなたも罰ゲームよ」
わたしは妻に急き立てられるように座を起って、村の男衆たちのところへ出向いていた。

地元の姐さんたちを相手に乱交していた彼らは、わたしたちの奇特な訪問を歓迎してくれた。
「あんたの奥さん、貞操堅固だな。手こずったぜ」
目を細めて笑う老爺は、還暦をずっと過ぎた目じりを皺くちゃにして、屈託なく笑った。
周囲にいたもっと若い男どもも、乾いた声で笑った。
老爺はみすぼらしい格好をしていたが、なぜか威圧されるものを感じて、受け答えが知らず知らず敬語に変わってゆくのをわたしは自覚した。
「こ、今夜は・・・どうぞよろしくお願いします」
かすれた声で応じたわたしは、自分でもどういう表情を作っていいかまだわからずに、あいまいに笑って見せた。
「それでいいんだよ。あんたは正解」
だれかがいった。
男どもは口々に、難に遭ったわたしたちのことを侮辱するふうはなく、
「今夜は災難だったな」と、いたわる者。
「あんたの嫁、エエ身体してんなぁ」と、露骨にうらやましがる者。
「今夜は楽しかっただろ?」
「みんなでもっと楽しもうな」
「まったく手間を掛けさせやがって」
とかいいながら、どこか称賛のこもったまなざしを、わたしたちに向けてくる。
「都会の綺麗な女を嫁にできて羨ましい」と顔に書いたように、素直な称賛と羨望の視線を、わたしたち男性に、そして妻たちに、そそぎつづける。
わたしたちの妻を犯した村の男どもは、女好きという同じ人種の共感をこめて、
都会育ちのふた組の夫婦のほうへと歩み寄ってくる。
わたしは戸惑いながらも、老爺の悪びれない笑みに応えた。
「びっくりしたよ。こんなこと初めてだから」
「そうだろうね、ここじゃ日常茶飯事なんだけどな」
「妻が、もういちどしてみたいって・・・それで連れてきたんだ」
「一人で来させなかったってことは、あんたも見せつけられたくなったかい?」
老爺はからかうように言ったが、なぜか腹は立たなかった。
「いや――さすがに一人で出すのは心配だから――」
「あんた、好いだんなだね。教わんなくてもちゃんとわかるのは、奥さんのこと愛してる証拠だよ」
「そうなんですか?」
「しまいまできちんと見届けるのが、夫の務めってことだ」
「よくわからないけど・・・わかるような気もします」
自分でもびっくりするような受け答えだったが、なぜかすらすらと言葉が出てきた。
敬語と他人行儀な言葉つきが入り乱れているのは、まだきっと状況に慣れていないせいだろうと思ったけれど。

「なあお前ら、女房がほかのやつに姦(や)られるの、ズキズキ来んぢゃろ?」
老爺は仲間をふり返ると、田舎言葉でそういった。
えへへへへへっ・・・
だれもが身に覚えがあるらしい。
「わしは爺さんのおっ母さんで筆おろししたしの」
「お前ぇの女房抱いてるときに、お前ぇずっと部屋の隅っこで視ておったろうが」
「じゃけど~、気になるからの~」
彼らはしばしの間笑いをはじけさせながら、みじかいことばで互いの女房の痴態をはやし合った。
邪気の全くない笑い声を、わたしたちはあっけに取られて聞いていた。

「さてと、宴の続きに入ろうかい」
老爺がそういったときにはいつの間にか、村の姐さんたちは姿を消していて、女といえば妻と友人の妻だけになっていた。
対する男は、わたしと友人を抜きにしても、8人――
頭数を無意識に勘定してしまい、そんなことをしてしまっている自分に、思わずゴクリと生唾を呑む。
「だんなの名誉は守らないとな」
頭だった男がそういうと、夫たちは村の男衆たちの手でふたたびぐるぐる巻きに縛られて、
妻たちがなにをされているのか見えるように転がされた。
「あんたたち、抵抗できない状態で、女房を犯されたんだよな?みすみす指くわえて、自分の女房が姦られるのを覗き見してたわけじゃあないってことだ」
「ウン・・・そうだ。もちろんそうだとも」
友人が応えた。
「でもこんどは、典子が犯されるのを見たくて連れてきたんだ」
「素直でよろしい」
あんたはどうなんだ?わたしもそう訊かれた。
妻が息を凝らしてわたしのことを見つめているのを意識しながら、わたしはいった。
「ぼくもだ」
カサカサに乾いた唇から洩れた言葉は、昂ぶりに上ずっていて、それは妻にも伝わったようだった。
妻は身体から力を抜いて、村の男衆たちのほうをふり返り、媚びるような笑みを浮かべた。
それが合図だった。
「うへへへへっ」
一人の男が妻に、別の男が友人の妻に襲いかかると、男どもは飢えをこらえ切れなくなった獣のように、わらの上に横倒しになった二人の都会妻の身体のうえに、折り重なるようにしておおいかぶさっていった。
二人の都会妻は洗練されたワンピースを引き裂かれて、きゃあきゃあと小娘みたいにはしゃぎながら、犯されていった――


「旦那さんがたも、愉しんでいただけたようですな。来年もぜひ、いらっしゃい」
夕べの老爺が目を細めて、わたしたちに親し気な視線を送って来る。
あたりは、夕べの熱気にむせかえった闇は幻だったのかと思うほどの、冴え冴えとした晴れ空――
この村では昔から、夜這い合う風習があって、どの人妻も村じゅうの男という男の身体を識っていた。
それが近年の過疎化で女不足となり、村に少しでも縁故のある夫婦が招かれては、こんな夜を体験するのだという。
あくまでも口コミで、親しいものが親しいものを誘い込む形で、少しずつ“輪”が拡がりつつあるそうだ。
その“輪”のなかに、わたしたち夫婦は友人によって引き込まれ、“輪”は少しだけ、その広がりを増した。

なにも知らない夫婦を“輪”に招き入れるとき、もっとも重視されるのが夫の資質で、こうしたことに耐えうるかどうかが基準になるという。
そういえばかつて、友人が妻を誘惑して堕としてしまったのを知ったわたしは、
内心の昂奮を押し隠しながら、ふたりの交際を黙認していた過去があった。
かつて友人に、見て見ぬふりをして妻を捧げたように。
わたしは田舎の男衆たちの、粗野で荒々しい腕のなかに、妻をゆだねる決意をかためた。
こうして都会妻がまたひとり、村を彩る花火になった。

ところでどうでしょう?
今年も花火大会、あるんですけど・・・
あなたも来ませんか?よかったら、奥さんを連れて。
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コメント

最後の三行、読者にも覚悟を突きつけられてますね^^;
女装妻として花火大会に参るのはありでしょうか!?^^
by ゆい
URL
2017-11-14 火 22:30:35
編集
ゆいさん
読者を惹き込もうとするくだりは、柏木ワールドの常とう手段
・・・だったりして。^^

女装で花火。
あたりは暗がりですから、人混みである割にばれにくいかもしれませんね。
(^^)
by 柏木
URL
2017-11-19 日 09:52:06
編集
素敵な花火大会
季節外れの花火大会。
参加をしてみましたらあまりの盛大さにびっくりいたしましたが、本当はこんな風にひっそりと行われているのがいいものかもしれません。

花火師の方々は最初の宴は参加できませんけれど、二次会はご褒美に主役になられるのかしら?
火薬の香りをまとわりつかせて。

素敵なお話ありがとうございました。
柏木ワールド全開でした。

でも・・・せっかくの花火を鑑賞できるのは、男性たちに犯されている二人の奥様だけなのかしら?
by 加納 祥子
URL
2017-11-25 土 09:50:21
編集
祥子さん
花火は本来、派手派手しくやるものですね。
それがひっそりと打ち上げられるのには、
きっとなにかの事情があるはず――

それは時として、人妻の貞操喪失を祝う宴だったりするようです。
村の妖しい夜空を彩る、ひっそりと打ち上げられる花火たちは、
おおっぴらにできない第二の結婚式に捧げられた花束なのかもしれませんね。
そうした花火を見ることができるのは、
犯される人妻たちと、それを許す夫たちの特権なのだと思います。
by 柏木
URL
2017-11-26 日 07:31:41
編集

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